退院するトランプ大統領
 
トランプの早期退院でワクチン期待が膨らむ

米トランプ大統領は10月2日にコロナ検査で陽性反応が出たと発表し、同日専用ヘリコプターでウォルター・リード米軍医療センターに入院した。

10月5日にはかなり回復し車で病院前の支援者に手を振り、6日午前に歩いて退院した。

入院中もツイッターなどで情報発信し、入院時は容態が悪化していたと説明した。

米大統領選まで残り1か月となっているが、大統領のコロナ感染を受けてトランプ候補の支持率は低下した。

9月29日のTV討論会前は両者拮抗していたが、コロナ感染後はバイデン候補がリードしている。

入院後の一部の州での世論調査によると、55%と45%程度の差でバイデン候補が優勢だった。


ただトランプ退院で再び情勢が変わる可能性があり、民主党側は「コロナを利用した政治宣伝だ」と批判している。

トランプが僅か4日で退院できたのは開発中の新型ワクチン複数を試験的に投与し成功したからだった。

治療に用いたのは抗体カクテルと呼ばれるもので、ステロイドや他の開発中のワクチンも併用した。

トランプ大統領の急速な回復を受けて、アメリカではコロナ治療への期待感も急速に膨らんでいる。

トランプ治療に用いられたと発表された薬品メーカーは軒並み株価が上昇し、武田薬品も上昇した

ところでトランプ大統領はホワイトハウスという最も安全な場所でなぜ感染したのだろうか?


簡易検査が間違った安全を与えた

ホワイトハウスでは小さな電気製品ほどの大きさで、10分ほどで検査結果が出る簡易検査キットを使用していた。

この簡易検査はスポーツやイベント会場、企業などあらゆる場所で一般的に使用されている。

日本ではあまり普及していないが、その理由は医師会などが「誤判定が多く信用できない」と批判していたからでした。


ホワイトハウスで使用していたのはアボット・ラボラトリーズ開発の「ID NOW」で、米国では3月に承認されていました。

ホワイトハウスで数十人、出入りして感染した人を含めると数百人が感染した可能性もある。

「ID NOW」は全米で1000万人以上が使用していて、メジャーリーグ関係者も「検査で陰性だった」人だけが出場している。


この検査キットが信用できないものだったとしたら、日本医師会が言っていたように「検査自体が感染を引き起こす」結果になったのかも知れない。

検査キット「ID NOW」はウイルス感度が約91%、つまり9%は偽陰性なので1割ほどは「陽性なのに陰性」と判定してしまう。

大統領に接触する人はこの検査を受けていたが、実は1割の確率で誤判定をしていた。

精度の高い判定をするには感染後2週間ほど経ってから入院し、本格的な検査を受ける必要がある。

つまり今の時点では感染してすぐに「陽性、陰性」と判断できる検査方法はない。

セキと熱が出て入院して、初めて陽性反応が出る人も少なくない