――この間の韓国の戒厳令下で重要だったのは、韓国軍の将兵が最高指揮官である尹大統領ー国防大臣の命令を、あらゆる方法で拒んだことだ。
本来、首都戒厳令であれば、数個師団の兵力が動員されかねないが、動員されたのは多く見積もって数百人だ。しかも、国会に出動した特殊部隊には、実弾どころか空砲も持たせないなどの状況だった言われる。
この根源にあるのは、光州事件への軍部の深い反省、つまり、戒厳令に基づく市民・国民の治安弾圧への反省があったと言われる。国民に銃口を向ける軍は「国軍」とはいえない、単なる政権の道具でしかない、ということだ。
そして、重要なのがこういう韓国軍の歴史を通して作られてきたのが、「抗命権」の事実上の行使があったと言える。
「抗命権」とは、軍隊の中での「上官の違法命令への拒否権」であり、東京国際裁判などで確立してきた「兵士の権利」だ。
これについては、ドイツなどでは確立しているが、自衛隊などでは、曖昧にされたばかりか、最近では、隊内では、「命令への絶対服従」を徹底的に教育するだけである。
しかし、リンク先の資料をみれば分かるように、自衛隊でも1970年までの部内では、「違法命令の拒否」は、「法律的」には確認されていたのである(『陸幕法令解説』)。
この間の韓国軍の状況は、まさしく事実上の抗命権の行使により、国家自体が救われたのではないか。兵士たちの事実上の抗命権行使が、流血の事態を回避させたのだ。
まさしく、「兵士の抗命権」という古くて新しい課題を、私たちも今こそ再認識し、自衛隊内に確立するときがきているのではないか!
今、自衛隊は南西シフト下で、急ピッチで対中国の戦争態勢づくりに突進している。このような中、抗命権の確立は、決定的意義を持つことにだろう。
●参考資料
・「投稿「兵士にも良心に従う権利があれば」)――朝日新聞「オピニオン&フォーラム」の河村正義さんの投稿に答えます!
https://note.com/makoto03/n/n3887ab913833
・「50年前の1972年4月27日・28日、自衛隊の「沖縄派兵」等中止を求めて現役自衛官が決起した!」
https://note.com/makoto03/n/nac85797e2044
・『マルクス主義軍事論第1巻 (1983年・小西誠著)』、第11章「韓国・光州蜂起の教訓」
・『現代革命と軍隊―世界革命運動史の血の教訓・第2巻』 (1984年・小西誠著)
https://www.amazon.co.jp/%E3.../dp/B0C7T5FYX2/ref=sr_1_1...