忘れていた本を何冊か注文。
その中の一冊が『朽ちていった命』
ベッドに潜り込んで一気に読み終えたのは半年ほど前。
気が付けば深夜を回っていて
一杯の温かい珈琲を淹れ、そのまま朝を迎えた。
『朽ちていった命』
NHK「東海村臨界事故」取材班(著)
新潮社 平成23/4/31 11刷
豊かな経済への希求に目隠しされ
社会の雑踏に忙殺されていったもの
その一つひとつはこころが痛いと知覚されることなく
日々の喜怒哀楽に過ぎていく。
人間に忘却が許されていて
どのような惨事であろうとも
距離を置いた対岸の火事は風化していくいくものだ…。
そう思っていたのだが
先日、被爆事故のニュースが流れ
本を手にした時のショックがフラッシュバックする。
文化から科学からも遠い話だが、
一行の言葉のかけらに感動し。
本当にわずかな人が見せてくれる、
これまた気付く人も少なくなった皺皺の人間臭さに
思わずクスッと笑みが漏れる。
そして一人、目頭をチクチクさせるのだ。
この頃思う、
文化とは何だろう、ほんとうの豊かさとは何だろう。
私の自尊がこころの贅肉に言う。
このチクチク感がある、
それで、いいじゃないか。