今宵も遅れてのスタートとなりまして申し訳ありませんが、『どたばたファミリー』から今年のベストテン内に入れても文句なしの(あくまでも個人的にです(笑))このセリフにしました。このセリフは…
ドング夫婦がジョンエに宛てて書いた手紙にはフィリピンでの新住所が書かれていたのですが、それをジョンスクはジョンエに渡さなかったために、ジョンエはずっとドング夫婦を探す羽目に陥っていました。ところが最近になってジョンエは今の夫の尽力で、ドングが国内にいるとの情報と、ドングの写真を入手しました。ドングが見つかると自分が手紙を渡さなかったことがばれる、と焦ったジョンスクは、密かに興信所にドングの消息調査を依頼しました。そして数日後興信所から連絡があり、ドングの死亡証明書とチュンヨンと2人の子供の出国証明書を手渡されました。これで安堵したジョンスクはお金を払って興信所を後にしました。が、ジョンスクが受け取った書類はどちらも偽物でしたから、不安を抱いた所員が、ほんとに大丈夫なんですか?、と所長に尋ねました。すると所長は、完璧に偽造したし、しかもあの女は見つからないことを望んでいたじゃないか、と言いました。そしてさらに続けたのがこの言葉になります。
この興信所の所長は全くの端役ですが、素晴らしいシーンとセリフを残してくれました。ジョンスクが手紙を渡さなかった理由はまだ明らかにされませんが、姉が先にドングを見つけてしまうと、どんな理由にせよ自分が責められるのは必至ですから、どんな形にせよドングが見つからない方がジョンスクにはありがたいわけです。所長はそんなジョンスクの気持ちを見抜いたのでしょう。
それにしても、このセリフ、素晴らしいですね。この所長は端役にしておくのはもったいないですね(笑)ほんとにその通りで、人は意外に素直な面があって、本当にこうあって欲しい、という願い通りの結果を聞けば、それを疑いもせず信じてしまいます。例えば、自分の好きな相手の気持ちが知りたいからと、友人にこっそり相手の気持ちを尋ねさせ、向こうも同じ気持ちだ、と知らされたら信じますよね(笑)
そうでなければ、『サンタクロースはほんとにいるのでしょうか?』というバージニアの真剣な問いかけに対し、始めは編集長に文句を言いながらも真摯に答えたニューヨーク・サン新聞の新聞記者の仕事も徒労に終わり、社説が古典として取り上げられることもなくなってしまいます。