メルハバ通信その14
日本への一時帰国が終わり、2月9日予定通りトルコに戻った。無事にと言いたいところですが、健康診断の胃カメラでポリープが発見され、細胞検査にまわされた。結果が出るまでの1週間が非常に長く感じられた。腹部エコーもいつもより時間が掛かり、一部分だけをしつこく見られていたので、ひょっとしたら悪性の腫瘍なんではないだろうかと、どうしても悪い方に考えてしまう。結果は良性だったが、ちょっと肝を冷やした。
さて、2月24日に、アンカラでトルコの高校生や大学生を対象としたロボットコンテストがあった。HONDAが主催でJICAも協賛。JICAキャンペーンと称する我々の活動を紹介するコーナーがあった。そこでカマンの活動も紹介した。ロボットコンテストはトルコでは初めての試みだったそうだが、熱心な学生達が参加し大盛況であった。多くの人々が会場を訪れたので、少しはカマンの宣伝になっただろう。
《HONDAのASIMOとトルコのロボットが握手》
《ロボットの相撲》
《パッケージデザインの展示》
《JICA活動紹介のブース》
《七宝焼きに挑戦》
3月3日に、我々のデスクがあるビリセム(知能指数130以上の天才児を集めた特殊な学校)で雛祭りを主体とした日本文化の紹介をした。昨年は節分の豆まきを主体とした催しだった。私ふんする鬼が大喝采を受けたが、今回はおとなしく、お雛様の折り紙とペーパークラフトを担当した。生徒達は関心を示し、楽しんで作ってくれた。
《ひな祭りのペーパークラフトに挑戦》
《ペーパークラフトの後はひな祭りを歌う》
アンカラからも他のシニアボランティアやトルコ語の先生、学生たちにも参加していただき、昨年に引き続き有意義な催しとなった。大好評だったので、ぜひ市役所の方でもやって欲しいとの申し出があり、5月5日にも市役所ホールで端午の節句にちなんだ催しをやる予定である。さて、次はどんな催しをするか、あまり無い知恵を振り絞って只今考え中である。
そして、どこから聞きつけたのか、我々が日本語を教えているアーヒ大学でも日本文化紹介の依頼があり、ここでも学生相手に雛祭りをした。さすがに日本語を学んでいる大学生なので、トルコ語のみならず日本語でも雛祭りの歌を熱唱した。
さて、研究所の日本庭園の作業であるが、梨の木に付いた宿木(やどりぎ)の除去及び整枝剪定の作業を続けている。梨の木の本数が多いのと、結構樹高が高い木が多く、本格的?なロッククライミングの道具を使っての作業となる。木に登ったり降りたりで、思ったように捗らない。それでもようやく先が見えてきた。
宿木が一杯付いて弱々しかった木々も、宿木と一緒に枯れ枝や不要な枝等を剪定してやると、見違えるように生き生きと復活してきた。元気になった木々を眺めると、苦労が報われたようで嬉しくなる。この仕事をやっていて良かったと言える瞬間だ。
《宿り木を取ってスッキリとした梨の木》
冬場の代表的な庭園作業に、寒肥の施肥がある。庭園にあるすべての樹木に施すのは時間的にも、また生育が良すぎるのも後の手入れが大変なので、今回は桜(日本から輸入したソメイヨシノ)と主木になる松のみに施肥した。日本庭園の樹木に肥料をやるのは久しぶりみたいなので、これらの生育状況も楽しみである。
《ソメイヨシノの寒肥え》
また、2年ほど前に山の斜面に植えられたヒマラヤシーダの支柱と水鉢をやり直した。カマンは強風の名所なので、樹木はどうしても風の影響を強く受けてしまう。せっかく植えた木々も風で傾いたり、倒れたりしている。植樹後も樹木を丁寧に観察する必要性がある。
昨年完成した研究棟や今年に完成する宿泊棟周りの造園計画も順次進めている。石庭も中庭に取り入れようと考えている。スモモやリンゴ、クルミなどの果樹も大量に入荷したので、植樹に取り掛かった。ここでは乾燥が激しいので、樹木も思ったよりも深植えする必要がある。日本では湿気のために根腐れの方が心配なのだが、トルコでは水分の補給が最重要課題だ。
《完成した研究棟》
《研究棟と宿泊棟》
メインとなる博物館の建設は残念ながら来年度に持ち越しになった。それに伴い、来年移植する樹木に対しては根回しも始めた。春が迫って、ここ日本庭園はてんてこ舞いの忙しさである。
《松の根回し》
日本庭園のみならずカマン市役所でも、新市長から老人ホームの庭と公園の設計を依頼された。加えてカイマカン(郡庁)からも、最近できた裁判所の造園設計を依頼された。この裁判所はカマンではビックリするような立派な建物である。ちょっと本腰を入れて取り掛からないといけない。
この前までは春がやってきたかのような暖かさであったが、ここ2,3日は雪も降り、真冬の寒さがぶり返してきた。今日(水曜日)はせっかくのパザール(青空市)だったが、みんな商売もそこそこに早仕舞いしていた。
日本庭園も自転車で通い始めたばかりなのに、寒さのため、またバスに逆戻り。しかし、4月に入ると野の花々が一斉に咲き始める。カマンでは心浮き浮きする季節がやってくる。美しく咲き競う花々の真っ只中を、私の自慢のマウンテンバイクが駆け回ることだろう。ただし、花粉症とチョバン犬(羊や牛の番犬)が心配だが・・・。