2022年10月7日 自動車の排気ガスによる環境問題とは?地球温暖化への影響も解説
自動車の排気ガスによる環境問題とは?地球温暖化への影響も解説 (earthene.com)
- 2022年10月07日
- 環境問題
私たちの生活に重要な移動手段として、自動車は欠かせない存在です。一方で自動車の排気ガスは、大気汚染を引き起こすなど、大きな環境問題も抱えています。また、自動車の排気ガスには、地球温暖化の原因である温室効果ガスのひとつ、CO2が大量に含まれており、近年ではその影響についても追求されています。
自動車排気ガスが環境にどのような影響を及ぼし、排気ガス抑制のために、国や自動車産業はどんな取り組みを開始しているのか。この記事では、さまざまな角度から自動車排気ガスの環境問題を解説していきます。
<picture><source srcset="https://earthene.com/media/_nuxt/lca-banner.png.84cf5401.webp" type="image/webp" /></picture><picture><source srcset="https://earthene.com/media/_nuxt/supplychain-banner.png.421494cf.webp" type="image/webp" /></picture>目次
- 自動車の排気ガスの何が問題?地球温暖化への影響
- 自動車の排気ガス抑制への取り組み
- 再生可能エネルギーは自動車排気ガス抑制にも活躍
- 自動車の排気ガスを削減するためのエコカー開発
- まとめ:自動車排気ガスによる環境問題を知ることは企業の責任
1. 自動車の排気ガスの何が問題?地球温暖化への影響
自動車排気ガスが及ぼす大気汚染
自動車の燃料はガソリンや軽油です。これらを燃やしてエネルギーにするときに排出されるガスには、一酸化炭素(CO)や窒素化合物(NOx)、粒子状物質(PM)、二酸化炭素(CO2)などの多くの化学物質(汚染物質)が含まれています。この化学物質は大気中で、人間や生物に害のある物質に変化し、酸性雨や光化学スモッグなどの大気汚染を引き起こしてきました。
また、人体だけではなく、大気汚染は森林や農業などにも悪影響を及ぼし、自然環境も脅かしています。
自動車排気ガスは温室効果ガスを大量に排出
温室効果ガスとは、大気中に存在して、地球の表面から放射される赤外線の一部を吸収することで温室効果をもたらす、二酸化炭素やメタン、一酸化二窒素、フロンなどのガスのことを指します。自動車の排気ガスはCO2も大量に排出するため、地球温暖化の要因のひとつととして問題になっています。
CO2排出と地球温暖化の関係
人間の経済活動は、常に石油や石炭などの化石エネルギーを消費し、大量のCO2を発生させてきました。IPCCの第6次評価報告書によると、このまま温室効果ガスが増加を続けると、地球の温度は約1.5度上昇すると言われています。持続可能な社会を築くためにも、脱炭素を促進し、これ以上の気温上昇は食い止めなくてはいけません。
出典:環境省「世界のエネルギー起源CO2排出量」(2018)(p.1)
出典:IPCC『AR6/WG1報告書SPM 暫定値』(2021.9.1)(p26)
運輸部門におけるCO2排出量と推移
日本のCO2排出量を、部門別に見てみましょう。2019年度は、運輸部門のCO2排出量は2億600万トンでした。総排出量は11億800万トンなので、これは全体の18.6%を占めることとなります。経済が発達するにつれ、自家用車を所持する人も増加したため、自家用車のCO2排出量は運輸部門の45.9%を占めました。
1990年度から1996年度まで運輸部門のCO2排出量は、約23%も増加していました。しかし、1997年に採択された京都議定書において、日本はCO2排出量を1990年度の基準から6%削減することを定め、これを達成したのです。2001年度以降、CO2排出量は、少しずつではありますが減少傾向にあります。
出典:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」(2021.4,27)
2. 自動車の排気ガス抑制への取り組み
エコドライブから進化「ゼロカーボン・ドライブ」
自動車排気ガスによる環境問題対策として、エコドライブが推奨されました。「エコドライブ10のすすめ」では、以下の項目が定められています。
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ふんわりアクセル「eスタート」
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車間距離にゆとりをもって、加速・減速の少ない運転
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減速時は早めにアクセルを離そう
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エアコンの使用は適切に
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ムダなアイドリングはやめよう
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渋滞を避け、余裕をもって出発しよう
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タイヤの空気圧から始める点検・整備
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不要な荷物はおろそう
