台湾と中国・・・黄昭堂

黄昭堂氏のインタビュー
台湾と中国

1.台湾も支那も満州人に支配されていた
台灣は清朝の康熙帝(1654年~1722年)の時代に清国領土となった。それ以前の王朝では支那(この時代にはまだ中国は存在しない)の領土になったことはない。しかしこのことは台灣が支那の一部であることを意味しない。なぜならば清朝は満州人の王朝であって支那人の王朝ではない。逆に満州人が支那を支配していたのが清朝である。したがって支那も台灣もどちらも満州人に支配されていたのであり、被支配地の支那が同じ被支配地の台灣に対して自分の一部だというのは成り立たない。それゆえ台灣は支那の一部であったわけではない。

2.日本への台湾の割譲は合法的だった
1895年に終わった日清戦争の講和条約である下関条約(馬關條約)によって台灣は日本に割譲された。それ以降1945年に日本がポツダム宣言を受諾するまで、台湾は国際法上日本によって合法的に統治されていた。

3.ポツダム宣言受諾とカイロ宣言

1945年8月14日に日本政府はポツダム宣言を受諾する。それを受けてアメリカ合衆国ではGeneral Order No.1が作成された。これは各地で戦う日本軍に対し、連合軍司令官マッカーサー将軍よりどのように降伏するかを指示したものである。それによると、各地で戦う日本軍はその場所に拠って降伏、武装解除を受ける相手が違っており、支那と台灣、北緯15度以北のインドシナでは国府軍蒋介石への降伏することとなった。ここで、蒋介石将軍はGeneral Order No.1によって降伏の受付を連合軍司令官マッカーサーによって委任された。

その後、台灣に上陸した蒋介石国府軍は、台灣を自国領土と宣言し、その根拠はカイロ宣言であると言った。しかしカイロ宣言には実効力は無い。

その根拠は、
1)カイロ宣言は単に報道向け声明であり拘束力は無い。
2)チャーチル、ルーズベルト、蒋介石の署名が無い
3)戦時中に約束したことは履行義務を伴わない。この場合は米英が蒋介石国府軍に台灣を渡すということを言っているが、米英にはその履行義務は無い。General Order No.1による日本軍の武装解除委任が終わると蒋介石は台灣占領を連合軍にゆだねるべき立場にあった。

たとえば満州や北朝鮮はソ連がGeneral Order No.1に従って日本の降服を受付け武装解除し、それが終わったら自国領土とすることなく引き上げた。これと同じように在台灣日本軍を武装解除した後、蒋介石軍は台湾を自国領にすることはできず、中国本土に戻るべきであった。(蒋介石が中国共産党軍に敗れて台湾に敗走したのは1949年であリ、この4年後)

4.サンフランシスコ講和条約
太平洋戦争は1952年のサンフランシスコ講和条約批准で終了した。これで日本本土を武装解除して占領していた連合軍も撤退した。もちろんこの段階で蒋介石国府軍も台灣から撤退すべきだった。サンフランシスコ講和条約に署名した国の中には蒋介石国府軍の中華民國はない。また日本が本州、四国、北海道、九州以外の領土を放棄するとは書いてあっても台灣を中華民國に返還するということは書いてない。ということは台灣は日本が領土放棄した後、どの国にも未所属であるという意味になる。

このサンフランシスコ講和条約批准前の国会で、日本が領土放棄した後台灣がどうなるのかという質問が出て、政府は「領土を放棄したのであって、放棄した領土はわが国が与り知るところではありません。」と答えている。

もしも日本が中華民國に台灣の領土権を与えたのであれば、日本政府の答弁では日本の領土放棄後に中華民國に渡したと答えた筈だ。しかしこのように答弁するというのは、国際法上は台灣の地位は日本の領土放棄後未確定であるということを意味する。

5.日中国交回復
1972年、日本は支那の事実上の政権である中華人民共和国と国交回復する。中華民國は1949年に台灣に亡命済みで、その後継政権は中華人民共和国となる。そこで中華人民共和国も後継政権としてカイロ宣言を根拠に台灣の領有権を主張した。しかしながら日本はそのことを「尊重し理解する」と言っただけだ。これは「同意していない」ということを意味する。そしてこれは2008年の今でも変わっていない。それなのに報道機関や一部の学者が、台灣は中華人民共和国の領土であるかのような言い方をするのは、間違いであり、意識的に行われているとすれば嘘である。

以上により、台灣は中華人民共和国の一部ではない、と言える。

6.では台湾は誰のものか?
法的に日本が放棄した台湾の領有権を持っているのは、いまでも終戦時の「主要占領国アメリカ」しかない。そのアメリカも台湾を「暫定的に預かった」だけだから、台湾人民の同意なしに何処にも譲渡・割譲する権利はない。

アメリカは半世紀以上も台湾の主権について曖昧な政策をとっているが、台湾人はアメリカに対して明確な解決を要求するべきであり、台湾人自身がその帰属を決めるべきである。

7.日本の防衛は?
台湾が中国領になれば、万一中国が日本を攻めようとした時、今まではは西からだけしか攻められなかったのが、今度は南からも攻められるようになる。日本は西と南の2方面の守りを固める必要が出る。

日本は自国を護るためにも、台湾を中国に渡すべきでない。日本が台湾を中国から護ることは日本自身を護ることなのだ

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