「措置入院」精神病棟の日々(3) 老人を殺す介護士がいることを理解できた

「措置入院」精神病棟の日々(3)
    “シーチン”修一 2.0  2017/2/7

そもそも「措置入院」とは何か。「精神保健福祉法の知識」から引用する。

<措置入院とは、患者本人に対して行政が命令して入院させるものです。 これは精神疾患のために「自傷他害の恐れ」、つまり自分自身を傷つけた り、他人を傷つけたり、何らかの迷惑・犯罪行為をする可能性が高い場合 に、行政が患者に命令して、行政措置として入院を強制するものです。

病院と入院契約を交わすのは、患者本人でも家族でもなく、行政です。し かもこれは強制的な命令であって、患者本人の意志も、家族の意志も、関 係ありません。

このような極めて強制力の強い入院であるために、その条件はかなり厳し く、実際上は何らかの犯罪行為、違法行為を犯して警察ざたになった場合 が多くなります。

行政が患者を病院に連れてくるという行動に出る前に、「通報」が必要な のですが、それは以下の3つの場合があります:

・一般市民による通報(23条)
・警察官による通報(24条)
・検察による通報(25条)

いずれの場合でも、関わった人が「どうも精神疾患がありそうだし、危な い、このままだと自傷行為や他害行為をしそうだ!」と判断したときに、 通報するということになります。

要約すると、措置入院は以下の条件があるときに成立します:

・精神疾患があって、そのために自傷行為や他害行為をしてしまったか、 あるいは今後する危険がかなり高い。

・保護した警察官、検察、一般市民などからの通報があって行政が動き患 者を病院に連れてくるに至る。

・精神保健指定医2名が診察し、2人そろって「精神疾患があり、そのため に自傷他害の危険性が高い」と診断される。

・その診察結果を受けて都道府県知事あるいは政令指定都市市長が行政措 置として入院を命令する。

措置入院は、上記のような非常に厳しい条件で、自己や他人に危険性のあ る場合に保護・収容する目的でなされるものでもあるために、それ以外の 入院とは違い、基本的に入院中の外出や外泊は大きく制限されます。

つまり、相当な医療的保護監視のもとではないと、病院外に出ることさえ できないのです。また医療保護入院と同様に、場合によっては隔離・拘束 などの行動制限を使用することもありますが、これも医療保護入院の場合 と同様な一定のルールのもとで実施することになります>

小生の場合は、自傷行為と器物破損、家族への威嚇により家族からの110 番通報で「保護」されたが、警察から川崎市へ連絡が行き、翌日には川崎 市長・精神保健福祉センターから「措置入院が必要であるかどうかを判断 するため○○病院に移送します」との知らせがあり、翌日の夕刻に○○病院で 診察を受け、病名「双極性感情障害」、症状「粗暴行為による通報、緊急 措置入院」として精神科急性期病棟3Fで身体拘束された。

身体拘束の理由は、「自殺企画または自傷行為が著しく切迫している」、 「多動または不穏が顕著(徘徊、器物破損など、迷惑行為)だった。

身体拘束は想像をはるかに上回る厳しさだった。Salvafixという海外メー カーの製品で、以下のようなことになる。↓
http://www.medicpro.co.jp/salvafix.html

尿はチューブ、便はオムツで、食事の時は手の拘束ははずされるが、腰は ベッドに固定されているのでとても苦しい。食事の時以外は天井をにらん で横臥しているだけだから、腰は痛いし足はつるはで、ほとんど懲罰、拷 問の類。

4日目には「身体拘束されると、病気が治っても社会復帰はできないよ、 腰がやられるからね、歩行困難になる」と誰かから言われた(と思ってい るのだが、幽明界をさまよっている時期なので妄想あるいは夢かもしれな い)。

このため「このまま入院していたら病気が治るどころか壊れてしまう」と 思い込み、手足の拘束が解除され、腰ベルトだけになった5日目に締め付 けを緩める工作をし、痩せた体をどうにかベルトから解放し、逃げ出そう としたが、いかんせん、尿チューブが邪魔で部屋を出られない。

仕方がない、と尿チューブを力任せに引っこ抜き、廊下に出たものの、外 へ通じるドアはすべて施錠されており、どうにもエクソダス(脱出)でき ずにウロウロしているところを40歳前後の男性看護師“オーヘイ(横柄)” に見つかり、後ろから羽交い絞めにされ、ベッドに叩きつけられた。この 際に左手小指の筋を傷めたのだろう、3か月間機能不全になった。

“オーヘイ”は45歳ほどで、とにかく横柄である。自尊心の強い男はキャリ アとともにそれなりの地位につけないと不満が募り、八つ当たりしがち だ。社会に奉仕するのが社会人だが、社会が自分に報いるべきだと“オー ヘイ”は思っているのだろう。患者に寄り添うなんて考えもしないで、 「俺は絶対的存在だ、他者は俺の意に従え、逆らう奴は許さない」という タイプである。

“オーヘイ”により小生は、老人を殺す介護士がいることを理解できた(ど いうわけか川崎市でよく発生するが、本来は職工になる人が製造業の衰退 で職が少なくなり、介護職に就いているためかもしれない)。老人は彼ら 不平人の憂さ晴らしの恰好のターゲットなのだ。

そのエクソダス未遂事件はあっという間に看護師の話題になり、血だらけ になった小生のオムツを見た看護師からは「拘束の上に尿チューブはやり 過ぎだ」との同情も呼んだようで、翌日、小生はナースステーション脇の マウンテンビューのデラックス個室に移され、部屋から出ることは禁止さ れたが身体拘束は解除された。“脱獄”しかねない要注意人物として監視し やすくされたわけだ。

8日目には入院後初めてのDr.面談後、風呂にも入れるようになった。(つ づく)

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