各国の熱心な世界連邦主義者たちは1946年、ルクセンブルグに集まって、「世界連邦運動」(WFM)の前身である「世界政府のための世界運動」(WMWFG)を組織し、その第1回大会を翌47年、スイスのモントルーで開催。いわゆる「モントルー宣言」を発表し、世界連邦の6原則を明らかにしました。
(1947)
世界連邦の6原則
1) | 全世界の諸国、諸民族を全部加盟させる。 |
2) | 世界的に共通な問題については、各国家の主権の一部を世界連邦政府に委譲する。 |
3) | 世界連邦法は「国家」に対してではなく、1人1人の「個人」を対象として適用される。 |
4) | 各国の軍備は全廃し、世界警察軍を設置する。 |
5) | 原子力は世界連邦政府のみが所有し、管理する。 |
6) | 世界連邦の経費は各国政府の供出ではなく、個人からの税金でまかなう。 |
戦後においてはまた、アーノルド・J・トインビーが『現代が受けている挑戦』の中で、世界国家の意義や世界的規模の世界国家の実現可能性について詳述していることなども特筆されます。
冷戦終焉後の世界では、軍備に向けられる膨大な費用と資源を、貧困や飢餓に苦しんでいる発展途上国の開発や福祉向上に転用するためには、現在の主権国家体制から脱却して、世界法の下ですべての国々の共通の安全が保障される世界連邦体制の樹立が求められています。
また酸性雨による森林破壊、熱帯雨林の減少、砂漠化、オゾン層の破壊によるガンの多発や地球温暖化による海水面の上昇など、地球環境の汚染と破壊による人類の危機に対処するためにも、主権国家を超えた世界連邦体制とすることが必要です。
わが国でも福沢諭吉(1835~1901)や中江兆民(1847~1901)といった自由民権論者の思想に世界連邦の思想を汲み取ることができます。
また戦後すぐに尾崎行雄、賀川豊彦らによって世界連邦建設の必要が提唱され、1948年に「世界連邦建設同盟」(現「世界連邦運動協会」)が結成されました。続いて超党派の「世界連邦日本国会委員会」も発足し、さらに1950年からは世界連邦宣言自治体運動も展開され「世界連邦宣言自治体全国協議会」を組織。また各宗派の宗教者による「世界連邦日本宗教委員会」や「世界連邦日本仏教徒協議会」、ほかに「世界連邦文化教育推進協議会」が結成されました。これら6団体で世界連邦推進日本協議会(会長・海部俊樹元首相)を結成するなど、多くの先人の英知と不断の努力により世界連邦運動は全国で展開され歴史を刻んできました。こうした努力が、衆議院(平成17年)及び参議院(平成28年)における、世界連邦実現に向けた国会決議にも繋がっています