大工の息子すらIT技術者になるのでは技術を維持できない
自動車整備士という職業は厳しい
10年前や20年前に「コンピュータの普及などでなくなる職業」という話題が流行り多くの職業が”なくなる”烙印を押されていたが現実はどうなったでしょうか
新聞記者や銀行員は自動化やネット化でなくなるとされたが実際にはコンピュータがライターや銀行マンにとって代わるのではなく、銀行支店が閉鎖されて新聞売り上げが激減しています
車両の運転手は真っ先になくなると予想されたが完全自動運転は実現の目途すら立っていないので、むしろ運転手不足で物流崩壊の危機が叫ばれています
あらゆる建設業は3Dプリンタでできると変な予想がされていたが、当然そんな未来は来なかったし業界は建設作業員不足に陥っています
過去に消える職業と名指しされた業種の多くは実際には不人気職業になり、逆に求人が集まらず人手不足に陥っているのが分かります
今後そうなると言われているのが大工のような職人と高所作業者のトビ、自動車整備士、建設作業員などだと言われています
自動車整備士は数年前に低賃金ブラック労働が問題になりそうした記事を書きましたが、ブラック仕事を望む若者はいないので後継者が育っていません
整備工場やディーラーの整備士は白髪のおっさんばかりなので、20年後にタクシー運転手同様”平均年齢70歳”という事態になりかねません
自動車整備士の待遇が悪いのは新車販売時に「整備は〇年分サービスで」と値引替わりに無料にしているからで、売上ゼロなので整備士は低賃金な上サービス残業、工具や作業着は自腹で払っています
新車ディーラーが無料で整備するので町の整備工場も安くせざるを得ず、「車の整備は無料が当たり前」という常識が浸透してしまいました
整備工場などの整備能力が急速に衰えているので人々は壊れない車を求め、日本ではトヨタなど故障しない車が売れています
今後日本でもEV比率が上昇するがEVはバッテリーにダメージがあると修理不能で全損状態になるので、より一層整備士の役割は縮小します
例えて言えば昭和の時代はテレビは修理して使うもので修理屋さんがあちこちに居たが、今は映らなくなったら買い換えるので修理する人は居ないそんな感じになるでしょう
あらゆる大工や職人がいなくなる
高齢化し若者がならないのが職人で、あらゆる職人の世界が後継者不足になり存在そのものが危うくなると言われています
トビ職人はバブル日本の花形職業で派手な服装で街を闊歩し、高収入で遊びも派手だったのである種の若者の憧れの職業だった
だがデフレ不況を経て低成長が定着すると新築ビルの建設ラッシュは遠い過去になり、現在の平均年収は400万円だとされています
バブル期のトビ職人はその2倍(人や地域で違う)稼いでいた人も多かったので、トラック運転手と同様に時代の花形から不人気職業に変わった
大工も地方の人口減少によって木造一戸建て新築工事が少なくなり、昔ほど稼げなくなり個人経営の大工の息子すら後継者にならない
日本では政治家の息子は政治家、芸能人の息子は芸能人など良い職業なら世襲は当たり前なので、息子が跡を継がないのは親から見ても「跡を継がせたくない」のだと想像できます
今日本では古民家を再生するリフォームが人気ですが、古い家屋を再生するのは新築一戸建てより難しく大工の個人技能に依存しています
大袈裟に言えば法隆寺の修繕と同じ事を個人でやる訳で、経験数十年のベテラン大工だけが古民家リフォームをできます
日本の本土に大きな寺社が山ほどあるのに沖縄で首里城一つ作るのに苦労しているのは、経験豊富な高い技術を持つ職人が沖縄で少ないからだと言われています
職人が居なくなると伝統的な工法で家を建てるのは不可能になり、アメリカのように工場で加工して現場で組み立てる工法が主流になるでしょう
建設現場や高所作業や左官などあらゆる職人が高齢化していなくなり、日本は作業工法から根本的に変えなくてはならなくなります