軍事大国ドイツには大戦突入後の余力は無かった
軍事大国には余力がない
世界は今大軍拡時代を迎えていて1991年冷戦崩壊以降の軍縮の流れが完全に転換しようとしています
ウクライナに侵攻したロシア、台湾侵攻を予告する中国、核武装するイラン・パキスタン・北朝鮮などが軍事大国になろうとしています
反対にかつて軍事大国だった欧米諸国は冷戦終結で国防費を削減し、アメリカ以外の多くの国の国防費はGDP比1%台にまで縮小した
中国のGDPは公称約1500兆円で軍事費は約30兆円だが治安維持費が約40兆円あり宇宙開発費や他の予算につけかえられている事も多い
合計すると80兆円から100兆円近くになりGDP比5%以上、アメリカの軍事費は冷戦終了後は3%台で推移している
自由主義国で構成される西側軍事費の大半をアメリカ一国だけで負担していて、非自由主義国の軍事大国化に対して弱体化が著しかった
ロシアのGDPは侵攻前ですらイタリアより小さかったがアメリカ軍に匹敵する軍事力と考えられていて、軍事力を背景に外交力は強かった
中国も強大化した軍事力と経済成長を武器に影響力を拡大し、中国の周辺国はアメリより中国に従う国も表れている
こうした時に起きたのが2022年のロシアによるウクライナ侵攻で、このままではインドやブラジルやイランなどが次々に軍事大国化し隣国に侵攻するのが目に見えている
アメリカは日本やドイツなど『平和ボケした同盟国』に防衛費倍増を求め、今まで国防費がGDP比1%だった国は今後5年程度で2%になる
ロシア、中国、北朝鮮、イランなどの国は既にかなりの軍事費を使っていて、ここからさらに倍増する事はできない
こういう状況が以前にもあり、それは第二次大戦前の英米仏と日独伊の両陣営の軍事競争でした
軍事大国が戦争に弱い理由
1929年にNY株式市場が大暴落しアメリカ経済は苦境に陥り、日独伊は軍事力を拡大し領土拡大の攻勢をかけた
第一次大戦後の欧米では「もう大規模な戦争は起きない」という考えが一般的で、米英仏は軍事支出を削減していた
逆にドイツは軍事費を何倍にも拡大し大攻勢に出て、ポーランドやフランスやソ連に攻め込みイギリスを敗戦寸前まで追い込んだ
フランスは最後まで眠ったままで、有給休暇を巡って議会が紛糾し無政府状態になったところをドイツに侵攻されパリを占領された
1941年12月8日の真珠湾攻撃でアメリカはやっと間違いに気づき軍事支出を拡大、2年後に効果が表れ物量で枢軸国を圧倒し勝利した
大戦前の軍事力は枢軸国側が優勢だったがもう余力がなく、アメリカとソ連が最大限の軍事生産を始めると対応できなかった
ドイツの軍事費は敗戦時にGNP比81%、日本はなんとGNPの98%を軍事費に使っていた
日本やドイツは国家予算を最大限に増やし予算の多くを軍事費に使ったが、アメリカの軍事費は最大でGNP比41%に過ぎなかった
日本は文字通り100%の国力で世界大戦を戦ったが、アメリカは日独を同時に相手にして国力の4割しか使っていませんでした
現代ではGDPの98%を軍事費に使う事はできないが、アメリカの軍事費3%や他の自由主義国の2%台はまだまた余裕がある状態です
ロシアの軍事費は侵攻前にGDP比2%台で侵攻後は3%台、最近は5%を超えていると思われ国家総動員で軍事生産しようとしている
もうロシアには余力がない訳で北朝鮮やイランやパキスタンも西側が本気を出したら対応できない
中国は脅威ではあるものの孤立した国なので、自由主義国が協力すれば潰せない国ではない