【お題】コロナ禍の巣ごもり生活で運動をサボる癖がついて

落語が 役に立ったと

 

【お題】コロナ禍の巣ごもり生活で運動をサボる癖がついて|山本一力 心が楽になる江戸の知恵

水泳池江璃花子選手が白血病を克服し、レースに復帰した。前向きに練習に取り組み、レースで頑張る姿は、コロナ禍で暗いニュースばかりの中、励みになる。

 が、しかし、だ。それが自分のことになるとできるかどうか。50代半ば、健康診断はグレーゾーンがちらほらで、いわゆる生活習慣病が進展するかどうかの瀬戸際。

 コロナ前はジョギングしていたが、コロナの巣ごもり生活でサボリ癖がつき、今もサボったままだ。やらなきゃいけないことはわかっているが、できない。妻にも「太ったでしょ。痩せたら」と嫌味を言われる始末で……。

 そこでだ、ご同輩。

 決意を三日坊主としない秘訣とは?

 凡人にも克己心はあるが、強い動機がなければ頼みになってくれぬ。

 遠い昔の恥をさらし、おれでもできた、を。

 * 

 1969年当時、藤沢から東京まで湘南電車で通勤していた。当時の国鉄は組合が強く、通勤電車は連日遅れていた。

 遅刻常習のわたしは、部の企画会議で発言しても、軽くいなされた。

「定刻出勤できたら、提案も拝聴しよう」と。

 口惜しいが、指摘は事実だ。帰宅時に聴いたラジオ名人会で、意志の弱きを思い知らされた。

 演目は古典落語「芝浜」

 鮮魚担ぎ売りの勝次。長らく休んでいた仕入れに芝の魚河岸に向かった。


 女房に1時間も早く起こされてしまい、魚河岸はまだ眠っていた。時間潰しに出向いた芝の浜辺で、財布を拾った。

 中身は一分金で、五十余両も詰まっていた。

 急ぎ帰った勝次は、拾ったカネで遊んで暮らせるぜと。聞かされた女房は、夢だったことにした。

 続きは読者貴兄に、読むなり聴くなりしていただきたい。

 藤沢到着時、落語は終わった。まだ21歳だった小僧は奮い立った。

 明日から早出しよう。芝浜同様、1時間早く出よう。これならできる。

 5分、10分ばかり早く出ても、電車遅れで帳消しとなる。しかし1時間あれば、少々遅れてもビクともしない。

 初日は「天気が変わる」と、からかわれた。しかし5週間が過ぎたら、部の会議でも「いい案だ」と、認められていた。

 ただ早く出勤するだけで、信用された。

 これなら格別の身体訓練も不要。偉人でなくても、できるはずだ。

 継続は力という。

 1時間の早起きは、5日も続ければ身体が慣れる。ただの早起きも、継続は力なりだ。

 

「芝浜」は ↓

古典落語「芝浜」物語のあらすじ wiki

天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲みすぎて失敗が続き、さっぱりうだつが上がらない、裏長屋の貧乏暮らし。その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら魚市場に仕入れに向かう。しかし時間が早過ぎたため市場はまだ開いていない。誰もいない美しい夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つける。拾って開けると、中には目をむくような大金[1]。有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。

翌日、二日酔いで起き出した勝に女房、こんなに呑んで支払いをどうする気かとおかんむり。勝は拾った財布の金のことを訴えるが、女房は、そんなものは知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれのに見たんだろと言う。焦った勝は家中を引っ繰り返して財布を探すが、どこにも無い。彼は愕然として、ついに財布の件を夢と諦める。つくづく身の上を考えなおした勝は、これじゃいけねえと一念発起、断酒して死にもの狂いに働きはじめる。

懸命に働いた末、三年後には表通りにいっぱしのを構えることが出来、生活も安定し、身代も増えた。そしてその年の大晦日の晩のことである。勝は妻に対して献身をねぎらい、頭を下げる。すると女房は、三年前の財布の件について告白をはじめ、真相を勝に話した。

あの日、勝から拾った大金を見せられた妻は困惑した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死刑だ。長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝に財布の金が下げ渡されたのであった。

事実を知り、例の財布を見せられた勝はしかし妻を責めることはなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置く。「よそう。また夢になるといけねえ」

 

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