山口県の巨樹巡礼

長年月を生き、かつ誇り高く屹立している巨樹!。そんな巨樹に会いただただ首を垂れ巨樹を抱きしめてきます。

巨樹庵(山口県の巨樹巡り)-Vol4( 4-① ~ ⑪ )

2020-05-31 12:04:54 | 日記
今年(2020年)の正月にNHK・BSを何気なく観ていたら、”巨樹百景 神様の木に会う”という番組を放送していました。日本全国の巨樹を紹介していたのですが、この時「そういえば我が家には山口県の巨樹の本があったなぁー」とふと思い出し、本棚をゴソゴソ探してみると有りましたありました。その本の名は「やまぐち 祈りの108樹(2004年発行)」と「続 やまぐち 祈りの108樹(2006年発行)」の2冊です。2冊とも元山口県立山口博物館の学芸員をやっておられた 三宅貞敏さんの著作です。
本をパラパラとめくってみると、山口県にも 「国の天然記念物」になっている巨樹もあったり神社仏閣に存在してたりと、あんまり面倒なく見られるかもしれなくて面白そうだなと思った次第です。
というわけで、用事で何処かへ出かけたついでに県内の巨樹に会ってこようと「巨樹巡り」を始めました。2冊の本を参考にしながらの巡礼ですが樹木の専門家でも何でもない素人の私が探して歩くのですから、へんてこなブログになるかもしれません。
一応、私流に決め事を設定してます。
1.三宅先生の2冊の本に記述されている巨樹を目指します。
2.2冊の本に記述されている巨樹以外でも、これは載せた方が良いだろうという巨樹は【番外編】として記しています。
3.訪れた順に番号を記入していきます(年月日も)。また直近に巡った巨樹がいちばん上になってます。
4.場所がかなり分かりにくい所もあるので、全ての巨樹の地図を載せます。
                        2020年3月  庵主敬白

注)5月になり三宅先生の本には3冊目(続続 やまぐち 祈りの108樹(2012年発行))があることが分かり、先生本人より寄贈していただきました。深謝いたします。これ以降は3冊を参考にして巨樹巡りを楽しみたいと思います。
                        2020年5月  庵主敬白



4-⑪松江八幡宮のコバンモチ(宇部市東須恵黒石)
   市指定天然記念物(社叢)    2021.02.15
 
小高い丘の上にある黒石公園から神社の方へ歩いて行くと、何やら立派な石組みの基壇が見えてきました。これは何ぞや?と近づいてみると「競馬の審判台」と表示がしてあります。こんな処で競馬?と不思議な感じで案内板を見てみると、この公園一帯は江戸時代には「流鏑馬」が行われていた場所であり、明治以降はいわゆる「宮競馬」が行われていたとのことです。なるほどなぁーと、宮競馬という古色蒼然とした言葉に昔にタイムスリップしたような気分になりました。

   
本殿の近くに立派な巨樹があります。表示板にはミミズバイやスダジイの群落が市指定天然記念物になっていると書いてありますが、コバンモチの名が出てきません。おかしいなーと思い裏に廻るとやっと小さな名札を発見しました。ホルトノキと同科とありますので、以前行った長門市仙崎八坂神社のホルトノキ(1-③参照)を思い出しました。木肌がまるで象皮のようだったと覚えてますがこのコバンモチは木肌が白っぽくて硬そうに見える巨樹でした。

  
存在感は中々のものです。      こちらは表示板に書いてあるミミズバイ



4-➉来迎寺のタブノキ(宇部市船木茶屋) 2021.02.15
  
来迎寺は少し小高い場所にあり、小ぶりで可愛らしい山門が迎えてくれます。
寺域は狭いのですがタブノキの案内板はどこにも無く、本堂の前の崖にへばりつくように巨樹があり、多分これだろうということになりました。
タブノキは昨年に山口市秋穂東の「善城寺」の巨樹を観ましたが(2-⑪参照)、ここのはそれよりも少しだけ小さいようです。善城寺のもそうでしたがタブノキは四方八方に枝が伸び、姿かたちがとても良いのが印象的です。

