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西風~年がら年中真っ黒け~!

2026/~膝猫(ひざねこ)~(Evening)※蔵出し

" 馬鹿な事言うなよ!ウチみたいな二間しかない木造ボロアパートの何処に猫飼えるんだよ?" ※表紙画:スバル360 1/64scale

【GW蔵出しスペシャル:~膝猫~より】

”きゃ!お父さん!お父さん!これ!これ!これなんなの??これみて!!”
と、興奮しながら私を呼ぶ娘,明子の声がして後ろを振り返ると、なんとそこには彼女の膝の上に猫が鎮座してる。

👉前奏曲 作品28の15「雨だれ」ショパン 約6分20秒
 
”ねぇ!お父さん!本当これなんなの?猫って知らない人の膝に飛び乗って来る事有るの?”(そんな慌てふためく娘の声を聴いてるコッチが、恥ずかしい程、喧しい・・)
 ”さぁ~あんまり聞いた事ないな・・あっ!いや・・あったかも・・”

墓参りの帰りの出来事だった。朝から霧のような雨が降っていて、娘が境内にある休憩所の御影石のベンチに腰掛けてると、何処からか一匹の野良が娘の膝の上に突然乗って来たという。

そこで思わず娘に・・
 ”明子、オマエなんか持ってんのか?ネコが欲しがるような食べものとか・・それにしても汚い猫だな~(苦笑)・・”

”持ってる訳ないじゃない。でも、どうしたんだろう?・・カワイイ~♪ それと、お父さん!汚い猫じゃないから!!” 
と、私に少しムッとして言い放ち、猫の体を優しく撫でてる。

"あっ、・・ゴメン!ゴメン!・・そうだな・・" 
と、言いながら、猫に顏を近づけてマジマジ見ると確かに可愛い。そんな 鎮座する"膝猫" をみて一つ思い出した事がある。あれは・・・

・・・・・・・・・・
      ・・・・・・・・・・


"キャッ!ヒロシ!これ見て!見て!見て!ヒロシ見て!"

そうボクを呼びながら歓喜する妻。なんと驚いた事に、公園のベンチに座る彼女の膝の上に一匹の猫が鎮座してる。
"あれ?なんだぁ?どうしたの?その汚い猫?"

”しらないけど・・突然何処からか現れてほらこの通り。あっ!それからね!ヒロシ!汚い猫ちゃんじゃ無いからね!!"
 と、ボクにムッとして言い放ちながらも猫を撫でてる・・

"あっ!ゴメン!ゴメン!・・へぇ~よく見ると可愛いな。それにしても猫って知らない人の膝の上に飛び乗るのか?"
 
彼女は猫を優しく撫でながら・・
 "うん。良くわからないけど私も初めて。突然で驚いてる・・ねぇ~此のまま家に連れて帰ろうか?ねっ!そうしよう!良いよね?"

"馬鹿な事言うなよ!ウチみたいな二間しかない木造ボロアパートの何処に猫飼えるんだよ?無理!第一大家さんにバレてみろ、追い出されるのが関の山だ・・連れて帰れない・・ダメだぞ!"

”わかった。やっぱりそうよね・・" 
と、あの時の少し、悲し気な妻の表情が、今でも記憶に残ってる・・ 

” あら!この子いつの間にか寝てるよ・・可愛い♪・・じゃさ、起きるまでもう少しこのまま此処に居ようよ。ねっ、それなら良いでしょう?"
"うん・・それなら良いよ・・(笑)・・”

・・・・・・・・・・・
   ・・・・・・・・・・

あれは私も彼女も学校を卒業して、社会人に成りたての二年にも満たない安サラリーマン時代。両家の反対を押し切って、家出同然で結婚したようなものだった。


・・・・・・・・・・
     ・・・・・・・・・・

”ねっ!お父さん~この子いつの間にか寝ちゃたよ。起きるまでもう少し此処に居ようよ♫・・”

 ”えっ?あぁ~うん・・良いよ。”

”あのね、お父さん・・お母さんの事で思い出した事が有るの。お母さんが入院してる時の話しなんだけど・・

 ”なにを?・・・”

”うん・・「あの猫ちゃん~あれからどうしたのかなぁ・・」って、何処か少し寂しそうに小さな声で、誰に言うのでもなく一言、そう呟いたの。あれ何だったんだろう?・・お父さん,なんか心当たり有る?”

 ”・・いや・・心当たり無い事も無いけど・・ハッキリしない・・”

”そう、なら良いけど。お母さん,ネコちゃん好きだったのかな?・・”

”母さん,猫が好きなのは知ってた・・雰囲気で猫好きだっと判ってた・・”

”私は猫ちゃん大好き♪ ~あら起きた!~おはよう猫ちゃん~♪~あっ!猫ちゃん何処行くの?もう帰るの?”

