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江戸時代は“ヤクザ”に犯罪を取り締まらせていた
江戸時代は“ヤクザ”に犯罪を取り締まらせていた
江戸時代は“ヤクザ”に犯罪を取り締まらせていた|神楽坂淳の新「異説まちまち」
定期的に警官の不祥事が新聞を飾る。そのたびに「警官はたるんでいる」というような意見も見られる。 しかし、...
日刊ゲンダイDIGITAL
定期的に警官の不祥事が新聞を飾る。そのたびに「警官はたるんでいる」というような意見も見られる。
しかし、現代の警察は江戸時代に比べるとものすごく不祥事が少ない。こと治安維持にかけては、江戸時代は不祥事が多かった。
与力や同心の不祥事はなかったが、いわゆる岡っ引きは不祥事でできていたといってもいい。岡っ引きは与力などと違って非正規雇用である。給金もない。同心が自分の金から「小遣い」を渡すのだが、1カ月働いても現代の感覚で1万円程度。とても暮らせるものではない。それなのにどうして岡っ引きが成立したのか。
それは、岡っ引きがいわゆる「ヤクザ」だったからなのである。犯罪者のことを一番知っているのは犯罪者である。だからヤクザの親分に十手を持たせて犯罪を取り締まっていた。
ただし、岡っ引きの犯罪は取り締まれない。自分の犯罪をやりやすくするために他の犯罪を取り締まっているからだ。だから岡っ引きの評判はいつも最悪で、幕府も何度も「岡っ引き廃止令」を出している。しかし、岡っ引きを取り締まると犯罪が増えてしまう。
裏社会に通じない人間だけが捜査をしてもうまく犯人が見つからない。結局はある程度の犯罪に目をつぶって大きな犯罪を取り締まることになる。
犯罪にも、餅は餅屋ということがある。同心は真面目だから、賭場で遊んだりもしない。普段から悪い連中と遊んでいる岡っ引きのネットワークには勝てないのである。
人間には性質というものがあるから、真面目な人間が賭場に行って遊ぶのはなかなか難しい。そもそも同心は案外残業はない。トップの町奉行は、過労死するときが引退のときというくらい過密なスケジュールだが、配下の同心はそうでもない。
午前10時に奉行所に顔を出してから勤務をはじめて、午後6時には終わる。その間に江戸の町を歩いて回るのだが、8時間ではやはり足りない。結果として岡っ引きに丸投げすることになる。報告を受けてから調べるという形だ。つまり、岡っ引きからの報告がなければ事件は「なかったこと」になってしまう。
しかし、いくらなんでも非正規雇用の岡っ引きばかりに頼るわけにもいかない。凶悪犯罪専門の火付盗賊改などは同心が頑張っていた。ただし、頑張りすぎて冤罪を多発するので評判はやはり悪かったのだった。残念だ。
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