住宅街の中の細道。
ここに一つの穴がありました。の中はまっくらで何もありません。
穴は、寂しくなって友達が欲しいので
ついついいろんな物を
吸い込んでしまう癖がありました。
まず吸い込んでしまったのは、
水と空気と魚の食べ残しの骨でした。
そのつぎは、子供用の作り残しの粘土でした。
穴は、最初はどうしたらいいかも
わからず、その道具を眺めていましたが、
ある時、穴を見つけた子供が面白がって、その道具で
小さな人形を作って
穴の中に埋めました。
穴は、その人形に「まる」を名前を
つけて、かわいがっていました。
ある時、今度は、一本の金属の
ぜんまいでできたねじが
穴の中にころがりこんできました。
穴は、ねじを人形にさしこんで
まわしてみました。
すると人形が動き出して、
てくてくと歩きだして、
穴に言いました。
「いつまでここにいるつもりなの?」
「もっと違う場所に行きたいとは、思わないの??」
穴は、生まれたときからここにいるので
そんことは考えたこともありませんでした。
「ここからは離れられないよ。
だってぼくは穴だからね」
(つづく)
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