娘が猫にそう呼びかけたが、猫はそのまま境内奥に走り去っていた。


”さて、雨も上がって陽も照って来たし、そろそろ帰るぞ・・”

帰路につく車内で、娘がバックからCDを取り出し操作しながら・・
 "楽しみが一つ増えた。今度お墓参りに来る度にあの子(猫)に会えるかもしれないと思うと、なんかウキウキして凄く楽しみ~♪カリカリもお土産に持って行こう~♪・・(笑)”

”そうだな。勿論タイミングもあるけど、オマエの日頃の行い次第だな(笑)”
お父さん!それって私に対して失礼よ!!(笑)ねぇ~お昼は久し振りに ”更科のお蕎麦” でも食べて帰ろうよ~♪”

”そうだな。オレも腹減って来た。それでオマエ、新幹線の時間大丈夫なのか?”
”うん、大丈夫。きょうは夕方の便で帰るから”

”そうか・・じゃ蕎麦でも食って帰ろ。あれ?このCD。オマエが持って行ってたのか?道理で探しても見当たらない筈だ・・(笑)”


・・そうか・・妻は知ってたんだ・・内緒にしてたのに、ワタシが猫アレルギーであることを・・そうだな・・今度、墓参りで娘が帰って来た時にでも話そうか・・そう妻の「膝猫」の話(笑)

エアコンの効いた車内には妻の好きだった懐かしい 松任谷由実のアルバム「流線形80」の“埠頭を渡る風” が軽快に流れてた・・

     ちゃんちゃん~♪

ハイ♪今夜はこれで〆ね♬👉”埠頭を渡る風 ”  松任谷由実 4分40秒
 

2022年6月UP ~”膝猫(ひざねこ)”~より蔵出し

              by~西風


コメント一覧

西風
@pmr8559goo いえいえ😆
此方こそありがとうございました♪
それじゃまたね😆😆😆
pmr8559goo
さわやか♪

また来ちゃいました
反省文書きました

お世話になります
わらってごまかします

あははhh~~~~~
手がかかる人って いますよね
!(^^)! ← こんな人です♪

今日もたくさんありがとうございました♪
meranmeran21
@pmr8559goo さわやかさん~^^
こんばんは~♪
いつもありがとうございます~^^

いえいえ!滅相もありません!~( ̄▽ ̄;)
只、思い描いた事を文書にするというのは、上手い下手は
別にして楽しい頭の体操の様な気がします。
ワタシの周りは、なにも考えない事に慣れ過ぎて、色んな
事に進展が無い方が多い様な気がします。之は老若男女に
関わらず、そう思います。
なんだかおもちぃ~ないなぁ~そんなんでいいのかなぁ~
見てて無気力になってしまった過程も分からん事無いけど、
あきらめてが早や過ぎないか?なんて思う事沢山あります
よ。

そんな社会に生きててああなりたくない・・ああなりたく
なかったら、一番に健康である事と、常に頭使う習慣を保
つ努力をしたいと何時も思ってます。思ってますが、なかな
か脱線する事の方が多いですが~わっははは~^^

はい~本日はありがとうございました~感謝です~(´艸`*)
それではまたよろしくです~<m(__)m>

※あっ!浴室で寝ちゃダメですよ~わっははは~^^
pmr8559goo
さわやか♪

私は何度も書いているように 西風ストーリー読むの
好きです
ちょっぴり現実の影もあるようで・・・そこがせつないような
そこに流れているのは 書いてくださっているように「愛」だと
素直に思えます
父親の言葉は まさに西風さんの言葉のようで
文にはお人柄が出るのだな~って思います

ってことは 普段から自分磨きが大切なのかしら
うふふ♪ 生意気なこと勝手に書いて帰ります
次の蔵出し ホンマに楽しみどっすぇ
ありがとうございます
(*^-^*)
meranmeran21
@pmr8559goo さわやかさん~^^
こんばんは~♪
いつもありがとうございます~^^

そうですか~そう言って頂き嬉しいです~♪
創作ストーリーはカキカキ楽しいですよね。
其処がやはり「ブログ」の醍醐味かも知れ
ませんね~♪
因みに基本題材は「母子愛/親子愛/家族愛」
なんですよ。勿論ユーモアをまじえ、固く
ならない文心掛けてるのですが、難しいで
す・・・( ̄▽ ̄;)

まだ「破廉恥ストーリ」の方がハチャメチャ
簡単ですよね~わっははは~♪

はい~本日も御訪問コメントに感謝です~♪
ありがとうございました~(´艸`*)
pmr8559goo
さわやか♪

”膝猫(ひざねこ)”ピッタリな題名ですね
ショパンの雨だれをバックに静かに流し・・・・・・読み進む
現実と思い出が重なって、不思議な世界が見えてきました

こんど娘が帰ってきた時に どんなふうに話すのかなと気になります
昨日のお話と、繋がっている感じがして膨らみを感じました

初めの猫の表情に何があるのだろうと、姿勢を正しましたよ

蔵出し嬉しいです♪
ありがとうございます
!(^^)!

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