治安と治水 江戸の町に「花見を広めた」大岡越前の知恵

 

治安と治水 江戸の町に「花見を広めた」大岡越前の知恵|神楽坂淳の新「異説まちまち」

 緊急事態宣言もいちおう明け、世間は花見の季節だが、今年の花見はワイワイと集まって騒ぐなと厳しい。あまり自粛が過ぎると、人々の心がすさんで世の中が悪くなりそうな気がしてくる。

 江戸時代、大岡越前がやってくる少し前、江戸の治安は悪かった。南北両奉行所だけでは犯罪を取り締まることができず、中町奉行所までつくったほどであった。

 徳川吉宗と共に赴任してきた大岡越前は、町の人の心がすさんでいてはどんなに取り締まっても犯罪が減ることはないと提唱した。そこで大岡越前が考えたのが花見であった。

 桜を植えることで人々に癒やしを与えるという目的がひとつ。そして、もうひとつの目的が護岸工事であった。

 江戸時代はとにかく水害が多い。江戸の町は水害対策のためにさまざまな政策が取られていた。ちなみに農民の年貢というのは、水道工事費を含んでいる。インフラの整備のための費用を農民が出していたのである。

 大岡越前は川岸に桜を植えていった。そうすることによって人が集まってくる。地面が踏み固められて洪水が起きにくくなるのである。花見によって川の氾濫を防ぐ工夫であった。

 その結果、花見のための商品が開発される。一番有名なのは桜餅であろう。花見のために長命寺という寺で作られたものが、現在まで人気商品として残っている。花見のために人が集まれば飲食店も当然繁盛する。まさにプラスのスパイラルだ。もし花見を封印してしまえば、飲食店も含め経済が回らなくなって犯罪が増える。花見によって酔っぱらいが暴れるようなことはもちろんある。しかしそれよりもストレスが減ることを重視したのである。

 花見がはやるようになってわずか2年ほどで中町奉行所は閉鎖になった。犯罪率が激減したのである。

 最近は、酒を飲むな、騒ぐな、歌うなと、コロナと無関係なところまでやかましくなっていた。あまり締め付けすぎると、心が潤いをなくし、すさんでくることのほうがかえって心配だ。 

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