朽ちていった命

2023-02-27 | あほらしきこと

 

忘れていた本を何冊か注文。
その中の一冊が『朽ちていった命』
ベッドに潜り込んで一気に読み終えたのは半年ほど前。
気が付けば深夜を回っていて
一杯の温かい珈琲を淹れ、そのまま朝を迎えた。


『朽ちていった命』
NHK「東海村臨界事故」取材班(著)
新潮社  平成23/4/31 11刷


豊かな経済への希求に目隠しされ
社会の雑踏に忙殺されていったもの
その一つひとつはこころが痛いと知覚されることなく
日々の喜怒哀楽に過ぎていく。
人間に忘却が許されていて
どのような惨事であろうとも
距離を置いた対岸の火事は風化していくいくものだ…。
そう思っていたのだが
先日、被爆事故のニュースが流れ
本を手にした時のショックがフラッシュバックする。

文化から科学からも遠い話だが、
一行の言葉のかけらに感動し。
本当にわずかな人が見せてくれる、
これまた気付く人も少なくなった皺皺の人間臭さに
思わずクスッと笑みが漏れる。
そして一人、目頭をチクチクさせるのだ。


この頃思う、
文化とは何だろう、ほんとうの豊かさとは何だろう。
私の自尊がこころの贅肉に言う。
このチクチク感がある、
それで、いいじゃないか。

 

 

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よその牛蒡 

2023-02-25 | あほらしきこと


いろいろ行き詰まるから
深夜をドライヴ(ボロボロの車dakedo)。。。

考え事をしていると
つい飛ばし過ぎてしまう。
田舎道の夜は、高速道路並みなのです・・・
そういえば、はじめて高速を走ったとき

突然けたたましいサイレンの音…
「何かあったのかな」と思い、車線を左に変更。
すると、後方から「前の車、停車しなさい」

おまわりさんに捕まる覚えなどなくて
すこし驚いたけれど、取り敢えず路肩に車を止めました。

後ろについたパトカーから男の人が降りてきて
「ごぼう抜きしましたね」

まったく身に覚えがないから
「私、ごぼうなど抜いたことありません」
真顔で答えていました。

・・・おまわりさんの目も点でした。

 

 

 

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かにかくに

2023-02-25 | インポート

 

どちらかと言えば少しどころではなく、
至る所が折れている。
身体ではない、心だ。
そうして自粛を解かれてふらっと出かけた。
何処へと言う目的もなく辿り着いたのは飛騨金山。
細い路地も変わることなくある。
隠れるように残るベンガラの赤、
網代張りの戸袋に下見板張りの壁が美しい。
他人事のように言えば異論もあるだろうけれど地味な町だ。
 
この町には
『日本書紀』で、
皇命に逆らう賊とされた両面宿儺の伝説が眠る。
皇命に従わず、人民から略奪を楽しんでいる凶賊として
和珥臣の祖、難波根子武振熊を遣わしてこれを誅した、
と語りつたえる。
けれど町の伝承資料には異伝があると記されているのだ。
その抹殺された異伝がささやく。
両面宿儺は出波平から金山の小山に飛来し、
37日間大陀羅尼を唱え、
国家安全・五穀豊穣を祈念して高沢山へ去った…。
村人たちは、
宿儺が飛来した山を鎮守山として観音堂を建て祭った。
世の常だが、歴史も文化もその多くは時の勝者のもの。
集客に精を出す観光文化のほとんどもそれら勝者の歴史を称え、
ネット社会のSNSが大衆を侵略するように、
観光文化に地方のプライドも醸成されるのだけれど…。
けれどこの町に残る宿儺の物語は
例えば明智の子孫がひっそりと首塚を守ったように
その成り立ち故に秘め事のように祭られたのかもしれない?
そんなところが少し特異な様相をみせるから惹かれる。
 
隠れた参道のようにある小山の段々をのぼり、観音堂を訪ねた。
今の暮らしがこの観音堂に繋がっているかは分からないが、
歴史は覆いつくす新緑に守られている。
物の語が風に乗り飛来したのかと思えば、
登りきった小山の天辺で滲む汗も心地よい^^
実は、この町以外の旧飛騨街道沿いにも
皇命に逆らった賊(両面宿儺)の様々な伝承が残されている。
それらも『日本書紀』と異なるものも多く、
そこには抹殺された飛騨の歴史の謎があるのかと、想像も膨らむ。
むかし豆腐を買って帰る。



追記:「安吾の新日本地理 飛騨・高山の抹殺 ―中部の巻―」
                       坂口安吾著
 
お時間があるときに(青空文庫)で読めます。
文末に添えられている歌が、今のわたしにぴったりだ。
 
かにかくに物は思はずヒダたくみ打つ墨縄のただ一道に
                          人麻呂


















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纏わりついて存在する脳内時間

2023-02-23 | あほらしきこと

4~5年前だった.
差し込む朝の光を手の甲に受け豆をカリカリ、珈琲を淹れる。
近頃に騒々しいばかりの世の中に嫌気がさすときも増えた。
人や事物それぞれに纏わりついて存在する脳内時間というものだろうか。
珈琲の香り纏わりつく時間にホッとする私がいる。