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走行の妨げとなる駐車はやめよう
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自分の燃費を把握しよう
エコドライブ推進により、社会では自動車排気ガスを抑制する意識が少しずつ定着しました。さらに、近年はエコドライブから進化した、CO2自体の排出量をゼロにする「ゼロ・カーボンドライブ」という政策が進められており、自動車の脱炭素化が加速しています。
新たな移動の選択、サーキュラー・エコノミーとは
サーキュラー・エコノミーの意味は「循環型経済」で「ゼロ・カーボンドライブ」では脱炭素を推し進めると同時に、「所有からシェア」という考えの普及に努めています。具体例として、自治体の公用車や民間企業の社用車を、休日には市民の足として利用してもらうシェアリングがそのひとつです。
車は一人一台所有ではなく、利用したいときにシェアすることで、エネルギーの節約や無駄を排することが可能。業界や消費者との、新たな循環型のつながりを構築することができます。
3. 再生可能エネルギーは自動車排気ガス抑制にも活躍
再エネ×電気自動車の推進
「ゼロ・カーボンドライブ」ではなにより、自動車の脱炭素を進めるために、再生可能エネルギー(以下再エネ)の普及を推進しています。EV車やプラグインハイブリッド車、燃料電池自動車などの電動自動車を最エネで活用して、自動車のドライブ時のCO2排出をゼロにするという取り組みです。
太陽光や風力を使用する再エネは、クリーンエネルギーであるため、CO2を排出しません。再エネを使用した電気自動車なら、排気ガスのCO2削減に大いに貢献できます。
出典:環境省「大気環境・自動車対策 ゼロカーボン・ドライブ(ゼロドラ)」(2020)
ゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業とは
環境省は、再エネ×電気自動車を推し進めるために「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」を開始しています。これは、電気自動車やハイブリッド車を購入する個人、企業に対して補助金を支給する制度です。
また、モニターとして、エネルギーマネージメントシステムを活用した地域防災の協力などの実態調査に参画することが条件の、経済産業省の「災害時にも活用可能なクリーンエネルギー自動車導入事業費補助金」という制度もあります。自動車の脱炭素に向けた施策が次々と開始されています。
出典:環境省「令和2年度第3次補正予算に盛り込まれた「再エネ電力と電気自動車や燃料電池自動車等を活用したゼロカーボンライフ・ワークスタイル先行導入モデル事業」等の補助要件等について」
4. 自動車の排気ガスを削減するためのエコカー開発
エコカーとは何か
自動車の脱炭素を実現するために、エコカーの開発も活発化しています。エコカーとは「エコロジーカー(自然環境保全車)」を略したもので、環境に配慮した自動車のことです。EV(電動自動車)をはじめとしてさまざまな種類のものがあります。
エコカーの種類
エコカーにはさまざまな種類がありますが、ここでは以下の3つの種類をご紹介します。
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電気自動車
一般にEV(Electric Vehicle)と呼ばれるタイプの自動車で、電気モーターを回転させて走らせます。エンジンではなく、車のバッテリーを充電させることで走行するので、走行音が静かで振動も大きくないというメリットがあります。
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水素自動車
電気自動車と同じくらい注目されているのが、水素自動車です。ガソリンではなく、水素を燃焼させたエネルギーで自動車を走行させます。これまでのガソリンエンジンの技術を応用できる上に、脱炭素も可能というメリットがあり、今後開発に期待されているタイプです。
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ハイブリッド自動車
HV(Hybrid Vehicle)と、略されるハイブリッド自動車は、エンジンと電気モーターを兼ね備えたタイプのものです。メリットとして、走行する場面に合わせた切り替えが可能なので、低燃費なことが挙げられます。
世界で加速するエコカー開発
近年、中国をはじめとする経済大国がEVの開発生産を加速させています。欧米も脱炭素に向け、競うようにEV開発へと取り組んでいます。EVに限らず、脱炭素や環境に配慮したエコカーの開発は、世界各国で進められています。どのようなエコカーが開発されるにしろ、化石エネルギーを使用し、CO2を排出する自動車は今後急速に減少することは間違いありません。
5. まとめ:自動車排気ガスによる環境問題を知ることは企業の責任
自動車は、生活に欠かせないものであるからこそ、排気ガスの環境問題に対して無関心ではいけません。現在、CO2を排出しない再エネ利用のEV車の開発やシェアカーなど、自動車産業は、脱炭素に向けて新たな動きを開始しています。このように急速に自動車産業の脱炭素が進歩しているのは、世界の環境ビジネスの動きをいち早く察知しているからでもあります。
企業は、世界の環境問題に対して敏感になり、自社の環境価値を高める行動を起こす必要があります。ぜひ、持続可能なエネルギー導入を検討し、自社の環境価値をアップしてください!