さあ寝ようとベッドにあがり、ふと振り返ってみると、
ベッドの下のほうになにかぼんやりと黒いものが
あるような気がしました。
まさか? と見つめていても、息を吹きかけても動きません。
動かないなら違うんじゃないかと思いますが、
多少近づいて見ると、やっぱりあるはずのない場所に
何か黒いものがあります。
うっ、と思いましたがめがねをかけていないのが逆によかったようで、
詳細に見るよりは精神的ダメージがありません。
いっそ掃除機で吸ってしまおうかとも考えたものの
夜なので迷惑です。
そこでしかたなく、はえたたきで掬おうとします。
やっぱり見えるのが嫌なのでトイレットペーパーを乗せ、
遠くからちょびちょびと動かします。
見えないとは言え、本当に動かないのか、
なぜ動かないのかがわからないので気が気ではありません。
トラップ薬剤を前においたのが効いているのだとは思いますが。
この嫌さを考えると、どうもこれがわたしの間合いを
侵しているからではないかと思いました。
もしこれが生きていて、襲い掛かってきた場合、
どうにか避けられる距離というのが間合いではないのかと
そんなことを考えながら、歯を食いしばって動かしていきます。
それにしても、はえたたきであれをすくうというのは
どうやったらいいのか常に悩みます。
壁に押し付けて下から掬うのは、カサッと動くし、
失敗したら跳ねるのがすごく怖いです。
業界には、アレの処理がしやすいような、
長い柄のなにかを開発してほしいものだと思います。
夏はかなり好きですが、あの存在がたまらなく嫌です。