国際情勢を読み取る“ツボ”

櫻井よしこ
日本人が知っておくべき国際情勢を読み取る“ツボ”
1979年のイラン革命のとき、世界は、イランが米ソいずれの陣営に入るのか、固唾をのんで見守った。国際社会では、米国に近かったパーレビ国王を倒したホメイニ師はソ連陣営に入るとの見方が有力だった。
だが、米国務省きってのアラブ通の人物は、イランは決してソ連の手には落ちないと断言した。なぜなら「ロシア人はけちだから」だ。
国際情勢の深い洞察者である廣淵升彦氏の新著『頭にちょっと風穴を―洗練された日本人になるために』(新潮社)のこのくだりを読みながら、私は笑いを抑えることができなかった。・・・・

ソ連共産党の幹部は、階級があってはならない社会に、厳しい階級制度をつくり出した。自分たちだけが信じがたいほどの富を持ち、豊かに暮らしていた。しかし、自分たち以外の者に対しては「本当にけち」だった・・・・

ツボさえ押さえておけば、読みスジを大きく間違えることはない

ぜひ一読を薦めたい書である

頭にちょっと風穴を―洗練された日本人になるために
街角で美味しいアイスクリームを食べられるならば、民主主義の国だと安心していい。ホルムズ海峡の砂のまじったカレーは、世界のいまの味がする。チョコレートは性的誘惑を意味するお菓子・・・

後輩の推薦
廣淵さんは、テレビ朝日の先輩です。国際ニュースの世界で活躍しました。退職してからの活躍の方がめざましいです。著作多数、大学教授など。組織の枠の制約の中で活躍するには大物すぎたからです。会社にいる先輩は、いつも受話器を握っていました。8時間勤務するとして、5時間は受話器を握っていました。廣淵先輩ほど、会社で電話代を使った人はいないでしょう

喝采 意欲と行動は楽観的である
ミュージカル、「ラ・マンチャの男」の主題曲、「不可能な夢を夢見る(見果てぬ夢)」は、「どんなに希望がなくとも」、「不可能な夢を夢見、勝てそうもない敵と戦い、耐えがたい悲しみに耐え、正せそうもない不正を正し、・・・到達できそうもない星に達するのだ」と歌っているのだそうです。

欧米では、ドン・キホーテは、大きな夢を見ることができる男、けっして絶望におちいらない肯定的な人生観の持ち主として、高い評価を受けている のだそうです。

アフリカで医療に一生を捧げたアルベルト・シュバイツアー博士は、世の悲惨と貧困がなくならないやりきれなさと無力感のなか、自身の自伝的作品、「わが生活と思想より」に、「私は認識においては悲観的である。しかし意欲と行動は楽観的である」と書いたそうです。

廣瀬氏はまた、「ほんのわずかなヨーグルト菌でも大量の牛乳の中に入れば、やがて全牛乳をヨーグルト化することができる」例を挙げました。政治や社会に対して自らを非力と考えるのは間違いだ と言っています。「そんなことを私一人が心配してもどうにもなるものではない」と考えるのは止めようと。
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