湿潤治療で知られる夏井先生のサイトで『栄養と料理11月号』に清原九大大学院教授のインタビューが載っていることを知る。すぐにアマゾンに注文。昨日届いていた。
『本当に糖質のとりすぎのせい? なぜ「久山町」で糖尿病が増えたのか』との大見出しで始まる。その一部を紹介。記事は5頁の長文なので正確な文意を得るため是非とも全文を読んでほしい。
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「久山町研究」は世界的に信頼性の高い生活習慣病の疫学調査です。最近おもにインターネット上で「研究のせいで久山町住民に糖尿病が増えた」とする論調の批判が目につくようになりました。そのような批判は、はたして的を射ているのでしょうか。久山町研究の研究統括者である九州大学大学院教授の清原裕さんにお話を伺いました。
---信頼性の高い疫学調査として世界的にも注目されている久山町研究ですが、最近になって国内でおもに極端な糖質制限を主張する人々から「長年の疫学調査で健康管理がしっかり行われてきたとされるいもかかわらず、久山町の糖尿病有病率は全国平均より高い」、「久山町で糖尿病が増えたのは久山町ですすめる食事の糖質の多さが原因だ」との批判が出ており、”久山町の悲劇”などともいわれています。
清原教授:(国民健康・栄養調査の糖尿病調査と久山町疫学調査の違いを述べたうえで)このように方法が大きく異なる調査の結果を単純に比較することはできません。
---調査方法が異なるとはいえ、全国を対象とした調査で「糖尿病の疑いあり」とされた割合よりも、久山町の正確な糖尿病有病率のほうが高いのですから、やはり久山町の糖尿病有病率は高いといえるのではありませんか。
清原教授:もともと久山町の疫学調査ではほかの調査と比べていろいろな病気の有病率が高く出る傾向があります。なぜかというと、久山町住民の検診受診率が高いからです。(後略)
---では、国民健康・栄養調査の結果よりも実際の糖尿病患者は多いと考えられるのでしょうか。
清原教授:私はそのように考えます。確かに久山町の糖尿病患者はこの20年で急増していますが、それは日本人全体でも同様にいえることです。(後略)
---久山町で糖尿病が増加した理由は、ネットの批判にあるように糖質のとりすぎによるのでしょうか。
清原教授:久山町研究を批判する人たちがなにを根拠に糖質のとりすぎと指摘しているのはよくわかりません。65年から04年までの久山町の栄養比率の推移を全国平均と比較すると、むしろ糖質摂取量は久山町のほうが低いことが示されています。
私は糖質制限を否定するつもりはなく、やり方によっては有用でもあると考えていますが、糖質をほとんどとらない極端な食事法や、糖質を制限すればあとはなにを食べてもよいという考え方には賛成できません。(後略)
---数年前、久山町研究から糖尿病患者は非糖尿病患者より認知症を発症しやすいことが報告され、国内外の注目を集めました。
清原教授:これまでの解析により、糖尿病は認知症の危険因子であることが明らかになっています。(中略)「大豆・大豆製品、緑黄色野菜、単色野菜、海藻類、牛乳・乳製品の高摂取、米の低摂取」という組み合わせの食事パターンのみが認知症発症が有意に少なかったという結果がでました。(中略)
糖尿病であれ認知症であれ、それを予防する食事は、日本人がこれまではぐくんできた食文化の中から、日本人に合った無理のない形を見つけることが重要です。(後略)
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清原裕教授は2007年7月27日付け毎日新聞朝刊で『88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい』と語っている。是非ともこの記事(コピー)を入手したいものだ。
久山町研究 - HbA1c・血糖値を下げる『糖質制限食』
http://blog.goo.ne.jp/ms926/e/e0f61defb684747da745df08f38d64a0
清原裕教授略歴(同記事より)
きよはらゆたか。医学博士。1976年旧ソビエト連邦ロストフ国立医科大学卒業。78年九州大学医学部第二内科入局、2006年より現職。久山町研究の4代目主任。久山町での動脈硬化性疾患および悪性腫瘍の発症率、死亡率、危険因子について研究中。また久山町の疫学調査から得られた臨床・遺伝子情報を基に、生活習慣病の環境要因と関連遺伝子について解析している。
