不動産のプロはその物件が儲からないから、素人に売るのです


限界マンションのババ抜き大会


不動産投資はババ抜きだと言われますが、どうしてそう言われるかを考えてみる事にします。

土地を買ってマンションを建てて、朽ち果てるまで所有して賃貸で貸し出す事を想像すると、途中で嫌になります。

築50年以上経過してお化け屋敷になっている物件も、賃貸情報サイトで紹介されていますが、危険な気配が写真から漂ってきます。

限界まで老朽化すると水周りなど基本設備が使えなくなり、修理するには建物全部を同時に工事する必要があります。

そんな事をしても築年数は50年のままで、物件を借りる人は新しいマンションを探すので、あまり価値は上がりません。
マンションの建て替えは法改正で簡素化されたが住民の同意が必要で、ほとんど不可能でしょう。

お化け屋敷になってしまって所有者も責任を放棄すると、最終的に自治体がお金を出して危険な建物を取り壊します。
マンションの所有権を法的に放棄する事はできないのだが、取り壊し費用なんか払いたくないので、皆雲隠れします。
自分が最後の所有者になってしまうと自治体から費用を請求されるかも知れず、誰か他の人に掴ませたほうが良い事になる。

田舎では高齢者ばかりの限界集落が増えているが、都会でも高齢者ばかりの限界マンションが増加しています。
築40年以上のマンションは51万戸で、その50%では住人が60歳以上の高齢者だけになっています。
築40年以上のマンションは10年後に151万戸、20年後に300万戸に増加するのが分かっていて、防ぐことはできません。

儲かる物件はプロが押さえる


1995年に35歳でマンションを購入した夫婦は現在60歳で、もう60歳以上の高齢者に分類されています。
築40年以上マンションは空室率も高く、しかも賃貸では家賃が安いので、生活保護受給者などが住むようになります。
老朽マンションほど高額の管理費や修繕費が必要なのだが、支払う人がいないので設備が故障しても放置されます。

新築マンションが建てられるとまず分譲で売りに出され、不動産屋などが購入して賃貸物件になるが、新築なので高額家賃でも満室になります。
家賃は次第に下がっていき、築20年を過ぎると家賃を下げても入居者が集まりにくくなります。
この時点で不動産屋はビジネスを見切り、一般の不動産投資をする人が購入します。

場所が良くて購入費用が安ければ利益が上がるが、不動産屋が商売にならないと言って手放すので、一般の人が成功する事は多くない。
いくらかの利益が出るとしても、人件費や手数料に見合わない程度しか期待できない物件が、一般の投資家に流れてくるのです。
個人のマンション投資では「10年頑張ったけど、その間警備員のバイトしたほうが良かった」という人が多いのが事実のようです。

お金の計算で眠れない夜を10年間すごして、自分の物件を見て回ったり、クレームや修繕に対処するより、交通整理をする方が気が楽でしょう。
しかも10年後に不動産を売却して成果を計算したら、結局赤字だったというケースがまま在るのです。

不動産投資仲介サイトで老朽物件を「最初は低リスクでお小遣い稼ぎ」などと言って販売しています。

幽霊マンションの最後のオーナーには誰もなりたくない
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引用:https://kowaihanasi.files.wordpress.com/2015/01/22_201412241949312e4s20.jpg



プロがババを押し付ける手口


しかし不動産のプロが「これはダメだ、どうしようもない」という物件が一般のサイトに紹介されているので、それで利益を得られるのかは疑問です。

プロたちが素人投資家にババを売りつける方法は無数にあるが、分かりやすいのは物件紹介サイトの期待利回りでしょう。
紹介されている物件の多くが年10%以上で、中には20%や30%の高利回りを謳う物件も存在します。
様々な必要経費や税金などを差し引いた後の本当の利回りは、書いてある1割つまり2%前後だとも言われています。
業者による家賃保証制度が存在するが、入居者がいなければ家賃そのものを引き下げるので、実質的な意味が無い。
修繕費や管理費は築年数が新しいと安く、老朽化するほど高くなるが、その見積もりが最初から甘い。

おとり物件」もあって広告の物件は最初から存在せず、条件が劣る物件を紹介されて契約してしまう。
投資ローンを組む人が多いが、銀行はローンを返済しない限り新たな融資に応じないので、自分の住宅ローンを組めなくなる。
女性投資家には男性勧誘員が恋愛感情を利用して不利な契約を交わし、もちろん男性投資家には女性勧誘員がつけられる。

とにかく契約前と契約後では仲介業者の態度がガラリと変わり、知らされていない欠陥が次々に発見されるのが普通です。
入居者が「筋の人」だったり、家賃滞納者が大勢住んでいたり、最初から架空の入居者を用意している例もある。
入居者全員が「サクラ」で契約直後に全員が退去した(実際は最初から誰も住んでいない)という事もあったそうです。