なぜ外科医はそこまでして患者の体を「切りたがる」のか

半分は本当でしょう

週刊現代 2017年9月9日号より

なぜ外科医はそこまでして患者の体を「切りたがる」のか
切らなくていい場合でも…

「手術しか方法がない」

とにかく外科医は切りたいんです。反対に言えば手術をしないと、外科医は評価されない。何件手術をこなしたかが重要な世界ですから。

患者さんへの決めゼリフは一つです。『手術しか方法がない』――本当は手術をしたからといって完治する保証はないし、失敗した事例もあるのですが、それは絶対に口にしません」(医師で医療ジャーナリストの富家孝氏)

患者にとって本当に手術が適切かどうかより、自分の実績のほうが大切。だから患者には「助かりたければ手術しか選択肢はない」とウソをつく

「超高齢のがん患者さんで、手術しても余命が変わらないのに家族に『寿命が延びる』とウソをつき手術を選択させた。外科医は手術こそが最高の医療だと思いこんでいる」(民間病院の医師)

なぜ外科医はそこまでして手術をしたがるのか。

児玉医院副院長の児玉知之氏が語る。「その理由は論文執筆のため、実績を作って出世するためです。特に大学病院ではこういう傾向が強い。群馬大病院で起きた腹腔鏡手術の事故などはその典型です。

『こっちの手術法のほうが身体への負担が少なくていいですよ』と言われたら、患者さんは信じます。リスクをきちんと説明せずにメリットだけを大袈裟に伝える。これも『医者のウソ』と言えます」

もう一つ、医者が手術を受けさせるためにウソをつく理由がある。それはカネ儲けのためだ。

代表的な例が、変形性膝関節症、いわゆる膝痛の手術だ。「このままいくと歩行が困難になります。もう、人工関節しかありませんね」と患者の不安を煽る整形外科医は非常に多い。

現実に人工関節手術は年間約8万件行われており、その数は右肩上がりに増えている。だが、医療法人社団八千代会理事長で整形外科医の寺尾友宏氏は、安易な手術に警鐘を鳴らす。

「私は徹底的にリハビリを行うクリニックを運営していたこともありますが、実際、そこでしっかりリハビリを受けていただくと、ほとんどの患者さんが良くなるんですよ。しかし、それではたいした治療費にならず、病院としては『割に合わない』のです。理学療法士も雇わないといけないので余計なコストもかかる。

一方で人工関節は整形外科医の間で『ドル箱』と呼ばれるほど実入りがいい。入院費用も含めて300万円くらい売り上げが立つと言われています。リハビリより断然、手っ取り早く儲かるわけです。

しかし、人工関節にした直後は痛みが和らぎますが、術後1~2年で違和感を訴えられる患者さんも少なくありません」

人工関節は一旦入れると、もう後戻りはできない。しかも金属が徐々に磨り減っていくので、通常は10年ほどで交換しなければならない。一生のうちに2度、3度と交換が必要になり、その度に数百万のおカネが医者に入ることになる。

心臓外科医で昭和大学横浜市北部病院の南淵明宏氏も続ける。

「医者が患者をコントロールする最大の原資は『恐怖』です。医者から『死にますよ』と言われれば患者さんは思考停止に陥ってしまう

本来ならバイパス手術のほうが有効なのに『心臓のバイパス手術は怖いでしょ。でもカテーテル手術なら大丈夫です』と都合のいい手術に誘導していくことも多々あります」

不必要に不安を煽り、患者の恐怖につけこむ医者の言葉を鵜呑みにしてはいけない。

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