ドイツの医療制度、日本と比べたら雲泥の差だった

ドイツの医療 わかりやすくレポートしています

医療に関しては、日本人ほど恵まれている国民は世界中探してもいない!!!

そうなんです

この体制を維持し かつ 金をかけないのであれば

まず 

保険診療であれば 北欧同様に「医療訴訟は できない」

と すべきです

そうしたら 医療事務が 大半省略でき 時間的余裕ができますから

以下 大切ですので 全文引用しておきます↓

川口 マーン 惠美

ドイツの医療制度、日本と比べたら雲泥の差だった

世界水準からみれば悪くないけれど 

2種類の医療保険

ドイツは日本と同じく国民皆保険の国だ。そして、医療保険には、「法定強制保険」と「プライベート保険」の2種類がある。

ドイツで住むからには、外国人であれ、失業者であれ、留学生であれ、全員、医療保険に入らなければならない。国民の9割が、法定強制保険に加盟している。

法定強制保険を提供している保険会社は100ぐらいあるが、システムは統一されている。掛け金は、収入が多ければ高く、少なければ低くなり、年齢や健康状態や家族構成は問われない。

法定強制保険といっても、あくまでも民間の保険会社の商品なので、掛け金やサービスは各社、若干の差がある。とはいえ元々の枠組みが同じなので、それほど大きく違うわけではなく、どちらかといえば、保険会社同士の健全な競争を促すための措置である。

一方、プライベート保険というのは、やはり民間の保険会社が提供しているが、ある程度の収入がなければ入れない(2018年の場合、月収が4950ユーロ〈約64万円〉以上)。

加入の際には、健康診断など少々面倒な手続きが必要だが、加入時の掛け金が安く設定してあるため、若い独身者にはこちらの方が法定強制保険よりも割安になる。ただし、掛け金は年齢とともに値上がりしていく。

自営業者は保険料の半額を事業主に払ってもらえるわけではないので、当然、プライベート保険を選ぶ傾向が強い。また、公務員も、医療費は全額国が支払ってくれるため、ほぼ100%プライベート保険に入っている。

日本にも、誰でも加入できる「国民健康保険」と、中小企業の従業員のための「協会けんぽ」、そして、かなりの大企業の従業員が加入している「組合保険」があり、サービスの中身に多少の差があるが、ドイツの法定強制保険とプライベート保険の差は、そんなに生易しいものではない。昔はそうでもなかったが、今では、それこそ天と地ほどの差ができてしまった。

では、それはどのような差か?

「お気の毒ですが…」

たとえば、法定強制保険に入っているAさんが、最近、具合が悪いので病院へ行こうとした場合。

ドイツの医療はホームドクター制を取っているので、自分で勝手に大病院に行くことはできないから、まず、巷で開業している医者で診療を受けなければならない。これは眼科でも産婦人科でも同じ。そこで、近所の開業医に電話をする。

すると、受付の最初の質問は、「どの医療保険に入っていますか?」

Aさん:「法定医療保険の○○です」

受付:「うちの患者さんですか?」

Aさん:「いえ、初めてです」

するとたいてい、「お気の毒ですが、ただいまうちは新規の患者さんは受け付けておりません」でおしまい(中には保険医の認可を返上してしまって、プライベート保険の患者しか見ない医院もある)。

仕方なく、他の医院に電話をして探すと、そのうち「では、来月の○日に」などと、5週間ぐらい先の予約が取れたりする。

しかし、同じことをプライベート保険に入っているBさんがすれば、「では、来週の○時に」と、かなりスムーズに予約が取れることは間違いない。

なぜ、このような差があるかというと、Aさんを診るのと、Bさんを診るのでは、医師の報酬に雲泥の差があるためだ。Bさんなら、同じ診療でも、最高でAさんの3.5倍の診療金額を請求することができる。

また、ドイツの医療費は、1年を四半期に区切って3ヵ月毎に計算されるが、法定強制保険に入っているAさんの場合、3ヵ月の間に何回来院しようが、医師は一定の決まった診療報酬しか請求できない。ところが、Bさんなら、医師は、2回見れば2回分の報酬、3回見れば3回分の報酬を受けられる。

だから、医師はなるべくBさんを優先的に診ようとするのは理の当然。そこで患者を受付で篩にかけ、しかも、強制保険の患者が3度も4度も通ってこないよう、予約診療が徹底されている。

さて、ようやく診てくれる医者が見つかり、診療を受けても、Aさんはなかなか次の大病院や専門病院に回してもらえない。回してもらえても、今度はそちらの予約が取れない。専門医の待ち時間は数週間どころか、数ヵ月になる場合もある。

自分が何か深刻な病を抱えているのではないかと心配しているAさんにとっては地獄だ。それに比べてBさんは、さっと精密検査に回る。大病院や専門病院でもプライベート保険の患者は歓迎されるので、医師の連携は取れている。

待遇の差は一から十まで付いて回る。Bさんはどこの病院でもゆっくりと話を聞いてもらえ、治療の方法に希望を言うこともできる。高い検査もしてもらえて、高い薬も出してもらえる。入院は個室で快適。特別食が出て、手術の執刀医に偉い医者を指名できる。Aさんは、上記のどれも享受できない。

日本では考えられない事態

最近は医師不足も相まって、この差があまりにも激しくなり、国民の不満が抑えきれなくなってきた。子供が中耳炎になっても、老人が高熱を出しても、どこへ電話しても診てくれる医者がいないなど、日本では想像もできない事態があちこちで起こっている。

それにもかかわらず、保険料だけはこの5年間で4度も値上がりしている。値上がりしていて、サービスが落ちるのだから、皆が怒る。高齢者はどんどん増えるし、難民が毎年何十万人も入っている。ドイツでは医者も医療費も壊滅的に足りないし、改善の見通しは薄い。

そこで保健大臣が考え出したのが、医師が法定強制保険の患者をもっと診るよう、法律を作ってしまおうということ。そして本当に3月14日、次のような法律が議会を通った。

①開業医は、法定強制保険の患者を、週に少なくとも25時間診察しなければならない(これまでは20時間だった)
②法定強制保険の初診の患者を受け付けたり、大病院や専門医に素早く紹介したりすれば、医師は別途に報酬を受けることができる
③耳鼻科と婦人科は、予約なしの患者を週に少なくとも5時間は診なければならない
④「予約センター」を新設し、電話をすれば、どこかの医院に予約を取ってもらえるようなシステムを作る

ただ、この法律が議会を通った途端、医師会、および保険会社の抵抗で、現在、収拾がつかなくなっている。医師の言い分は、①自分たちはすでに限界まで働いているし、②プライベート患者を診なければ設備投資もできない、というもの。

法定強制保険の患者は、医師がプライベート保険の患者を診たお金で購入した高価な設備の恩恵を被っているというわけだ。

一方、保険事業連合会の会長も、この法律は憲法違反ではないかと怒りを抑えきれない様子。保健大臣は専門家の意見を何も聞かず、独裁者のように法律を通してしまったと。

大臣は、この法律は「何百万もの人たちの日常をより良いものにするため」の改革だと言っているが、これで本当に法定強制保険の患者が今までより早く予約が取れるようになるかどうかは、まだわからない。

ドイツの医療制度は、世界の水準から見れば、決して悪くない。しかし、日本とは比べ物にならない。

拙著『老後の誤算 日本とドイツ』でも詳しく触れたが、平等という点から見ても、低負担・高度医療というコストパフォーマンスの点から見ても、医療に関しては、日本人ほど恵まれている国民は世界中探してもいないというのが、私の感想だ。

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