李登輝前台湾総統の訪日を考える  

宮崎正弘
李登輝前台湾総統の訪日を考える  (上)  (下)

中国を侵略したのはイギリス、ドイツ、ロシアだった。朝鮮戦争で中国が実際に戦った相手は米国だった。
 日本は戦前、満洲族の土地に進出したが、本来の漢民族の土地ではなかった。
 ところが各地にある歴史記念館は「反日」一色であり、肝心の反米、反英、反ロの展示はほとんどない。軍事大国、政治大国には立ち向かわない心理が働いているからだ。
 常に中国は、強い者には媚び、弱い者は徹底していじめるという事大主義的な体質が濃厚にあるからである。・・・

大東亜戦争で日本と対峙し闘ってきたのは蒋介石の国民党だった。当時、共産党はその背後で蠢いた武装ゲリラでしかなかった。
 戦後、毛沢東が満州を「恢復」できたのは、ひとえにソ連軍のおかげである。
 蒋介石とて抗日戦の勝利は、日本が米英に降伏したあとの“漁夫の利”でしかない。
 台湾における日本の資産をあらかた接収し、国民党は世界一の金持ち政党になったが、その事実を台湾の歴史教育は教えていない 
ましてや中国共産党とて、当時は党の指導よろしきに拠って、「正式」に日本に勝ったわけではない。
その冷厳な事実がバレルと都合が悪いので懸命に隠し、歴史を共産党が勝ったかのように改竄している。各地の反日記念館の陳列はおしなべて、そうした仕組みになっている。・・・・

国共内戦に敗れて以降、大陸を捨て台湾に逃げ込み、統治してきた国民党こそが実際には日本軍と戦ってきた実体であり、北京には彼らに対する劣等意識の裏返しがあるからである。・・・・

中国は歴史上かつて一度も台湾を!)実効統治!)したことはない。日清戦争で負けて台湾を割譲したときも、「あんな化外の土地などいらない」と嘯いたほどだ。・・・・
蒋介石独裁時代には台湾でも中華思想の歴史教育を徹底した。
子供達に反日を教え、日本語教育は禁止され、そうした状況を李登輝氏は司馬遼太郎との対談で「台湾に生まれた悲哀」と比喩した。

延安の洞窟に籠もったゲリラに過ぎなかった毛沢東は、ソ連の援助を得ることで俄に優勢になった。

 昭和二十年八月、日ソ中立条約を破棄して旧満州に怒濤のごとく侵攻したソ連は、当初日本軍の激しい抵抗を受けた。
 ところが天皇陛下の玉音放送によって日本軍は武装解除に唯々諾々と応じたために日本軍の兵器はソ連に接収され、その多くが毛沢東に横流しされた。
 国民党と共産党の軍事力のバランスが突如逆転した。これが直接の原因となって蒋介石は毛沢東に負けてしまうのである。

北京は日本と戦ってもいないのに「戦勝国」となって常任理事国入りした。


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