危うし、ソフトバンク。その面妖な展開に要注意!

宮崎正弘の国際情勢解題

 書評

 中国経済壊滅の危機は時限爆弾のように迫っている
そのときアジア経済は? EUも火薬庫になるのではないか

  ♪
渡邊哲也『世界と日本経済予測2020』(PHP研究所) 
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 長谷川慶太郎氏が得意とした大胆な経済予測の年度版は、氏の急逝により聴けなくなった。
ト思いきや、新星「テツヤ節」が土佐の高知のはりまやばしの音色を含んで登場し、またたくまに保守論壇を席巻した。「土佐の高知のはりまやばし」と書いたのは氏が月に一度、ビジネスのため高知へ通っているからで、他意はない。
評者(宮崎)は渡邊氏とすでに三冊ほど共著を出しているが、じつに精密な分析を展開すると同時に、その予想の原点となるデータや基礎認識がふたりに共通している。世界解釈がおそらく同じ立脚点にある。
したがって同様な国際経済の先行き予測が出てくる。
かねてから評者も、米中経済戦争によって世界のサプライチェーンの再構築がはじまること、WTOは機能不全であり、TTPは米国が抜けて子供の遊び、RCEPはインドが不参加で空中分解と予測してきた。
 本書では、2020年の予測ポイントとして48のシナリオが並ぶ。
 それぞれが魅力的であり、じっくりと読んでみたくなる読者が多いだろう。文章の中にさりげなく挿入された予測分析に、じつは重要なヒントがいくつか潜んでいる。
 日本経済にとって米中対決は絶好の機会であるにもかかわらず、この「敵失」をチャンスに活かせない。
いや、その発想さえないのが日本企業の重役たちの特質である。
サラリーマン根性の抜けない取締役連中は常日頃から「木偶の坊」といわれるが、本当の意味は役立たずであるばかりか、役人と変わらないチャレンジ精神の抜け殻、そうじて最大の敵は日本企業だということになる。
 中国経済が壊滅する危機は時限爆弾のように迫っているが、そのときアジア全体の経済はどの程度の被害を受けるのか、立ち上がるまでにいかなるリスクが横たわっているのか。
そしてEUが火薬庫になるのではないかとシナリオが地球儀的に拡がる。
 さて、評者、つぎの箇所に大いに注目した。
 それはソフトバンクの破綻リスクである。詳細はむしろ本書に当たっていただくことにして、この欄では紹介にとどめることにしよう。 
 危うし、ソフトバンク。その面妖な展開に要注意!
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