デジブック 『祖光院~彼岸花~』
ゴールデン・ウイークの真っ直中の5月2日
旅行鞄とデジカメ・・・プリントアウトした時刻表を持って家を出た。
久しぶりの電車での清里行きだ
お昼に清里に着けばいいかな・・
ただそれだけしか決めず、二泊分位の荷物を持ち
新宿から中央本線の臨時の特急あずさに乗った。
連休中の混雑を覚悟していたものの
ひとりのお陰で窓側の座席に座れた
窓の外を流れる景色を眺めながら
「さぁ、出発!」と心の中で呟く
徐々に都会を離れ始めたころ
清里に着いたらどこへ行こう・・
小淵沢で降りてみようか~
小海線で甲斐大泉辺りをブラブラしてみようかな
でも、今夜の宿泊先を確保しないと心配かな・・
そんなことを考える
新緑の低い山々が続く
途中、所々で見える高速も流れているみたい
「車でも来れたかな・・」という思いが過ぎる。
山梨県に入る手前で山の中腹に大きな白い封筒が見える。
「ラブレター?」何故そう思ったのかというと赤いハートが真ん中に付いているからだ。
確かに以前も見たことがある。何だかとっても懐かしい。
甲府に入る、桃の花が満開に咲く頃に偶然ぶつかったときの感動が蘇ってくる。
それ以来、桃源郷という言葉が記憶の中にインプットされたように思う。
小淵沢に着くと小海線の連絡が20分位あった。
もう、大勢の乗客が乗っていたものの、一人用の座席が丁度空いていた。
車内は片方にボックス席、もう片方が一人がけ用の席が向かい合っている。
もう、先に前の席に座っていたのは、60代半ば位の白髪の男性が座っていた。
荷物を上の棚に上げたとき、「メガネが落ちましたよ」と声をかけて頂いた。
「ありがとうございます。」
進行方向を背にした座席だった私は、身体を捩って車窓の景色を見ていた。
カラマツの木々がどれも形良く、天に向かって並んでいる。
その芽吹きの美しさは、春の息吹に満ちて、心が洗われるようだ。
私が好きな小海線の魅力のひとつ。
そんなことを思いながら、もう少ししたらそろそろ富士山が見えるかしら・・
と遠くに目をやろうとしていると、向かえに座っていた男性も今度は後ろの方向に富士山が見えるので、何度か立ち上がって後ろを振り返って見ていた。
「あまり見えないな」と呟いた。
私は、「中央線の甲府の辺りからよく見えましたよ。」という。
(旅は道連れ、袖すり会うも多生の縁というから・・思い切って言葉をかけた)
「あの辺りはね」当たり前ですよといた様子。
しかし、小海線は詳しそう。
「ご旅行ですか?」と聞くと「いや、八ヶ岳が好きで野辺山に小さな小屋を建てましてね。そこへ行くんですよ」
「いいですね。」
「カラマツが落葉する季節もいいですよ。夜、小屋の屋根にパラパラと何とも言えない音をたてて散ってくるんですよ」
その話に色づいたカラマツの細い葉が風に舞い落ちてくる光景が目に浮かんだ。
瞬間その話の場面に自分がいるような気がして・・・パラパラという音が聞こえるような気がした。
旅行鞄とデジカメ・・・プリントアウトした時刻表を持って家を出た。
久しぶりの電車での清里行きだ
お昼に清里に着けばいいかな・・
ただそれだけしか決めず、二泊分位の荷物を持ち
新宿から中央本線の臨時の特急あずさに乗った。
連休中の混雑を覚悟していたものの
ひとりのお陰で窓側の座席に座れた
窓の外を流れる景色を眺めながら
「さぁ、出発!」と心の中で呟く
徐々に都会を離れ始めたころ
清里に着いたらどこへ行こう・・
小淵沢で降りてみようか~
小海線で甲斐大泉辺りをブラブラしてみようかな
でも、今夜の宿泊先を確保しないと心配かな・・
そんなことを考える
新緑の低い山々が続く
途中、所々で見える高速も流れているみたい
「車でも来れたかな・・」という思いが過ぎる。
山梨県に入る手前で山の中腹に大きな白い封筒が見える。
「ラブレター?」何故そう思ったのかというと赤いハートが真ん中に付いているからだ。
確かに以前も見たことがある。何だかとっても懐かしい。
甲府に入る、桃の花が満開に咲く頃に偶然ぶつかったときの感動が蘇ってくる。
それ以来、桃源郷という言葉が記憶の中にインプットされたように思う。
小淵沢に着くと小海線の連絡が20分位あった。
もう、大勢の乗客が乗っていたものの、一人用の座席が丁度空いていた。
車内は片方にボックス席、もう片方が一人がけ用の席が向かい合っている。
もう、先に前の席に座っていたのは、60代半ば位の白髪の男性が座っていた。
荷物を上の棚に上げたとき、「メガネが落ちましたよ」と声をかけて頂いた。
「ありがとうございます。」
進行方向を背にした座席だった私は、身体を捩って車窓の景色を見ていた。
カラマツの木々がどれも形良く、天に向かって並んでいる。
その芽吹きの美しさは、春の息吹に満ちて、心が洗われるようだ。
私が好きな小海線の魅力のひとつ。
そんなことを思いながら、もう少ししたらそろそろ富士山が見えるかしら・・
と遠くに目をやろうとしていると、向かえに座っていた男性も今度は後ろの方向に富士山が見えるので、何度か立ち上がって後ろを振り返って見ていた。
「あまり見えないな」と呟いた。
私は、「中央線の甲府の辺りからよく見えましたよ。」という。
(旅は道連れ、袖すり会うも多生の縁というから・・思い切って言葉をかけた)
「あの辺りはね」当たり前ですよといた様子。
しかし、小海線は詳しそう。
「ご旅行ですか?」と聞くと「いや、八ヶ岳が好きで野辺山に小さな小屋を建てましてね。そこへ行くんですよ」
「いいですね。」
「カラマツが落葉する季節もいいですよ。夜、小屋の屋根にパラパラと何とも言えない音をたてて散ってくるんですよ」
その話に色づいたカラマツの細い葉が風に舞い落ちてくる光景が目に浮かんだ。
瞬間その話の場面に自分がいるような気がして・・・パラパラという音が聞こえるような気がした。
重たい日常の渦の中から逃げ出すように・・
何も決めないまま 列車に乗った
指定席が取れなかった・・自由席でいいかな
泊まるところも空室なし・・何とかなるかな
と
行き先はいろいろ考えてみたのだけれど
知らない場所に行く心の余裕が無いことに気付かされた
何も考え無くても
私を受け入れてくれる場所
新宿から乗った特急あずさでは
ずっと窓の外ばかりを眺めていた
自問自答しながら・・
何も決めないまま 列車に乗った
指定席が取れなかった・・自由席でいいかな
泊まるところも空室なし・・何とかなるかな
と
行き先はいろいろ考えてみたのだけれど
知らない場所に行く心の余裕が無いことに気付かされた
何も考え無くても
私を受け入れてくれる場所
新宿から乗った特急あずさでは
ずっと窓の外ばかりを眺めていた
自問自答しながら・・