川口マーン惠美『無邪気な日本人よ、白昼夢から目ざめよ』(ワック)

「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)6月19日(土曜日)

書評

労働不足だからと「外国人実習生」を受け入れたら一割が行方不明になった
   われわれの税金で、外国人スパイを援助している日本政府は馬鹿所業


川口マーン惠美『無邪気な日本人よ、白昼夢から目ざめよ』(ワック)

 それにしても白昼夢に七十五年も浸っているとは、人類史始まって以来の椿事ではないか。
 国防、医療保険、エネルギー政策、とくに発電などで、危機は目の前にあるのでなく、すでに危機の輪の中に陥落しているのが日本。だが多くの国民には、その認識がまるでない。
 トチ狂った左翼メディアの洗脳に、日本国民多数の脳幹が侵されてしまったからだ。
 いったい這い上がれる余地はまだあるのか。日本を救うには何をしなければいけないのか。
 ドイツと日本を往復する生活を送る川口さんは、自然にEU諸国と日本とを比較する目を培養してきた。とくにドイツのやっていることの矛盾、日本のノー天気な政治家のなかでも小泉とか管(直人)とか、IQが極端に薄い馬鹿が、まだ発言する機会があることに驚くのは当然である。
 評者(宮崎)、かつて小泉時代に鳥越俊太郎のラジオ番組で評価を聞かれたので「靖国神社参拝に100点。郵政改悪(民営化)にマイナス100点。だからプラス・マイナス零点」と言ったことがあるが、これは蛇足。
 さて本書で川口さんが抉り出す問題は多いが、とりわけ外国人の土地買い、それも水源地の森林地帯や離島を大量に購入している実態、ついで難民問題、エネルギー枯渇を目の前に太陽光パネルとはこれ如何にと鋭く矛盾を追及している。
 「日本の私立大学には、2019年だけで、国から総額3165億円もの補助金が給付されている」。
 しかし日本の十五の大学に設置されている孔子学院は「見直す」という提言が自民党内で囁かれている程度だ。
外国人技能実習生制度は、スキャンダルだらけだが、「すでに累計で一割近くの実習生が行方不明です」。
あまつさえ医療保険が悪用されている。外国人が日本の保険制度のうまみを知って、たかる術を覚えたからだ。
 ところが日本は「外国人登録法」を廃止した。外国人犯罪は増える一方となったが対策をまじめに取っているとは言い難い上、メディアは「人種差別」と騒ぐので、ニッチもサッチも行かなくなった。
 政治生命をかけて、問題に取り組む政治家は不在、次の選挙と公明党の票の前に、国を売る政策が次々と実行されているのに沈黙している。
 ドイツの背信行為はいまさら言うまでのないが、難民をあっけらかんと受け入れたメルケルにより、ドイツからは完全にアイデンティティが失われた。残っているのは反日感情と親中路線だ。
落ち目のドイツが中国のEVに取り込まれたのもフォルクスワーゲンのトヨタ敵視、ハイブリッドが最高と分かっていながら難癖をつけるのはトヨタ追い落としにあるのではないかと行間に示唆されている。
豊田章男社長が記者会見で、この危機を訴えても、メディアはゴミ記事扱いだった。トヨタよ、一層のこと、メディアへの広告出稿をやめたらどうか。
 日本がクリーンエネルギー政策を謳って太陽光パネルを推進しているが、これも自殺行為だろう。
 川口さんは問題点を明快にまとめる。
 「パネルには寿命があります。破損したりしたパネルは処分しなければなりませんが、中国製のパネルには、砒素やアンチモンなど有害物質が含まれています(中略)。太陽光パネルの寿命は風力の回天羽よりも短く、2030年後半に、日本では年間20~80万トンのパネルが廃棄される見込みです。世界では500~2000万トン。アンチモンは発ガン性が疑われ、砒素は毒性が高い。」
 周回遅れながら対策は緒に就いたばかりで、将来の経済のマイナス要因となる。救世主は原発でしかない。
 いま日本が抱える問題点をきれいに列挙し、やさしく解説してあるので、頭の整理が出来るのが本書の強みである

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