  
幹の部分               枝ぶりが良いですね。

   
ちょうど真下の駐車場から仰ぎ見たところ。姿かたちの良いのに惚れ惚れとします。



4-⑨岡崎八幡宮のクスノキ(宇部市船木岡の坂)
   市指定天然記念物       2021.02.15
   
参道から鳥居越しに何やら巨樹が見えてきました。階段を上がって正面の本殿前に立派なクスノキが鎮座しています。
岡崎八幡宮は旧称「船木八幡宮」といい、産土神(うぶすながみ、土地の守護神)として古くから船木地区一帯の尊崇を集めてきました。このクスノキは樹齢が700年とも伝わり、この樹にシーボルトコギセルという巻貝が生息し、潮の干満で上下するといわれており海上安全のお守りとして珍重されていたとのことです。
また、当社は清酒の御神酒の醸造が許可されている日本で四つしかない神社の一つとしても知られているそうです。神社で御神酒造りをしてるなんて、初めて知りました。

  
根元近くの木肌。            樹勢もあり元気です。

 
御神酒を造る醸造殿があります。     石造りの酒樽が鎮座してます。
                   こんなの初めて見ました。

   
裏から撮ったクスノキの全景       石造りの酒樽と
立派な巨樹です。           クスノキと記念撮影。



4-⑧大内畑のサトザクラ(伝オオウチザクラ
     (山口市大内御堀大内畑) 2020.10.12
 
江戸時代の風土注進案には「大内畑には大内桜という名木があり、春陽の頃には大勢の風流人が見学に訪れた・・・」云々という記述があるそうですが、現在の大内桜はこれの直系の子孫かどうかは不明です。2001年に三宅先生が撮影した桜は高さ9mのサトザクラ(栽培品種の総称)系のものではないかと記述してますが、現在の桜は高さ4~5m位で姿かたちも違うもののようです。他に桜らしきものは見当たらず、これはどういう事なのか?と不思議な気持ちです。現在の大内桜はヤマザクラの系とのことですが、説明板にも経緯が一切書かれてないので、どうしてこの桜が此処に植えられたのか不明です。

 
高さは4~5mだと思います。       「大内桜」の看板。

  
幹を見ても細くて、まだ   小高い所に植わってます。
まだ若木です。



4-⑦宇佐八幡宮のスギ巨樹群(岩国市宇佐)
   県指定天然記念物       2020.08.19
 
30数年前に赤い深谷大橋で開催された探鳥会(昔は綺麗な夏鳥のブッポウソウが渡来・営巣してました)の後に、有志で宇佐八幡宮の巨樹を見に行った覚えがあります。その当時はスギの巨樹もよく管理されていて、ナンバーや大きさを記載したプレートがセットされていました。それに境内がもっと広かったような覚えがあり、今回歩いてみて「こんなに小さな神社だったんだ」と少しビックリしました。人の記憶というものはあてにならないものですね・・。
私が座っているスギが一番の巨樹ではないかと思いますが、樹齢900年以上というのは少し眉唾ものです。900年ならもっと大きくても良いと思うのですが・・・。

  
スギの巨樹たち。少し大きいのはあちらこちらにあります。

   
 神殿そばの巨樹       宇佐八幡宮はこんな感じです。

  
本殿の右奥に注連縄の張  奥にある巨樹。    本殿の周りの巨樹の
られた樹がありました。     木目が綺麗です。   上部。ぐるりと囲
ご神木なのかな?                まれてます。



4-⑥玉蔵寺のコウヤマキ(岩国市宇佐) 2020.08.19
   市指定天然記念物
   
バースデードライブで寂地峡に行こうと話が決まり、ついでに寂地峡近くの巨樹に会いに行ってきました。
玉蔵寺は宇佐八幡宮の西隣りにあり、現在は八幡宮の社坊となっています。
コウヤマキは門を入って左側にありました。近くに寄ってみると思わず、ん??・・な感じです。幹の表皮がねじれているのです。山口市の深野八幡宮のねじりスギ(4-②参照)ほどではありませんが、こんなコウヤマキは見たことがありませんのでやはり珍しいものだと思います。

