弥生人とは縄文人と渡来人の混血だと分かってきた
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引用:http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/087/img/research/1/p03.jpg



縄文弥生論争に決着はつくか

日本人の祖先は縄文人かそれとも弥生人なのかという長年の論争に、今後数十年で決着がつくかも知れない。

DNA技術の発達によって、従来不可能だった縄文人の遺伝子解析が可能になり、現代人や弥生人との比較が可能になりました。

従来のDNAサンプルは「ミトコンドリアDNA」という遺伝子の一部だけで、分析結果は分かり難かった

ミトコンドリアDNAの研究では、縄文人に特徴的な遺伝子は現代日本人にも受け継がれているほか、朝鮮半島の現代人にも広く発見できるという。

縄文時代には「日本」「朝鮮」という国境がなかったので、縄文人は列島と半島、その周辺に広く分布していました。

また縄文人と一口に言っても「縄文人」という人種は存在せず、1万年以上の長期間に渡って、外部から別々に移住した別の人種が混在していた。


このため東アジア人だけでなく、ヨーロッパ人種や東南アジア、インドやアフリカ系の特徴も見られるとされている。

縄文人という概念が生まれたのは明治時代で、政治的理由から日本人の祖先ではない原始人だとされていました。

政治的理由とは日本人はアマテラスの子である天皇の子孫であり、原始人の子孫などではないという事でした。

大正デモクラシーを経て昭和期に入ると、縄文人が日本人の祖先であり、縄文人の生活様式が変化して弥生人になったという説が生まれた。

戦前は「日鮮同祖論」「八紘一宇」という日本、朝鮮、中国は「同じアジア人」なのだというアジア統一論が盛んだった。
同じ人種なのだから日本、朝鮮、中国は統一されるべきであり、日本は大陸を統一するべきだとなった。

縄文人のDNAゲノムを抽出


最新のDNAゲノム解析によると、縄文人はアジア人の中でも最初期の4万年から1万年の間に渡来した、人類の中でも非常に古い人種でした。

縄文人が日本に定住した後に、中国や半島に顔の平べったい大陸系アジア人が居住したため、縄文人と大陸人には人種的関連性が薄い。

縄文人は約4300年前に人口のピークがあり、列島に26万人居住していたが約2,300年前には人口8万人に減少した。

戦前は弥生人こそ日本人の祖先で、弥生人は東アジア人であるというのが主流で、縄文人は絶滅した原始人という認識だった。

縄文人が日本人の祖先だという説が広まったのは戦後のかなり後になってからで、1980年頃から縄文人が祖先であるという考え方が主流になった。

縄文起源説に打撃を与えたのは始まったばかりの遺伝子研究で、当時の粗悪な遺伝子研究では縄文人と現代人の関連性を否定する発表が出された。

縄文人の遺骨から直接DNAを採取できなかったので、現代人と共通性が高い人種を探すと、中国人や半島人という事になりやすい。

2000年代からミトコンドリアDNAの研究が進むと、中国大陸になはい日本人固有の遺伝情報が存在し、縄文人から受け継いでいると考えられた。

そして最近になって直接縄文人の遺骨からDNAゲノムを取り出す事が可能になり、初めて現代人と縄文人の比較が行われた。


国立遺伝学研究所は3000年前の福島県の縄文人骨からDNAゲノムを取り出し、2016年9月に論文を発表しました。

東京大と総合研究大学院大のゲノム解析も2012年に発表され、やはり弥生人と縄文人が混血したと発表していました。

DNAゲノムはミトコンドリアDNAの10万倍の情報量を含んでいて、従来の遺伝子研究では分からなかった縄文人の詳細が判明してきました。

縄文人はアジア人の中でも最初期に渡来して、そのまま列島に住み着いたと考えられている
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引用:http://stat.ameba.jp/user_images/20150917/15/riemizuno/1c/f9/j/o0640048013427440016.jpg?caw=800



縄文人と弥生人の関係

DNAゲノムでは現代日本人と縄文人との共通性は12%で、縄文人が変化して弥生人になったという縄文起源説は否定された。

同時に渡来人が縄文人を駆逐したという渡来人起源説も否定され、縄文人と渡来人が混血して弥生人になったのが分かった。

縄文人12%をどう捕らえるかで両者の関係は大きく変わり、DNAだけでは「渡来人が優勢だった」などとは言い切れない。


弥生時代は3000年前頃から始まり、2000年前ごろから爆発的な人口増加を起こし、現代人の祖先になった。

問題は縄文時代末期と弥生時代への重複期間になにが起きたかで、渡来人が縄文人を征服したのか、縄文人が渡来人を「受け入れた」のかが分からない。

例えばアメリカでは建国初期には白人が人口の大半を占めていたが、有色人種を移民や労働者として「輸入」した。


将来白人は少数人種になるか絶滅すると予想されているが、黒人やヒスパニックが侵略してきた訳ではない。

この論争は日本にもあり「渡来人が原始人の縄文人を征服した」という意見と、「中国の内戦から逃れてきた難民を受け入れた」という意見がある。

中国では2400年前頃から800年間くらいが戦国時代であり、「三国志」で関羽や張飛が活躍した時代でした。

この時代中国の僻地に住んでいた朝鮮族が内乱で大陸から追い出され、朝鮮半島に居住して現代の半島人になっていきます。

また西の方では長江周辺から追い出された人達がインドシナ半島に移住し、現代のタイ、ミャンマーなどインドシナ人になりました。

いずれも先住民を駆逐したのではなく混血したと推測されており、例えば朝鮮半島南部では今でも「縄文人」や先住民との遺伝上の共通点が多い。

渡来人と縄文人が混血して誕生した弥生人は、大和を中心とした王朝を形成し、古墳時代に日本を統一したと考えられる。

「古墳時代」の名前の通り、前方後円墳のような特徴的な古墳が全国に数千も作られ、中央支配が進んだのが分かる。

この後渡来人と縄文人の混血割合によって、「琉球人」「大和」「アイヌ」に分かれていくが、縄文時代には大きな違いは無かったと考えられている。