ちぼの気まぐれ日記

日頃思ったことや感じたことをぼちぼち綴ったもの。

病理解剖の遺族の気持ち

2021-01-17 22:40:13 | 日記
今日、母と私がトラコーマの話をちょっとしてましたら、33年にして初の事実を聞く羽目に。

トラコーマは私が標本作成を担当した患者さんの検体にあって、写真で見た事しかなかったので、標本を作るのが大変だったという話をしたのがきっかけ。


そしたら、母が

『おばあちゃん、病理解剖出したでしょ。お母さんも仕事で解剖やっていたし、おばあちゃん、原発不明がんだったから、原因を知りたいと思ってやってもらったの。おじいちゃんもおばちゃんも承諾してくれたから。』

と言ったので、びっくり

『その話初めて聞いた。』

と言ったら、

『あれ、言ってなかったけ?それでトラコーマ見つかったのよ。原発は結局よくわからなかったけど、腹膜が原発じゃないかっていう結論だったの。』

と言われました。


おばあちゃん、手術を何回もしていて、お腹に数本の手術跡があったのに、亡くなってからも切られているのを知って、凄い衝撃でした。

仕事で必要な部位を切り出された検体を確認するのですが、容器に無理やりぱんぱんに入っていて、細胞や組織がつぶれているような検体を見た時、

『ご遺族の気持ちをどのように捉えて解剖をしているのだろうか。検体を提供して頂いた敬意を払う意識は無いのか。専門医を取る事だけを考えて適当にやっているのではないか。』

と思っていました。

技師の学校での臨地実習先の病理検査部に

『検体は患者と思え』

と書いてあったのをいつも心にして、検体とは向き合っています。


でも、周りに病理解剖をした人はいなかったので、正直客観的な部分もあったと思います。


ですが、今回、この事実を祖母が亡くなって、もうすぐ33年目で初めて知って、ご遺族の気持ちが分かった気がします。


私は自分も身内も今の仕事に就いて、今回、このような事実を知って、病理解剖に身内を出したくないと思うようになりました。

今回、このような事実を知った以上、今まで以上に病理解剖検体にご本人並びにご遺族に敬意を持って、標本作製に取り組みたいと思います。

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