精神科病院事情

 

院長のここでしか言えないお話

精神科病院事情 : 院長のここでしか言えないお話!

東京八王子の精神病院での看護士による入院患者への暴行事件、ショッキング映像としてTV各局こぞって長尺で報道してましたが、その後はぷっつりです。弁護士が入院患者からの訴えを代理して訴えたことが発端だったのでしょう、何本も並んだマイクを前に当の弁護士は明らかに正義の味方でしたが。あの時私は別のブログで書きました、

これで「犯人」看護士が何人か抜かれると日常業務に支障が出て、患者数に対する看護者不足で病院の運営ができなくなるだろう、すればさらに入院患者に累が及ぶだろうと。

コロナコロナで病棟勤務の医者や看護師が病欠でどんどんいなくなった時のように。映像に晒された看護士だけの問題で病院には問題はないという前提での話でしたが、実はそうではなさそうでした、久しぶりに記事を見ました(3/4 朝日新聞)。

日本精神科病院協会の聞き取りに、院長が寝耳に水だと答えたとの内容です。そもそも精神科病院への入院とは他の一般病院の場合とはあれこれの相違点があります。全例がそうではないと断っておいて典型的な差異を並べると、

1.家族が退院を望まない、2.家族が治癒を望まない点です。できればこのままずっと入院しておいてほしい。入院に至るまでには数々のトラブルを経てきているケースがほとんどだからです。だから少々の不満(もとよりそういうクレームをつける意向などありません、ならば出てくれと言われる方がうんと不利益ですから)は呑み込みますし、そこのところの呼吸は病院側もわかっています。有体に言えば、

入院したら文句を言うなよ

です。こちらはこちらであとは任せっきりです、退院してほしくないのですから。という特殊な環境でおこった事件です(はっきり言うてこんなことは全国どこでもある話でしょうから、正確に言えば初めて起こった事件、ではなくて初めて露わになってしまった事例です)、「業界あるある」に溢れてます。

冒頭の院長の言、寝耳に水、と言うておかねば、そうでなければ知ってたけれどということで共犯になってしまいます。

今後の展開はわかりませんが、院長は私の指示ではないと言うてるのです。ここで、私の監督不足でしたと一応謝って見せるのと、どれほど結果が違いましょうか。この辺りは院長の気質、性格が垣間見えるようではあります。

記事は、

この病院の死亡退院率(入院後に死亡することです)が異様に高いこと、全入院者183人中地元八王子以外に住所のある者が172人と「九州から北海道まで全国から患者を受け入れている」病院であること、183人中101人が生活保護受給者だった

ことを教えてくれます。

上記の如く精神科病院であること自体が特殊な環境なのですが、この病院にはもう一つ特記すべき特徴があったようです、

精神病と他の合併症のある人を受け入れてくれる病院は世の中に極端に少ない、この病院は透析患者さえも受けてくれた

と。だから死亡退院も多いのだとは院長の弁だそうですが、どこも受け入れないからここに入院させているのだ

という事実なんですね。精神疾患のある者の急病を一般病院は大概は拒否します、これが厳たる現実です。あるいは一般病院で治療を受けていたら死なずに済んだケースであっても、精神疾患の既往があるばかりにたらい回しされ、見出しにあるように「最後に行きつく場所」に運ばれて死んでしまう。生のまま言うてしまえば、例えば

くも膜下出血や心筋梗塞などの本来の治療のできぬ病院に運んで死なせてしまう。日本中どの地域ででもありふれた事例です

これはこの病院が咎められるべきことではなくて救急医療体制の構造的欠陥です(万人の命は救うべきであるという思想に則ればの話ではありますが)。聞き取りした精神科病院協会は今後転院を希望する患者を支援する予定だそうですが、

当の院長は「転院を希望している患者はいない」

と答えたそうです。最後に行きつく場所に辿り着いている人達です、仮にどこかに転院してもまたあれこれたらい回しされるがオチなのでしょう。それもここの院長は知っている。お前達(協会)の言うような

きれい事だけで世の中回らない

と言うているのです。敢えて汚れ役を買って出てる、そういう思いもあるのでしょうね。精神疾患のあるコロナ感染者なんかも受け入れてたんじゃないですかね、どこも診ませんからそれこそ。

認知症例や介護施設で寝たきりの症例のコロナ感染者受け入れ先を見つけるのに保健所がどれだけ苦労してたか

当地のような田舎町でもそうでしたから都会では大変だったでしょう。そんな中でこの病院です、救急隊や行政にとっても最後の砦だったことは想像に難くありません。少々の不都合には(施設基準不適合やクレーム)には目をつぶって来ていても何の不思議もありません。必要な病院だったのでしょうから。

昔、生活保護受給者ばかりを集めて入院させてた病院が非難されてましたね、代金のとりっぱぐれ(未収)がないからです。衣食住が揃っている病院ですから喜んで入りますね連中も。そういう世間からあぶれた、こぼれた人達を受け入れる場所は必要なのでしょうが、それをビジネスにするか、慈愛の精神で身銭を切る人を待つか。待てないですねとても、現に溢れているんですから。

記事の最後には当該病院の元職員の言が載ってます、身寄りがなくて退院しても引き取り手のない人ばかり。この病院がなくなったら行き場所に困る人がいっぱいいると。あの看護士たちの行為は非難に値します、職業上やってはならぬ行為ですから。彼らはきっと刑事罰を受けて資格剥奪されましょう。

ではこの病院はどう咎められるのでしょうか。食中毒出した業者の一定期間の営業停止のようにはいきません、入院患者がいますからね。捕まった看護士の補充が簡単にできるはずもありません。都は保健所はどう対応しましょうか。人が死んだわけではないので院長は微罪で済みましょうが(今からあれこれ痛くないところまでほじくられましょうからどんな余罪に見舞われるかは知りませんが)、上につらつら書き並べてきたようにこの病院の特殊性に鑑み罪一等減じて看護師への教育を徹底して早く従前の業務に戻るべしとでもなるでしょうか。弁護士がどこまでしつこく闘うかにもかかってますが。


 もうひとつ、あの映像で気づくことは、男の看護師(看護士と表記してきました)であることです。未だ開業医(町の医院)には看護婦さんばかりでしょうが、今時に男の看護師は多いのです。

大病院の一般病棟にはもう珍しくないらしいですが、昔から男の看護士は手術場か精神科の病棟勤務と相場が決まってました。単純に体力腕力を求められてです。

暴れるのを抑えつける。この役目です。最近は介護施設にも多くいます、同様の理由です。女の看護師にもああいうのはいるのでしょうが、やはり粗野なのは男でしょうねぇ。密室でのいわれなき主従関係。我が身をその場に想像してみてください、やはり怖ことです。 

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