      
コウヤマキは1科1属1種の木で日本特産種という、非常に珍しい樹木みたいです。また「東京スカイツリー」の姿は、コウヤマキの綺麗な円錐形を基にしたものだそうです。この辺りの道路の側に綺麗な円錐形の樹木を何本か見ましたが、あれがそうなんだと後から納得しました。ただ玉蔵寺のコウヤマキは下枝が折損しており、お世辞にも綺麗な円錐形とは言えません。りっぱな巨樹だけに少し残念な気がします。

      
これを見ると巨樹ですね。  綺麗な円錐形とは言え   よく見ると内部は
少し苔むして風格があり   ないのが残念!      空洞が拡がってる
ます。                        みたいです。


 
4-⑤河内のムクノキ(萩市椿河内)   2020.06.16
   県指定天然記念物 
    
山口から萩へ向かう途中、「道の駅 萩往還」を過ぎ笠屋の交差点を左に曲がります(右方面に梅林公園があります)。およそ1km行くと道路の右側に大きな樹が見えてきます。これが河内の大ムクと呼ばれている県下最大のムクノキです。地区の集会所の傍に少し小ぶりのものと2本が一緒に立っています。

  
ムクノキはあちこちで見てきましたが、これほどの巨樹は初めてです。樹幹には空洞もありますが幹の太さといい高さといい見ごたえのある巨樹です。まだまだ元気ですね。枝も大きな折損が無いので、立ち姿が見事です。

  
木肌を見てもまだまだ元気そうです。奥に小ぶりなムクノキが見えます。

      
裏側から見たところ。手前が小ぶりなムクノキですが、小ぶりと言っても太くて立派なムクノキです。2本とも幹には苔が生えていて、年月と風格を感じさせます。

 
何度見ても立ち姿が良いですね。ほれぼれします。


4-④銭屋(鋳銭所跡付近)のハゼノキ(美祢市美東町銭屋)
   市指定天然記念物         2020.06.16
    
このハゼノキは江戸時代初期の寛永年間には存在していて、推定樹齢は350年以上だろうと言われています。「銭屋」という場所は江戸幕府により全国8ヶ所の寛永通宝鋳銭所のひとつに指定され、4年間寛永通宝を鋳銭し一時は”銭屋千軒”と言われるほどの繁栄ぶりだったそうです。その後鋳銭は中止されますが盗鋳が後を絶たず、毛利藩により辺り一帯は焼き払われることになります。このハゼノキは唯一焼け残った樹木として、歴史の語り部となっています。
     
ハゼノキがここまで大きくなるの? ウソだろー? と、ビックリするぐらいの巨樹です。おそらく県下でも最大のものではないでしょうか。
子供の頃友達とハゼノキを切ってきて(しかもご丁寧に皮を剥いで)、チャンバラごっこをしたことがありました。翌日その友達の家に遊びに行くと、友達は顔だけでなく全身が赤くミミズ腫れになっていて「今日は遊べなーい」と情けない声で言います。その時初めて昨日のチャンバラで使った木はハゼノキというんだと知りました。友達には悪いですが私は何ともなかったので、わけもわからず少し誇らしく思ったのを思い出します。あれから数十年が経ち35年ぐらい前にはスギ花粉症を発症し今も苦しんでいる我が身に「ハゼノキの下をうろうろして大丈夫だろうか?」と思ったんですが、案の定帰りの車の中で顔が何やらムズムズしてきました。昔の栄光?今いずこです。やれやれ・・・。

  
枝も一部は折損してますが、樹木全体としては元気です。木肌も良いですね。葉っぱも勢いがあります。


4-③隆景寺跡のムクノキ(山口市大内千坊) 2020.06.03
   倒木・伐採
 
以前に一度ムクノキを探しに来たことがあったのですが、巨樹を目当てに探していたので場所が分かりませんでした。この辺りは現在住宅街になっているのですが、ムクノキがあれば2階建ての家よりもはるかに高い姿が望めたはずです。
今日は徒歩で探してみたんですが、住宅街の中に小さな公園みたいな所があり祠が並んでいるのを見付けました。でも巨樹はありません。 ???と思いながら行ってみると案内板があり、ここが隆景寺跡だと分かりました。肝心のムクノキは?というと写真の通りです。県下でも有数の巨樹であったムクノキを住宅街にするために伐採したとはいくらなんでも考えられませんので、台風により倒木 →→ 伐採となったと思われます。うーん残念。

