今日の天皇には制度として、ご相談相手が欠けている

加瀬英明

孤独の人  Date : 2016/08/26 (Fri)

天皇陛下が8月8日にテレビを通じて、お言葉を読まれたのを謹聴した。ご高齢によって、お疲れになられたと、訴えられた。

 私は、なぜ、日本の男女がリオの五輪大会で健闘している時を選んで放映したのか、宮内庁の役人に対して憤りをおぼえた。

 これは、天皇によるクーデターだった。明治天皇によって定められ、現憲法下で継承されている皇室典範は、天皇の譲位を認めていない。お言葉のなかで、皇室典範が定めている摂政制度を斥けられたが、天皇が法を改めるよう要求されることは、あってはならない

  「天皇に私なし」と、いわれる。陛下はやはり、戦後のお育ちであられるのだと、思った。陛下は天皇のお役目を誤解されていられるのではないか。お言葉のな かで、「日本の各地、とりわけ遠隔の地や、島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として大切なものと、感じて来ました」と仰言せられたが、地方をお巡りにな られるのは、天皇の絶対的なおつとめではない

 天皇はご存在自体が、尊いのだ。ご高齢になられたら、公務は摂政にお任せになればよいし、宮中祭祀についても必要に応じて慣例を改めて、皇太子が代行されればよい。

  私が由々しいと思うのは、天皇のご存在が日本国統合の要であるのにもかかわらず、今日の天皇には制度として、ご相談相手が欠けていることだ。旧憲法のもと では宮内官として内大臣が側近に侍して、天皇がお気軽に意見を求めることができた。また総理大臣以下閣僚や、軍幹部が参内して頻繁に拝謁した。

 ところが、歴代の宮内庁長官は厚労省、警察、自治(現総務)省などの出身で、侍従長は外務官僚出で、ほとんど全員が例外はあっても、皇室の伝統について無知である。

 そのために、天皇が陸の孤島となったような皇居に、置き去りにされている。陛下が皇太子殿下であられた時に、学習院のご学友だった故藤島泰輔氏が『孤独の人』というベストセラーを著わしたが、今日ではいっそうそうなっているのではないか

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 新川二朗デビ... 尖閣 いよい... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。