中国が北朝鮮を攻撃することも

宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<中国が北朝鮮を攻撃するのではないか

「考えられないことを考える」と、中国が北朝鮮を攻撃するのではないか
  米国の介入を事前妨害の動きなく、しかも米朝開戦なら「中立」と放言
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 嘗てハーマン・カーン博士は「考えられないことを考える」と題して、世界核戦争がおきた場合のシミュレーションをハドソン研究所で真剣に展開した。それは単行本となり邦訳もでたが、日本では評判にもならなかった。

 この手法に従ってみると、これまで「あり得ないシナリオ」とされてきた「中国が北朝鮮を攻撃する」ことも起こりうるのではないか?

国際情勢は刻々と変化し、流転し、朝鮮半島の情勢は安定してはいない。この八月にも人民日報系『環球時報』は「もし米朝開戦があっても、中国は中立を保つべきだ」と驚くべきことを書いた。
中国国内のネット世論には「金三パン」という表現が削除されなかった。金王朝三代目の豚、という意味である。

朝鮮戦争に毛沢東が参戦したことにより、中国と北朝鮮両国が、いかに「血の友誼」でむずばれていても、その友好ムードを覆すような顕著な変化はいくつか起きていた。

あれほど熱心だった六者協議を、北京は絶望的に放擲している。そのうえ中国は韓国と国交を回復し、北朝鮮を激怒させたが、金正恩の狂信的核武装ドグマに静かな怒りを示し、過去四年間に中国共産党幹部の北朝鮮訪問は、李源潮(国家副主席)と劉徳江(常務委員)の二人だけ、2016年に金正恩の特使と異例の会談を習近平は行ったが、それまでの三年間、習は北朝鮮幹部とは誰にも会っていない。いや金正恩が北京に挨拶に行っていないのである。
 ことほど左様に両国は冷却環境にあった。
 
そのうえ、中国は国連の北朝鮮制裁決議に加わり、昨今はレジュームチェンジを示唆している。
中国は北朝鮮の核に反対意見を、国連大使の口を通じて述べている。それは(1)北東アジアに軍拡競争を激化させる。日本の核武装を容認せざるを得なくなる。(2)中国は核不拡散防止条約上、北の核はNPT条約の効果を希釈させる。同時に印度やパキスタンの核を合法としなければならなくなる。(3)核汚染、事故のおそれなどから反対するというのだ。


 ▲アメリカが介入して手柄を取られる前に

こうなると次のことが考えられる。中国が北朝鮮を攻撃するシナリオである。
 第一に中国はその矜持にかけても子分の元に出かけることはない。習は金正恩が大嫌いのようである。
 第二に4月の「一帯一路フォーラム」と九月の「BRICSフォーラム」初日に金正恩はミサイルを飛ばし習近平の顔に泥を塗った。
  第三に9月のミサイル実験は3700キロ。つまりグアムもさることながら、この距離だと、中国全土が射程に入っている。

  したがって米国と同様に小型核の搭載技術を獲得する前に、北朝鮮の核戦力を叩いてしまうことは中国の国益でもある。
習近平は「われわれは朝鮮半島の安定を望んでいるのであり、政権の安定を望んでいるのではない」という発言が暗示するように金正恩の排除を念頭に置いている

 そのうえ、中国が物理的攻撃に踏み切れば習近平は国際的なヒーローとして遇されることになるかもしれない。
 
 これらの要素に、もう二つ、中国の国内事情が加味される。
 第一は経済が深刻な悪化を示しており、株式市場に続いて不動産市場、為替市場の暴落が予測されるが、経済的苦境の矛盾をすり替える最大の効果とは「戦争」をはじめることである。
 第二に習近平になびかない中国人民解放軍内部の敵対勢力の排除である掌握できていない旧瀋陽軍区を北朝鮮攻撃に際して先頭に立たす」とどうなるか。軍権を掌握できるから「一石三鳥」となるかもしれないではないか。

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