珈琲を注ぎながらTVのスイッチを入れた時だった。
ディスプレイに映し出されたのは背丈と肩幅の比率がほぼ三対一、
前かがみの小さな身体を左右に揺らし、
扉から差込む光に消えていく老婆の姿だった。
逆光の中へと消えていく老婆に、ナレーションが演出っぽくかぶる。

「今日、彼女に出所の許可が下りた。
些細な犯罪で入所している高齢者たち、彼らの再犯率は高い…」

逆光でホワイトアウト状態になった場面で、扉は音もなく閉じられた。

全てが管理された秒刻みの刑務所暮らしは、限りなく退屈であり、
きっと鉄瓶ではなく電気ポットのお湯が沸くだけの
無機質な毎日が積み重なり過ぎていったに違いない。
そこに、待てど暮らせど珈琲が香ることはなかっただろう。
一言も発すること無く消えていった老婆の刑務所の時間だ。
しかしそう断定してしまうにはあまりに切ないものが残った。


きっと彼女にも相対的に纏わりつく時間の流れがあったに違いない。
私はカップを手にすると珈琲の香りを確かめ、
そう、例え時間の流れに従って管理される刑務所であっても、
そこに彼女が生きた時間の匂いが纏わりついたはずだと思った。
多くの人に待ち遠しい日や時というものがあるなら、
それは受刑者にもあるだろう。
それこそが刑を終える出所の日である可能性は高い。
彼らの一人一人のそうした不確実だが待ち遠しいという感覚の中で、
うらぶれ異土の乞食となった今、
故郷の匂い、それは朝食に出た糠漬けが、
子供の頃、台所にしゃがむ母を思い出させたかも知れない。
そしてそこにこそ「秒」という単位に計測される時間ではない
老婆だけの脳内時間が流れたのだ。


扉が閉じられた後のあの型通りなナレーションが耳障りに残っていた。
彼らを嫌悪する声が聞こえてきた。
「私たち納税者はあなた達を養ったけれど、
あなた達は何をしてくれたと言うのか」
例え至れり尽くせりであろうと刑務所暮らしは、
あなたが目くじら立てるようなものではないだろうと思うのだが。
所持品検査や身体検査の実体が現在もさして変わらないだろうし、
施設に足を踏み入れた瞬間から人権はないのだ。
食事や入浴、排便など生きる基本的動作も監視され、
人としての自負心などゴミ箱に捨てなければならない。
閉鎖的空間だから被収容者同士の陰湿ないじめは当然の事、
刑務官の嫌がらせもあるに違いない。
まして、無条件に身を置くことになる刑務所の、
刑務官らの不祥事も枚挙に暇がないのだ。
彼らの精神が安定した健全を保てる保証など全くないのだ。
些細な罪状であっても、
社会が高齢受刑者に対して決して甘くはない事を
彼ら本人が知ないはずはない。そう、例え認知症であってもだ。

きっと、纏わりつく脳内時間が存在する。
そう思いながら私はぬるくなった珈琲を啜った。

 

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おちおち眠れやしない

2023-02-16 | あほらしきこと

やっとかな、それとも早い方なのかな、

マイナンバーカード申請を済ませた。

昔はプライバシーの保護が声高に叫ばれていたものだけど…

今や守るプライバシーなど無くなってきたし。

IT社会の構築はその前兆だったし、仕方ない。

多くの諸国はほぼ完全な管理社会を構築しているようで、

どうやらITは独裁的管理社会にはもってこいのツールのようだし。

某国国民にはナンバーがふられ、

顔認証でその生活の全てが管理されている。

管理の内容は半端じゃなく、

ナンバーを調べれば生活レベルから学歴、職歴はもちろん、

犯罪歴、病歴も、どのような人間関係を持っているか、

今どこで何をしているのかすら、全てが管理されているのだ。

プライバシーなど全くない無い社会だ。

カメラの目は至る所で国民を守る。あ~っ!そうじゃない、

守るのは支配者の未来永劫の権力だ。

そんな某国で女達ははしゃぐ。

「プライバシーとハイクラスの結婚相手のキャッチを天秤にかければ、

プライバシーの侵害など問題ではない」ってね。

「結婚相手を探す時、ナンバーだけで、全ての情報が分かるから、

結婚相手の生活レベルが保証されるのだから、問題などありません」だって。

なんとも嬉しそうにインタビューに答えていたのだ。

なんだかこの打算は恐いくらいだ。

女はそもそも現実的だと思えばなるほどと納得やむなし…?

『天の網』は、か弱き(?)…、女の味方なのだ。

しかし、世界中に『天の網』が広がるのだけは勘弁してほしい。

ただでさえ、ネットサイバー攻撃に加え、

世界中で、国家の安全保障という大義名分の諜報活動が盛んだ。

 


▲これは情報収集しません。

 

おちおち眠れやしない。

 

 

 

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