全体主義国家は、五輪後10年ほどで崩壊するという原則

9年という説もあったのですが チャイナが 必死に生き残り工作しているので 10年に

北京五輪後の10年という不吉

湯浅博の世界読解】安倍晋三首相が10月26日の日中首脳会談で、2020年の東京五輪への招待を習近平国家主席に持ち掛けたとき、ふと2人の首脳は「歴史のアナロジー(類推)をどこまで意識しているだろうか」と考えた。

 実は08年に開催された北京五輪の際に、「全体主義国家は、五輪後10年ほどで崩壊するという原則がある」という研究者間のささやきがあった。

 「実際に、1945年に崩壊したナチス・ドイツは、36年にベルリン五輪を開催していた。91年に崩壊したソ連も、80年にモスクワ五輪を開催している。では、2008年に開催の北京五輪から10年後はどうだろうか」

 早いもので北京五輪から10年がたった。その周期説に従えば、中国が18年から崖っぷちに立たされるとの怪しげな宣告である。もっとも、米中の「新冷戦」が取り沙汰されているいま、必ずしもうろんな予言とも言い切れない。習主席が聞いたらジョークとは思えないだろう。

 民主国家にはそんな因縁はないから、安倍首相は気楽に「TOKYO2020」への招待状を習主席に手渡した。五輪時の訪日があるか否かは、習主席が体制維持に自信があるかの試金石になる。ちなみに、1964年の東京五輪の期間中に、中国は初の核実験を成功させたが、モスクワではフルシチョフ首相が失脚している。

 かくいうほどに、“新冷戦”下の習主席は、過去には考えられないほど慎重に対日外交を演じていた。安倍首相を公式に招きながら、習主席も李克強首相も顔は少しも笑っていない。ロシアのプーチン大統領との会談で見せた表情に比べると一目瞭然であった。

 中国の人々は、生活水準が上昇を続ける限り、中国共産党の一党支配を許容する。だからこそ、米中貿易戦争で打撃を受ける習政権にとって、経済規模の「1位、3位連合」である日米が、そろって対中報復に踏み出すことは悪夢だ。

 共産党の生き残りをてんびんにかければ、好悪、正邪を引っ込めて日本を引きつけておかなければならないと考えるだろう。安倍首相もお付き合いで無表情をつくり、ウイグル族に対する弾圧を念頭に中国の人権状況に言及し、スパイ容疑で拘束されている邦人への対処など、言うべきは言うところは外交が過酷な闘争であることが分かる。

 ただ、お付き合いついでに「競争から協調へ」などと、孤立する中国に救いの手を差し伸べるような奇麗事は余計なことであった。

 習主席は日米同盟の絆から、安倍首相の背後にトランプ大統領の存在を見ているはずだ。首相に「自由貿易の擁護」という誘いの言葉を投げ、対米牽制のジャパン・カードに仕立てようとしている。

 安倍外交でかろうじて救われるのは、首相が北京から帰国したその日に、中国の宿敵であるインドのモディ首相を東京に迎え入れたことである。山梨県鳴沢村の首相自身の別荘にも招待し、個人的な親密さを巧みに表現していた。

 安倍首相はトランプ大統領の猜疑心(さいぎしん)を払拭し、あくまで中国を念頭とした「自由で開かれたインド太平洋戦略」を堅持しているポーズを示したかったのだろう。米中新冷戦下の対中接近は危うい。(東京特派員)


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 韓国では「約... 孤立化”進む韓... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。