ギンスバーグ最高裁判事の死

 

AC通信 No.806 (2020/09/19)AC 論説No.806 ギンスバーグ最高裁判事の死

新しい記事を書いていたところへ、ルース・ベーダー・ギンスバーグ最高裁判事が死亡したニュースが入ってきたので改めて特別記事を書くことにした。これはかなり大きなニュースでこの後も後続記事を書くことになるはずだ。

ギンスバーグ最高裁判事は本日9月19日(金曜日)再発した膵臓癌の治療中に死亡した。彼女はこれまで大腸癌、肝臓癌、膵臓癌と膵臓癌再発と4度も癌を経験し、遂に癌との戦いに負けた。享年87歳。彼女はクリントンが任命した最高裁判事で在職28年だった。

11月3日の総選挙投票日まであと42日ある。大統領の任期は来年1月20日まで、国会議員の任期は来年1月3日までである。つまりトランプ大統領が新しい最高裁判事の候補者を上院に提出し、上院で十分に討論して投票に持ち込むまでだいたい80日あり、新しい判事の審査と投票には時間的に十分と言える。だが総選挙でトランプとバイデンが候補者争いをしている際だから民主党は新判事の任命を新しく選出された大統領にすべきだと言って論争になるのは当然だ。

ギンスバーグ判事は癌が再発したあと入院して治療を受けていたが5月に新たな転移が見つかったので、辞職して治療に励む可能性もあった。しかし彼女は5月12日に「最高裁判事の仕事ができなくなるまで辞職はしない」と発表した。投票で新しい大統領が選出されるまでは辞職しない、つまり民主党のバイデンが当選して政権を取り戻す可能性に賭けていたと思われる

最高裁判事は大統領が推薦した候補者を上院が審査したあと投票で決める。最高裁には九人の判事がいる。今は保守系4人対リベラル系4人で、残るロバーツ判事はどちらかといえば保守に近いと思われている。ギンスバーグ判事はリベラルである。ギンスバーグが亡くなってリベラルが一人欠けた。次にトランプが任命した判事が保守ならロバーツを入れて6対3となり、少なくとも数年は保守優勢となる。だから民主党にとってはバイデンの当選が重要なのだ。でも今はまだ9月だからトランプが新判事を任命する時間がたっぷりある。

ギンスバーグ判事の死去のニュースを聞いた民主党のシューマー上院議員は「新しい最高裁判事の任命は新しく選出された大統領が決めるべきだ」と述べた。だが共和党のマッコーネル上院議長は「上院はトランプ大統領が提出した候補者を選ぶ」と述べた。つまり現職のトランプ大統領には候補者を推薦する権利があり上院は規則に従うと言ったのだ。

トランプ大統領は今日の午後はウイスコンシンで選挙講演をしていたのでギンスバーグ判事の死亡ニュースは講演が終わるまで知らなかった。今日は金曜日でトランプ大統領は講演のあとホワイトハウスに戻るが、2日後の月曜、遅くとも火曜日までに新しい最高裁判事の候補者を発表すると思われる。もちろん民主党側も直ちに反論を開始する。来週からワシントンはさまざまなニュースで大騒ぎになる。

しかしトランプ大統領は既にギンスバーグ判事が危篤だったと知っていたと思われる。10日ほど前にトランプは新判事の候補者は既に6人ほどリストに入っている、テッド・クルース国会議員もその一人だと新聞記者の質問に答えた。クルース議員はこれを聞いて「名前がリストに入ったのは光栄だが、私は最高裁判事より政治に興味がある」と答えた。

一般の予想ではトランプが推薦する判事は女性になるとしている。2年前にBrett Kavanagh氏を最高裁判事に推薦した時は民主党のファインスタイン議員がセクハラ事件をでっち上げて大騒ぎになったので今回はなるべく問題のない女性を選んで速戦即決にすると思われる。

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