(続きより)
どうして人形の女の子は、帰ってこないんだろう。
穴は心配になってきました。
しかし、何日経っても女の子は帰ってきません。
虫たちもだんだんと変わらない日々にあきてきて
穴から離れるようになってきました。
穴はまた一人ぼっちでポツンと暮らすように
なりました。するとまたあの時の子供が
穴を見つけました。
こどもは穴をのぞきこんで
何もないことを確認すると
去っていきました。
穴はさみしくて泣きました。
するとみずがどんどんあふれてきて
おおきなみずたまりになりました。
おもちゃの楽器は、ぷかぷかと
浮いて流れていきました。
半年後、人形の女の子が帰ってきました。
女の子は、みずたまりになった穴に
こういいました。
「ねえ、穴さん。まずは自分をよくみて。
どんな顔をしているか、何を考えているか」
穴は、初めて自分を見つめました。
本当にほしい物がなんだったか
忘れていたのかも知れません。
友達。
夢。
仲間。
でも一番に大事にすべきは、人の気持ちだったのかもしれません。
女の子の欲しい物。自分の欲しいものばかりを
くれるからといって、人の気持ちをかんがえなかったのです。
もっと彼女の気持ちをかんがえて
欲しい物を聞いていれば、
女の子は、ずっと穴のそばにいたことでしょう。
穴はいままでのことを女の子に
話しました。
そしてなかなおりをしました。
穴は、女の子に虫は、楽器を上手に使える
こと、器用に洋服を作れることなどを
伝えました。
女の子は、虫と一緒に過ごすことは
できないと言いましたが、
穴が教えてくれる楽器の使いかたや
服のつくりかたなどは、
熱心にきき、マスターしていきました。
そしてまた1年後、穴と女の子と虫は、
なかよくお店を交替でやるようになりました。(おしまい)
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