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答えは簡単。外
に敵をつくりだすことである。そうすれば、国内のナショナリズムを一気に高めることができる。
外の敵とは誰か。それは中国をおいてほかにない。中国との緊張を高めれば、それを理由に集団的自衛権の行使も、憲法改正も一気に可能になる。
では、中国との緊張を高めるにはどうすればいいか。
領土紛争を利用するのが一番手っ取り早い。幸いにして(?)、日中間には尖閣諸島という問題がある。1968年の海底調査により、この周辺に石油の可能性があることがわかると、1970年に中国や台湾も領有権を主張し始めた。しかし、実は1972年の日中共同声明では、尖閣問題は棚上げすることで合意ができていた。田中角栄も周恩来も大人だった。
ところが1996年に、橋本内閣は棚上げを認めず、日中間に領土問題はないと国会答弁をし、それ以来それが政府の正式見解となっていった。これは中国からすれば、重大な合意違反と映ったと思われる。ましてや、2012年に石原慎太郎都知事が尖閣諸島を買い取ろうとしたことを危惧した民主党の野田政権は、日本政府として尖閣諸島を購入してしまったものだから話はややこしい。
中国からすれば、「おい、こら、お前なにすんねん。棚上げするというあの時の約束はどないなったんや」ということになろう。また、国内の貧富の差が拡大し国民の不満が高まっていると同時に、国内の支配力が盤石ではない習近平にとって、政権の求心力を高めるには、外に敵をつくり、国内を引き締めるのが一番手っ取り早い。
かくして、日中双方の思惑が一致し、領有権争いがエスカレートしていった。ナショナリズムは、一度火がつくと始末が悪い。人間の理性を失わせてしまう。大した価値もない島一つをめぐって、国と国とが軍事的対立を深め、極めて危険な方向に政治が進んでいる。
ここは1972年の原点に立ち返って、もう少し冷静になったほうがいいのではないか。憲法解釈を変更し、自衛隊とアメリカ軍との一体化という既成事実をつくって、その後に事実に合わせて憲法改正を進める。そういう保守派の意図が透けて見える。
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