Moi' craft もいのブログ

写真・編み物作家のもいのブログ

恋の執心から技術への執着へ

2022-10-24 11:53:26 | 日記
本来ここは編み物のことを書くためにあるのですが

どうしても書きたくなったので。


私事ですが、今年の五月結婚いたしまして

初めて旦那と、同居というのをしたのです。

それまで私は実家暮らしでした。


そこから5ヶ月、嫌なことに目を瞑り

足りないところは補ってもらいながら

なんとか生活しています。


11年付き合い、5年近く遠距離恋愛だったので

その間は常に不満と不安を抱く毎日でした。


結婚してくれなかったらどうしよう

他の男性が魅力的に見えることもありました。


今、やっと落ち着いて、恋愛の煩雑さから抜け出し

以前より幾分文化的な生活が送れているなーと感じます


恋愛に向いていた黒い感情、エゴイズムがどこへ向いたかというと……。


技術的な進歩。もう編み物なしの生活は考えられない。

どんなに疲れていても編む。

新しいことを考える。

そんな現状。

売れない?いいの、自信はあるから。


ワーカーホリックならぬ編み物ホリック、

これも一つの幸せと感じて噛み締めています。


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もい

いろりもみじの物語-3

2022-10-13 15:07:10 | 日記

男は流れ者だった。

宿にしようと入った崩れたあばら屋を貰い受け、独りで暮らしている。

玄関から入って、禿げた畳の間が一部屋。

その真ん中に囲炉裏がある、簡素な部屋だった。

前の主人は囲炉裏の前で事切れていた。

随分時間が経っていたようで、あまりきれいな遺体ではなかった。

その亡骸を丁重に葬り、流れ者・新八はこの家を貰い受けた。

それからまだ数日。

林の麓にあり、人里から離れたこの家には、新八の他に人の姿は見えない。

流れ者には好都合だった。

ここ何日かは木の芽を食べ、石で小鳥を狩り、食いつないだ。

もっと腹を満たしたい。

狩りをする前に、まず薪を蓄えた。

家を補修しながら、沢で蟹を採り、今日も飢えをしのいだ。

暗くなる前に家に帰り、火を熾す。

夕焼けが沈みゆく頃、やっと火が熾せた。

新八は、少し肌寒い晩春の夜を、初めて火の前で迎えることができた。

どこかで拾った鋤の先で、灰を掻き薪をくべる。

だんだん暗くなると、夜闇に火だけが浮かび上がってきれいだった。

今が春の終わりで良かった、新八は思う。

新芽や鳥、魚、獣、食べるものが沢山ある。

明日は筍を探しに行こう。

手をついて足を崩していた新八の手の甲に、火の粉が届いた。

熱い。しかし、痛みには慣れている。

薪が爆ぜた。まるでもみじのような火花が散る。

ふふ、と新八は笑う。もう、俺もここまできたか。夢か現かわからない。そんなあわいの中に。

パチッ、またもみじが散り、何枚も何枚もが、新八に降りかかろうとした。

「うつくしうない」

新八はぼやいた。

「もっと、木のように鈴ならぬと、うつくしうない」

もみじは新八に降りかかるのをやめ、炎が渦巻いたかと思うと、見事な紅いもみじの木を作り出した。

感心しながらも、新八は目を細める。

「何本もあらへんと、醍醐味がない」

炎は分かれ、木は二本になった。

おお、と声には出さず、新八は言う。

「あかん、あかん、三本、四本はないと」

炎は小ぶりではあるが、四本のもみじの木に別れた。

「散り際が美しいわな

炎の木はその葉を散らした。

「あかんわ」

新八はもみじに背を向け、荒れた畳に寝転がった。

「そんなんじゃ、あかん」

あの日真如堂で観たもみじには、勝てへんよ。

なあ、お義父さま。

そう思いながら、新八はすぅすぅと寝てしまった。

火は葉を散らし、小さくなって、そのうち消えていた。

火の消えた庵は静かだった。

新八は夢を見た。きっともみじの夢ではない。

朝になれば、もみじのことは忘れているかもしれない。

早く昇った太陽が、新緑の芝を照らし、新八をもう起こそうとしていた。



以上、自分の作品から着想を得た

三連作のショートショートでした。

もい
Moi's craft
(いろりもみじはMoi's craftの編むもみじの名前です)


