
第二次世界大戦以後、日本はアメリカ陣営の一員として出発した。そして経済的繁栄は手に入れたものの、軍事的には「共産主義に対する防波堤」「不沈空母」として、アメリカの軍事植民地としての位置づけに据え置かれた。当初本土にあった米軍基地は「内灘闘争」をきっかけにその多くが沖縄に移設された。1972年に沖縄が返還される以前、沖縄はアメリカの占領下にあったから阻止しようがなく、その状態が今日まで続いている。
日本はアメリカにとって何であったか。アメリカは日本を守ってくれる保護者などという「お人よし」ではもちろんない。アメリカにとって日本は利用価値があるから戦略的に利用してきただけである。アメリカファーストは何もトランプ大統領に始まったわけではない。いつの時代も、主権国家は自国ファーストである。
日本が生き延びる唯一の方法は、アメリカに逆らわないことであった。アメリカは自国に逆らう国を容赦なく叩き潰す。イラクのサダムフセイン大統領がいい例だ。真相は不明だが、日本でもアメリカに疎まれて失脚させられたといわれる政治家は多い。田中角栄、小沢一郎、金丸信、最近では鳩山由紀夫がいる。反対に、アメリカの意向を忖度し、アメリカの利益になるような政策をとる政治家の政治生命は長い。中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三、などである。
平成とは何であったか。戦後74年の中で見れば、アメリカの属州と化し、アメリカの軍事植民地としての性格をますます強めた時代であったといえる。経済的には日米貿易摩擦やバブル崩壊(1991年)をきっかけに、「持ち株会社の解禁」「大規模店舗法廃止」「人材派遣業自由化」「新会社法制定」などの規制緩和が次々に行われ、アメリカ流の弱肉強食が絶対善とみなされるようになった。
また、軍事的には湾岸戦争(1991年)をきっかけに、自衛隊の海外派遣、集団的自衛権の限定的行使の容認など、急速にアメリカへの戦争協力の姿勢を強めている。いま日本では憲法改正を求める勢力が勢いを増しているが、なぜ安倍首相が憲法改正に意欲的なのか。理由は簡単である。憲法改正を一番望んでいるのがほかならぬアメリカだからである。
自衛隊が軍隊として認められれば、アメリカは自衛隊を自国軍の一員として利用できる。そして、アメリカに喜んでもらえれば、安倍政権に対するアメリカのウケはさらに良くなる。憲法改正は右翼の人たちが望んでいるような「自主憲法制定」には決してなり得ない。アメリカは日本の「自主憲法制定」の動きを利用して日本軍の政治的利用を考えているにすぎない。
このような流れのなかで考えると、平成の31年間とは日本がアメリカの「ポチ」と化し、アメリカの属国化をさらに強めた時代だったと見ることができる。「だるまさんが転んだ」という遊びがある。一つ一つの動きはわずかでも、30年もたてば大きく方向転換できる。国民が気が付かないうちに・・・。
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