PJMC STORY Episode.3
chapter.2
夜の13th Avenueを小さな影が走る。
ご機嫌に口笛を吹きながら、カスタマイズされた自慢のキックボードで滑走する、お気に入りのシーラカンス柄のハワイアンシャツを着たTigerboyの姿。
Locals Onlyの金網までグルりと一回りの、治安維持と称してのパトロール。道中知り合いに声を掛けながらの日課。これでテリトリーの様子もバッチリ、ノートラブル。
0013番地そして自らが経営するBARが見えて来た。BARは高濃度酸素を求めて頭スッキリしたい奴等で今日も大繁盛。
13th Recordからはサンプリング処理された「PISTOL JAZZ」としては異質で実験的なサウンドが響き渡る。
Aco Babyが小さな体でUMAのリトルビッグフッドと一緒に踊ってやがる。奇妙過ぎるだろ…。
TigerboyのBARは通りを占拠したイリーガル営業スタイル。
周りの店に大好物のタイ料理をオーダー。ドリンクはそうだなあ、ミルクと砂糖をタップリ入れたジャスミンティにしよう。
逆光で見えねーが、リザーブシートに誰か座ってベトナムビア333をあおってやがる。
「お!青燕じゃん!」
ジャンプスーツを着た青燕がニヤリと微笑み返す。
Tigerboyがゼブラ柄のソファに身を沈め、運んで来たタイ料理を口に運びながら青燕に声を掛ける。
「そろそろNewな最新型波動ウイルス音源作らねーの?ウチに来るヤツ等もなんだけど、13th Recordに24時間各国からの問い合わせが激しいらしいぞ。本当は出来てんだけどTHE STATEが絡んで発表出来ないんじゃないのかって、世界中で噂が流れてるらしいんだよね。ま、THE STATEなんてカンケーねーしで、あの遺産なんて余裕でジャック出来るのにな」
青燕がビールを飲み干し、空のボトルをテーブルに置く。首元のスワローとホースシューのWチャームが揺れる。
「でもTHE STATEのヤツ等が最新型波動ウイルスに手を焼いてたら笑えるよな」
タイ料理の辛さを押さえようと、ジャスミンティを一気に飲み干す。
「俺マンゴージュース飲むけど、青燕は何飲む?」
PM25:00
赤く巨大な満月が印象的だ。