小林麻央さんも通院した医師が逮捕 「臍帯血」とは何か

 

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小林麻央さんも通院した医師が逮捕 「臍帯血」とは何か

 母親と胎児を繋ぐへその緒に、悪徳医師が群がっている。彼らの目的は、その中に含まれる臍帯血。がん治療からアンチエイジングまで、数多の治療に利用される臍帯血を巡り、あの小林麻央さんのかかりつけ医師までもが、法を犯す始末。医師を取り憑かせるこの血液は、万能の滴か、はたまた悪魔の液体か--。

《当院はがんの統合医療を中心に、薬に頼らない小児医療、美と健康増進の医療を行う、心と身体に優しい施設です》

 東京・南青山の内科病院「首藤クリニック」のホームページには、こんな謳い文句と共に、従来の学説に縛られない“最先端”のがん治療や美容施術が多数紹介されていた。

 「高温の水素風呂に浸かるとがん細胞が消える、という『水素温熱免疫療法』をはじめ、赤ちゃんのへその緒の中に含まれる『臍帯血』を用いたがん治療やアンチエイジング療法など、医学界の常識に挑戦する姿勢を前面に出したクリニックでした。患者の中には著名人も多く、院長の首藤紳介容疑者(40才)は、メディアにも何度となく取り上げられています」(医療関係者)

 6月に乳がんで亡くなった小林麻央さん(享年34)も、同クリニックに通院していたと報じられた。

 「都内の大学病院に入院していた麻央さんですが、同時に民間療法も受けており、最後まで通い続けたのが『首藤クリニック』でした。水素温熱免疫療法をはじめ、院長の説くがん治療に感銘を受け、さまざまな施術を受けていたようです。夫の市川海老蔵さん(39才)も院長を全面的に信頼していたし、時には姉の麻耶さん(38才)を連れ立って通院する姿も見られました。総治療費1億円とも報じられた麻央さんの闘病生活のうち、このクリニックの治療にかなりの額が払われていたようです」(芸能関係者)

 だが現在、同クリニックは営業を停止している。院長が不在だからだ。

 ◆民間バンクが倒産して検体が闇ルートに流出

 8月27日、首藤容疑者を含む医療関係者6人が、再生医療安全性確保法違反で一斉に逮捕された。捜査していたのは、愛媛、高知、茨城、京都の4府県警の合同捜査本部。

 「容疑者を繋いだのは『臍帯血』。茨城県にある民間の臍帯血バンクから流出した検体が、仲介業者を経由して全国の医療関係者の手に渡った。首藤容疑者らはこれをがん治療や美容、アンチエイジング目的で複数の患者に移植していました。臍帯血移植は、厚労省に届け出をしなければいけないのですが、彼らは届け出をせずに無許可で施術をしていた疑いが持たれています」(全国紙記者)

 そもそも臍帯血を移植するとはどういうことなのか。高知大学医学部 先端医療学推進センターの相良祐輔名誉センター長が解説する。

 「臍帯血の中には、さまざまな組織や臓器の源である『幹細胞』が豊富に含まれています。移植する際はこの幹細胞を主成分とした臍帯血を採り出し、輸血する形を取る。主に白血病患者に行われる治療法で、造血機能を正常化させる効果が認められています」

 2011年に白血病を発症した大塚範一キャスター(68才)も、2013年に臍帯血移植に踏み切り、その後、症状を改善させている

 1つのへその緒から採れる臍帯血は60~100mlとごくわずか。日本赤十字社や民間団体によって「臍帯血バンク」が運営され、同意を得た妊婦から赤ちゃんの臍帯血を冷凍保存し、活用しているのが現状だ。

 しかし、民間の臍帯血バンクの中には資金繰りが悪化して倒産し、保存されていた臍帯血が闇ルートに流れるケースもある。

 「今回の事件はまさにこの典型的なケースです。悪質な業者に渡り、そこから医療関係者に流された。不正に入手した臍帯血なので、医師側も厚労省に届け出をすることができなかったのでしょう」(前出・全国紙記者)

 前述の通り、厚労省に届け出をすれば、臍帯血を用いた治療自体は違法ではない。

 「臍帯血に含まれる幹細胞は造血や神経、血管、筋肉を作る能力があります。“ならば他のがんにも応用がきくはずだし、美容にも効果があるはずだ”と主張する医師がいることは、わからないでもない。実際、正規の手順をたどれば、アンチエイジング目的であろうとも、臍帯血を移植することはできます」(医療ジャーナリスト)

 臍帯血移植を行う美容クリニックのホームページを見ると、《新たな皮膚細胞の生成》《シワ予防》《ヒアルロン酸の生成を活性化》といった文言がズラリと並び、今でも施術希望者を募っている。

 「ただし、その治療はおのおのの美容クリニックが保険外適用の『自由診療』で行っているもの。効果については医学的根拠が乏しいのが現状です」(前出・医療ジャーナリスト)

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