『本当に糖質のとりすぎのせい? なぜ「久山町」で糖尿病が増えたのか』との大見出しで始まる。その一部を紹介。記事は5頁の長文なので正確な文意を得るため是非とも全文を読んでほしい。
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「久山町研究」は世界的に信頼性の高い生活習慣病の疫学調査です。最近おもにインターネット上で「研究のせいで久山町住民に糖尿病が増えた」とする論調の批判が目につくようになりました。そのような批判は、はたして的を射ているのでしょうか。久山町研究の研究統括者である九州大学大学院教授の清原裕さんにお話を伺いました。
---信頼性の高い疫学調査として世界的にも注目されている久山町研究ですが、最近になって国内でおもに極端な糖質制限を主張する人々から「長年の疫学調査で健康管理がしっかり行われてきたとされるいもかかわらず、久山町の糖尿病有病率は全国平均より高い」、「久山町で糖尿病が増えたのは久山町ですすめる食事の糖質の多さが原因だ」との批判が出ており、”久山町の悲劇”などともいわれています。
清原教授:(国民健康・栄養調査の糖尿病調査と久山町疫学調査の違いを述べたうえで)このように方法が大きく異なる調査の結果を単純に比較することはできません。
---調査方法が異なるとはいえ、全国を対象とした調査で「糖尿病の疑いあり」とされた割合よりも、久山町の正確な糖尿病有病率のほうが高いのですから、やはり久山町の糖尿病有病率は高いといえるのではありませんか。
清原教授:もともと久山町の疫学調査ではほかの調査と比べていろいろな病気の有病率が高く出る傾向があります。なぜかというと、久山町住民の検診受診率が高いからです。(後略)
---では、国民健康・栄養調査の結果よりも実際の糖尿病患者は多いと考えられるのでしょうか。
清原教授:私はそのように考えます。確かに久山町の糖尿病患者はこの20年で急増していますが、それは日本人全体でも同様にいえることです。(後略)
---久山町で糖尿病が増加した理由は、ネットの批判にあるように糖質のとりすぎによるのでしょうか。
清原教授:久山町研究を批判する人たちがなにを根拠に糖質のとりすぎと指摘しているのはよくわかりません。65年から04年までの久山町の栄養比率の推移を全国平均と比較すると、むしろ糖質摂取量は久山町のほうが低いことが示されています。
私は糖質制限を否定するつもりはなく、やり方によっては有用でもあると考えていますが、糖質をほとんどとらない極端な食事法や、糖質を制限すればあとはなにを食べてもよいという考え方には賛成できません。(後略)
---数年前、久山町研究から糖尿病患者は非糖尿病患者より認知症を発症しやすいことが報告され、国内外の注目を集めました。
清原教授:これまでの解析により、糖尿病は認知症の危険因子であることが明らかになっています。(中略)「大豆・大豆製品、緑黄色野菜、単色野菜、海藻類、牛乳・乳製品の高摂取、米の低摂取」という組み合わせの食事パターンのみが認知症発症が有意に少なかったという結果がでました。(中略)
糖尿病であれ認知症であれ、それを予防する食事は、日本人がこれまではぐくんできた食文化の中から、日本人に合った無理のない形を見つけることが重要です。(後略)
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清原裕教授は2007年7月27日付け毎日新聞朝刊で『88年以後、運動や食事指導など手を尽くしたのに糖尿病は増える一方。どうすれば減るのか、最初からやり直したい』と語っている。是非ともこの記事(コピー)を入手したいものだ。
久山町研究 - HbA1c・血糖値を下げる『糖質制限食』
http://blog.goo.ne.jp/ms926/e/e0f61defb684747da745df08f38d64a0
清原裕教授略歴(同記事より)
きよはらゆたか。医学博士。1976年旧ソビエト連邦ロストフ国立医科大学卒業。78年九州大学医学部第二内科入局、2006年より現職。久山町研究の4代目主任。久山町での動脈硬化性疾患および悪性腫瘍の発症率、死亡率、危険因子について研究中。また久山町の疫学調査から得られた臨床・遺伝子情報を基に、生活習慣病の環境要因と関連遺伝子について解析している。