  
小早川隆景(毛利元就の三男)の夫人は、隆景没後この地に住み問田大方と称せられていました。この夫人の没後邸宅跡を「黄海山隆景寺」として両名の菩提寺としたみたいです。この祠とお地蔵様は隆景寺の名残りなのかもしれません。

  
現在は根の大きさしか分かりませんが、りっぱな巨樹だったのが想像できますね。
かえすがえすも残念です。


4-②深野八幡宮のねじりスギ(山口市仁保下郷深野)
                  2020.05.22
  
深野八幡宮は、日本果実工業(株)山口工場の近くにあります。境内に入ると直ぐにぽつんと一本立っている巨樹が目に入ります。これがねじりスギです。
ねじりスギは幹の形成層の細胞が螺旋状に捻れたため、このような性状になったものと考えられています。初めてこんなスギを見ましたが不思議な形状ですね。

   
幹が捻じれていること以外は普通のスギです。これと同じようなねじりスギは新潟県十日町市角間にあり「角間のねじり杉」として有名ですが、大きさは「深野のねじりスギ」の方が少し大きいみたいです。

     
見れば見るほど面白いスギですが、自然界には不思議な力が働く時があるんだという事を教えてくれます。「角間のねじり杉」の根元には子杉が何本も生えていて、そのどれもが捻じれているそうです。ここにはそういうものはありませんでした。


4-①源久寺のクロガネモチ(山口市仁保下郷土井河内)
                  2020.05.22
 
源久寺は源頼朝の没後その菩提を弔うために、仁保荘の地頭に任ぜられていた平子重経(たいらこしげつね)が創建した曹洞宗のお寺です。
源頼朝の家来で桓武平氏三浦氏支流の平子重経は、やがて仁保氏(後に三浦氏)一族の祖になる人物ですが、そのお墓が「源久寺宝篋印塔」と伝えられています。
クロガネモチは源久寺参道脇のそのお墓の側というかほぼ一緒にあります。
最初は源久寺の境内の中を探し回ったのですが、それらしい樹はどうしても分からず、最後は人に聞いて場所が参道脇であると分かった次第です。

   
綺麗に整備された田んぼの奥にあります。クロガネモチは防府市向島の巨樹を見たことがありますが(1-⑥参照)、それよりもやや小ぶりかなという印象です。木肌は同じようにごつごつしてます。

   
         クロガネモチの葉っぱ   この「宝篋印塔」の上の沼には
                       有名な大賀ハスが植えられて
                       いて、丁度見頃で綺麗でした。















巨樹庵 (山口県の巨樹巡り)-Vol3( 3-① ~ ⑫ )

2020-05-05 21:35:45 | 日記
今年(2020年)の正月にNHK・BSを何気なく観ていたら、”巨樹百景 神様の木に会う”という番組を放送していました。日本全国の巨樹を紹介していたのですが、この時「そういえば我が家には山口県の巨樹の本があったなぁー」とふと思い出し、本棚をゴソゴソ探してみると有りましたありました。その本の名は「やまぐち 祈りの108樹(2004年発行)」と「続 やまぐち 祈りの108樹(2006年発行)」の2冊です。2冊とも元山口県立山口博物館の学芸員をやっておられた 三宅貞敏さんの著作です。
本をパラパラとめくってみると、山口県にも 「国の天然記念物」になっている巨樹もあったり神社仏閣に存在してたりと、あんまり面倒なく見られるかもしれなくて面白そうだなと思った次第です。
というわけで、用事で何処かへ出かけたついでに県内の巨樹に会ってこようと「巨樹巡り」を始めました。2冊の本を参考にしながらの巡礼ですが樹木の専門家でも何でもない素人の私が探して歩くのですから、へんてこなブログになるかもしれません。
一応、私流に決め事を設定してます。
1.三宅先生の2冊の本に記述されている巨樹を目指します。
2.2冊の本に記述されている巨樹以外でも、これは載せた方が良いだろうという巨樹は【番外編】として記しています。
3.訪れた順に番号を記入していきます(年月日も)。また直近に巡った巨樹がいちばん上になってます。
4.場所がかなり分かりにくい所もあるので、全ての巨樹の地図を載せます。

