俺の名は、ツルギ=クサナギ。忘れられた街で、配達人をやっている。
依頼を受ければ、どんな物でも届け先へ、無事に運ぶ。だが、難しいのもある。
過去、現在、未来という時間の系列から外れた世界。ここは、普通の法則とは違う。
その特異な法則を知らなければ、指定された時間と場所に配送するなんて、できない。
しかし、あれを運ぶのは、至難の業である。
…それは、夢だった。曖昧な依頼人の依頼。それだけでも厄介だ。真剣に言うのだ。
”忘却された夢”を自分でも知らない誰かへと、だと? 一度は断ろうとしたさ。
「声が聞こえるのです。けれども、その声が誰かは、知りません」
変に真剣に思えるかもしれない。でも、誰も俺に依頼する奴は、本気なのさ。
俺に頼むだけでも、稀に偶然、たまたま、巡り会わせが悪い悪運が必要だからな。
「酷く困ってるようで、毎晩、声が少しずつ元気がなくなってるのです」
最期の悪運だが、この依頼人は、声でノイローゼになって、衰弱死をしたのだ。
ほんの少し前、俺は、心霊スポットへ配達した帰りに、この自縛霊に呼び止められた。
面倒な、依頼人は、たいてい、面倒な依頼をする。
「ただ一つ、あります」
手掛かりは、ヒカリ。自縛霊は、さっき、消えた。霊を一瞬で消滅させる、光。
「私はもうすぐ消えます。ホラ、半分、消えかけてます。これが、多分…」
本当に霧のように、気配すらない。この手に残る痺れ、体温が急激に下げられた
さっきの依頼人が握手を求めて、したら、この有様……がなければ、白昼夢だな。
呻く人間の声。さっきの、人間が生きていた頃の記憶ではない、時代との接点
「また、声がする」
「ヒカリってなんだ?」
「………」
悪夢みたいな光景だった。人も周りの景色も融けて、グニャグニャになった。
「それは、現実だよ。ありのままのね」
その世界は、とうの昔に滅んでいた。闇がずっと、続いている。
人間たちには、それが耐えられなかった。だから、彼らは平凡な昔の世界を
いつも、常日頃から頭に思い描いていたのだ。
「俺の声が聞こえるのか?」
「いいや。ただの、私の独り言だよ」
混沌とした闇が微笑んだ、気がする
依頼を受ければ、どんな物でも届け先へ、無事に運ぶ。だが、難しいのもある。
過去、現在、未来という時間の系列から外れた世界。ここは、普通の法則とは違う。
その特異な法則を知らなければ、指定された時間と場所に配送するなんて、できない。
しかし、あれを運ぶのは、至難の業である。
…それは、夢だった。曖昧な依頼人の依頼。それだけでも厄介だ。真剣に言うのだ。
”忘却された夢”を自分でも知らない誰かへと、だと? 一度は断ろうとしたさ。
「声が聞こえるのです。けれども、その声が誰かは、知りません」
変に真剣に思えるかもしれない。でも、誰も俺に依頼する奴は、本気なのさ。
俺に頼むだけでも、稀に偶然、たまたま、巡り会わせが悪い悪運が必要だからな。
「酷く困ってるようで、毎晩、声が少しずつ元気がなくなってるのです」
最期の悪運だが、この依頼人は、声でノイローゼになって、衰弱死をしたのだ。
ほんの少し前、俺は、心霊スポットへ配達した帰りに、この自縛霊に呼び止められた。
面倒な、依頼人は、たいてい、面倒な依頼をする。
「ただ一つ、あります」
手掛かりは、ヒカリ。自縛霊は、さっき、消えた。霊を一瞬で消滅させる、光。
「私はもうすぐ消えます。ホラ、半分、消えかけてます。これが、多分…」
本当に霧のように、気配すらない。この手に残る痺れ、体温が急激に下げられた
さっきの依頼人が握手を求めて、したら、この有様……がなければ、白昼夢だな。
呻く人間の声。さっきの、人間が生きていた頃の記憶ではない、時代との接点
「また、声がする」
「ヒカリってなんだ?」
「………」
悪夢みたいな光景だった。人も周りの景色も融けて、グニャグニャになった。
「それは、現実だよ。ありのままのね」
その世界は、とうの昔に滅んでいた。闇がずっと、続いている。
人間たちには、それが耐えられなかった。だから、彼らは平凡な昔の世界を
いつも、常日頃から頭に思い描いていたのだ。
「俺の声が聞こえるのか?」
「いいや。ただの、私の独り言だよ」
混沌とした闇が微笑んだ、気がする