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(公財)日本少年野球連盟(ボーイズリーグ)
東北支部所属
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スポーツ外来診察室から~成長期のスポーツ~2

2013-09-30 | e.t.c
「勝負とフェアプレー」

第95回全国高校野球選手権記念大会は前橋育英高校の初優勝で幕を閉じ、今年もいくつかの名勝負やドラマが生まれた。
準々決勝の花巻東高校と鳴門高校の試合もそのひとつだが、一人の選手のプレースタイルがネット上で大きな議論をよんだ。
小さな体にも関わらず、しぶといバッティングをすると努力と工夫を賞賛する意見がある一方で、別の意見も多かった。
身をかがめてベースに覆い被さるような立ち方で、ボールをカットし相手投手との真っ向勝負を避けて疲労を誘う姑息なプレーだ。一打席ならともかく、全ての打席で同じ手法をとった。さらに出塁してからは「サイン盗み」をしたとして高校球児らしからぬプレーだと非難の声もあった。
主催者の高校野球連盟は試合後に監督を呼び、一連の行動に注意を与えたと聞く。
野球は決められたエリア内にボールを打つことが前提になっており、意図的にファアルを打つことと結果としてファアルになることは意味が違う。戦略だという意見もあるが、教育的な意味では問題がある。

似たような話を国際審判員の方から聞いたことがある。米国で日米交流の硬式野球大会で日本の小学生チームが優勝したことがあった。
その試合で2塁まで進塁した選手全員がサインを出してコースを打者に教えていた。子どもは日頃からそのように指導をうけていたので、言われたとおりに一生懸命にプレーした。日本チームの優勝は全米ネットワークのテレビでも放送され、画面に「サイン盗み」をしている子どもの映像が流れた。たまたまその映像を見た審判員の方は目から火が出るくらい恥ずかしい思いをし、帰国後に指導者だけでなく連盟にもプレースタイルの改善を求めたという。
また柔道から格闘技に転向した選手が体中にオイルを塗って試合に出て勝負に勝ったものの、謹慎を言い渡されたこともあった。その選手は柔道の試合でもわざと小さい道着を着たり、袖や襟に洗剤を残して試合に出ていたと聞く。
ふたつの例ともに勝利は手にしたが、相手への敬意を失した闘い方であり、フェアプレー精神に反すると社会は受け入れなかった。

国際社会ではフェアプレーは不文律であり、敢えて細目はルールブックにも記載されていない。それは議論以前の問題で、人間としての尊厳に基づくものだから。
そしてルールに細かい規定を設け過ぎると、戦略の幅がなくなりゲームとして面白味がなくなる。
ただ忘れてならないことは、試合は戦争でもなければ、騙し合いでもなく、単なるゲームだということ。試合ではいくら激しいやり取りがあっても、相手に対する敬意を失してはならない。
また選手や監督個人の人格を批判するような書き込みが散見されるが、これもフェアプレー精神に反する。
プレースタイルを議論することはあっても、人格を議論することは許されることではない。




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