                        2020年3月  庵主敬白
注)5月になり三宅先生の本には3冊目(続続 やまぐち 祈りの108樹(2012年発行))があることが分かり、先生本人より寄贈していただきました。深謝いたします。これ以降は3冊を参考にして巨樹巡りを楽しみたいと思います。
                        2020年5月  庵主敬白



3-⑫船山八幡宮のイチイガシ(山口市仁保下郷仁保市)
   市指定天然記念物       2020.05.22
  
案内板が設置してあってその通り行くと本堂の裏の山裾にありました。上部は折損していますがりっぱな巨樹です。明治の始め頃、この樹を切らせまいと数人がお金を出し合って守ったとのことですので、その頃から巨樹だったのでしょう。いろんな歴史を見てきたんだろうなぁーと数百年の樹齢に想いをはせます。

  さすがに幹は太いですね。樹皮なんかを見ても貫禄があります。 
ここと国道を挟んで反対側の「御旅所」には台風・落雷で大きく割裂したイチイガシがあり、復元すればここのよりも大きかったみたいです。

  
お宮さんに入って直ぐ左に県指定天然記念物のチシャノキがあります。21年前の台風で倒壊したそうですが、その後根元から何本も萌芽して現在に至ってます。チシャノキは熊毛の大歳神社で巨樹を見ましたが(巨樹庵-2、No㉕)、ここのはそれよりも大きかったみたいで、一度は見たかったですね。


3-⑪俊龍寺のヒイラギ(山口市天花)    2020.05.22
  
我々が知っているヒイラギの葉っぱは、少し硬くて葉縁に鋭い刺があるものです。俊龍寺の境内を探し回ってもそれらしい葉っぱを持った大木は見当たりません。おかしいなーと言いながら、もう一度三宅先生の本を見たら「若木には葉縁に鋭い刺があり、生垣・庭園樹に使われるが、老樹になるとこの刺は無くなる」と書いてありました。そうなんだーと、改めて探してみるとそれらしい樹がありましたありました。ただこの樹は真ん中の写真のように主幹の上部が折損しており、また右の写真のように大きな枝が切られていました。見た感じでは堂々とした巨樹というのではありません。枝ぶりも悪く、高さもだいぶ低くなってます。

     
                   木肌はこんな感じです。老木ですね。


  
上部も勢いがありません。       葉っぱはこんな感じ。確かに葉縁に刺
                  はありません。


3-➉法泉寺谷のハゼノキ(山口市滝町〔法泉寺〕)
                  2020.05.22
          
三宅先生の本だけでは場所が特定できず、とりあえず行けるとこまで行ってみようとなりました。小さいダムの右側をつめると、人家(廃屋)の前に駐車場があったので車を停め歩いて行きました。やがて山口三名水の一つ「柳の水」の取水場が現れます。三名水の残りの二つは枯れてしまっていて、一番美味しいと言われていた「柳の水」だけが残っているそうです。
この建物の奥に道が続いているので(真ん中写真)登って行くんですが、それらしい樹が見当たらずやがて行き止まりになります。おかしいなぁーと言いながら引き返すと、お地蔵さんが目にとまりました。三宅先生の本には「側にお地蔵さんがある」となってましたので、この近くに間違いないと探しました。ふと目の前の樹の葉っぱを見ると、私が知ってるハゼノキの葉っぱです。「えっ、ひょっとしてこの樹なの??」と、改めて見ると間違いありません。三宅先生の本の写真は下草も綺麗に刈られていてハゼノキも落葉した後で幹と枝だけのものだったのです。目の前の樹は下部は雑草に覆われて幹の大きさも見えず、新葉が青々と繁った大きなハゼノキだったのです。

      
左側のハゼノキと右側(奥)のハゼノキの間に道ができてます。三宅先生も「柳の水」の傍にあると書いといてくれれば良かったのにと少し恨み節。それにしても、やはりハゼノキの中では立派な巨樹ですね。 