いろりもみじの物語-2

2022-10-13 01:25:37 | 日記
師走の朝は寒く、起きるのはつらい

それでも、自分の店に出向かなくてはならない。

薬屋・煌々堂の店主与一は、朝餉の前に一服しようと、さっさと着替えて女中を待った。

二人の女中はいつも通り5時50分にやってきて、おはようございますとだけ口にし、火鉢と煙管(キセル)を置いていった。

与一はのそりと足を崩し、煙管(キセル)には手を付けず、火鉢に手をかざす。

乾いた喉を早く潤したい。

再び女中が来るのを待つ間、与一は炭を見つめていた。

外はしんと寒く、風が吹くため障子を開ける気にもなれない。

ふと、手元の炭が爆ぜた。

パチッ

炭の焼きが甘いのか。

見つめていると、パチッパチッと線香花火のように爆ぜだした。

思わず引こうとした与一の手を包むように、火花が爆ぜる。

それはさながら風に舞うもみじのようであった。

手を引っ込めることもせず、与一はもみじの形をした炎に見惚れた。

店のことも喉の渇きも忘れ、炎に魅入っていると

「失礼します」

と襖が開き女中が白湯を持ってきた。

目が火鉢から離れ、与一は手に痛みを感じた。

「あついっ」

思わず抱いた手は、両方とも色が変わるほど火傷していた。

女中は白湯を取りこぼした。

呻く主人の目の前の火鉢では、炭が白く灰がちになっていた。

その中に、一枚のもみじが落ちていたが、そんなことは気にならない。

急いで廊下を駆けて助けを呼びに行った。





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(いろりもみじとは、もいの編み物作品のもみじの名前です)

いろりもみじの物語-1

2022-10-12 10:24:30 | 日記

平太は竈の番をしていた。

火が安定するまで竹筒で息を吹き入れていないと、消えてしまうような、湿気た空気だった。

パチパチと、火の粉が手に当たるし、熱い。

それでも飯炊きのために火は絶やせない。

バチチッ 大きく火が爆ぜた。

すると、手の横にもみじの葉が飛んできた。

「え?」

雪も降りそうな季節であった。この辺りにもみじの木はない。

パチッパチパチッ

火が爆ぜる音とともに、もみじが竈から吹き出す。

平太はうっとりとしてしまった。

息を吹く手も止まった。

ぼうっとしていると、もみじに包み込まれ、いつの間にか熱く、暖かい火の中にいた。

平太は幻想に囚われたまま、炎に気づかず燃やされてしまった。

焦げついた土間には、一枚のもみじが落ちていた。


さる『いろりもみじ』の話




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(『いろりもみじ』はもいの編み物作品の名前です)

オンラインイベントのご案内

2022-10-10 00:49:56 | 日記

こんばんは、もいです

オンラインイベント準備で忙しくしていました。
あと、明日は委託販売のための作品見せに行ってきます!

オンラインイベントのご案内

10/15 12:00〜
花の創作フェスティバル 〜オールジャンルフラワーフェス〜 03 | pictSQUARE - オンライン即売会サービス

花の創作フェスティバル 〜オールジャンルフラワーフェス〜 03 | pictSQUARE - オンライン即売会サービス

お花関連の創作を中心とした交流イベント花の創作フェスティバル ~オールジャンルフラワーフェス~ 03 開催です!!***当日ご来場の皆様は、イベント内容や規約を確認...

こちらのイベントに参加いたします。

一部ですがお品書き↓↓



他にも


バラ『リトルパール』のマグネット
1100円

桜のバレッタ
1600円


ポインセチア『トゥウィンクル』のコサージュ
2000円

バラ『グラシアス』のループタイ
4800円

などなど

お手頃から繊細で高価なものまで、色々取り揃えております!

ぜひいらしてください🎀

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