 
左側のハゼノキの奥におわしますお地蔵様。ハゼノキの葉っぱの新緑が綺麗です。
果実から木蝋(ロウソクの原料・他)を採るために植えられたもののようです。大きな樹は案外残ってないそうで、貴重な産業遺産と言えます。
ちなみに「柳の水」は今でも利用する人がいるみたいで、帰り道に大きなボトルを担いだ外人の方が歩いて来るのに出くわしビックリしました。


3-⑨朝倉八幡宮のイヌマキ(山口市朝倉) 2020.05.22
   市指定天然記念物
  
済生会湯田温泉病院の北側に位置している朝倉八幡宮は、約1160年前に宇佐八幡宮より勧請され、現在地に移遷されてからも約300年という由緒あるお宮さんです。幕末には所謂「七卿落ち」として有名な京都の公卿さんたちも、湯田に滞在していた時たびたび参拝に訪れていたそうです。
イヌマキは二つ目の階段を上ったすぐ右側にありました。山口県内でも最大級の大きさを誇っています。

    
幹は古木らしく何やら渋い威厳があります。葉っぱを見ていて「そういえば近所にこの葉っぱの生垣があるなぁー」と思い出しました。あれはイヌマキの生垣だったんですね。案内板にも「材は非常に硬く、根も深いため庭園・公園などに広く植栽され、生垣または防風樹としてよく用いられる」とあります。近所に何軒もイヌマキの生垣があるのに納得しました。

   
                りっぱな高灯篭があります。その向こうにイヌ
                マキの姿が。



3-⑧洞海寺のカヤ(山口市上小鯖宮の馬場)
   市指定天然記念物        2020.05.12
  
洞海寺は県道21号(山口ー防府線)の傍にあり、創建は1535年の曹洞宗のお寺です。カヤ(カヤノキ)の巨樹は創建当時に植えられたと伝わっており、樹齢は480年を超えていると思われ、カヤの独立樹としては山口県内最大のものです。

   
幹に近づいてみると、さすがに太くて存在感があります。ぎゅっと身が詰まったような重量感もあります。幹下部の空洞部が三宅先生の本の写真よりも拡がってきているみたいで、少し心配な部分ではあります。

  
葉っぱが独特で、スギ・ヒノキ・カシなんかとは違うなぁーと実感できました。
カヤは碁盤や将棋盤の材として最高級品だとのことです。


3-⑦菅内のクスノキ(山口市大内菅内) 2020.05.12
   市指定保存樹      
  
グーグルマップを見てみると「菅内のクスノキ」と表示が出ていたので、「おおー、これだこれだ」と此処を目指して車を走らせます。菅内を通る県道194号(山口ー秋穂線)から日吉神社の方へ入り、狭い道を川沿いに進むと巨樹に辿り着きました。
言い伝えでは600数十年の樹齢とのことで、老木に相応しく心材部は空洞となっていて、弁財天が祀られています。

   
さすがに巨樹らしく堂々とした姿です。廻ってみるとその巨樹ぶりが実感できました。

  
ところどころ幹や枝が痛んでいる所がありますが、ちょうど新緑の頃で花も咲いていたので、目にも優しく清々しい気持ちになりました。


3-⑥長野八幡宮のシャシャンボ(山口市大内長野)
                2020.05.12
     
国道262号を山口市大内矢田で仁保方面へ曲がります。県道26号(山口ー鹿野線)を北上し262号バイパスを突っ切ってしばらく行くと小さな石の鳥居が目に入ります。その狭い鳥居をくぐり狭い道を行くと長野八幡宮に辿り着きます。1089年に宇佐八幡宮を勧請建立したと言いますから、930年位の歴史ある八幡宮です。
シャシャンボの樹は「安産の誕生石」の傍にあるとのことなので、それを目印に探してみると本殿の側にありました。ツバキ科の樹なのでビックリするほどの大きさではありませんが、この樹の中では巨樹とのことです。

  
「安産の誕生石」というのは、福岡県宇美町の「宇美八幡宮」の地で神功皇后が応神天皇を出産したという伝説から取られたものでしょう。
この樹は県内では普通に見られるとのことですが、私にはそこらへんの雑木と区別はつきません。牧野富太郎博士によるとシャシャンボの名は、実が丸くちいさいことによる「小小ん坊」からきたものだとのことです。

  
 


3-⑤山根観音堂のクスノキ立木佛(山口市大内氷上)
                2020.05.12
  
山根観音堂への道が狭いため、車を適当な場所に駐車して歩いて行きます。観音堂の裏の山裾にクスノキの巨樹が見えてきました。

  
18世紀の終わり頃に周防の国を訪れ約7か月滞在し、あちらこちらに仏像を残している「木喰五行上人」がこの地蔵菩薩を彫ったのだろうと言われています。地蔵菩薩なので優しいお顔だったのだろうと想像しますが、残念ながらお顔の部分は欠損しています。しかし200年以上前に木喰上人が精魂込めて彫られたもので、今は立木佛となっているものなので何やら畏怖の念を禁じえません。
このクスノキの樹齢は300年以上と言われています。

    
幹はさすがに古さを感じます。          民家の屋根の上に、ひとき
                       は高く聳えてます。


3-④竜王社のムクノキ巨樹群(山口市宮野上石丸)
   市指定天然記念物       2020.05.12
  
全体にこんもりとした樹叢が目につき、場所はすぐに分かります。社の直ぐ傍にある樹が一番の巨樹で、これを含め5本の巨木があります。

  
一番の巨樹。幹はごつごつしており、枝は一部折損しているのもあります。向こう側にも一本巨木が見えます。

      
枝ぶりは全体的にはまだまだ元気な様子で、神社を囲むように5本の巨木があるため、全体がこんもりとした樹叢となってます。
竜王社は山口市三ノ宮にある仁壁(にかべ)神社の末社にあたり、綿積神社とも石丸竜王社とも呼ばれていました。


3-③よしもり様のウラジロガシ(山口市朝田和田)
                2020.05.12
  
最初はどこにあるか場所が分からず、諦めかけていた時に女房が発見しました。
少し小高い所にあり、ウラジロガシの巨樹の前には作り神の大歳社信仰の石の祠がありました。かなりの老木で樹勢の衰えは隠すべくもありません。2分岐の巨樹ですが、向かって右側の方はほぼ枯れています。

     
そのほぼ枯れた方に1本  ぐるっと周囲を廻ってみると、やはり大きいです。
だけ出ている細い枝。

     
この写真のように右側のほうは枝がほぼありません。今さらですが、元気な樹勢の頃を見たかったです。また美祢市伊佐河原にこの樹の日本一大きなのがあったそうですが、倒壊してしまって今は見ることができません。
「よしもり様」というのは、大歳様→→ヨイイネサマ→→ヨイネンサマ→→ヨシモリサマになったと言われいてます。 うーん?


3-②嘉川八幡宮のアカガシ(山口市嘉川宮の原)
                2020.04.30
   
山口市嘉川には若い頃数年間居住していましたが、もちろん嘉川八幡宮には行ったことも無く、今回初めてお邪魔しました。現在の地に移遷されてからも700年以上になるという由緒あるお宮さんです。階段を登り鳥居をくぐると境内になりますが、あちらこちらに巨木らしきものが見えます。アカガシの巨樹は本堂の裏手にありました。

  
幹は古色蒼然とし風格があります。根もまだまだしっかりと張っていました。

   
スダジイの巨木です。  クスノキの巨木。幹を見てもまだまだ元気です。この大き
樹幹は折損し空洞に   さが分かりますか?。              
なっていました。


3-①秋穂二島のアラカシ(山口市秋穂二島大里)
   県指定天然記念物     2020.04.30
 
狭い道を秋穂八十八霊場七十四番札所の「栄泰寺」前の車止めまで行き、ここに駐車します。駐車した所から左手方向に何やら巨樹が見えます。

 
アラカシは山口県内では最も身近なカシ類ですが、逆に大きくなる樹は少ないとのことで、昔からこのアラカシの巨樹は有名だったみたいです。

     
幹は骨ばっていて、かつ     一部、上部は折損していますが、なかなかの 
苔むしていて良い感じです。   枝ぶりです。女房は息を止めてこの樹の周りを
               3回廻り、コロナ禍の終息を願いました。
               早く収まります様に・・。