この前山口へ旅行に行ったあと、
テレビでそこらへんの番組をやっているのを見ました。
白い壁の通りとか、だれだかの家とか、
吉田松陰の歴史とか場所とか神社とかが
ナレーションつきでテレビから流れてくると、
あそこは本当にそういう場所だったんだなあとしみじみしました。
そのあと、行ったところのおすすめお菓子なども目にして、
どうせなら行く前に知っていれば……と悔しくなっていたところ
友達に言われました。
「でも、行く前にやってても見なくない?」
そう言われれば、確かに。
行ったことのある場所だからこそ興味を持ち、番組などを見たわけで、
行ったことがなけれれば見も読みもしなかったでしょう。
正直、旅行で見たときでさえ、
なんというか近所の古民家を見る程度の気分でした。
もしくはまいまいず井戸くらいの。
あー、古いんだなあ、と流していたものが、
後に『実はここが日本の井戸の最初の歴史で、
後に日本中の井戸の原型として広がり、
玉川上水や立川のうど栽培の元となったのです!』なんて言われて
思わず改めて見に行きたくなる気分を味わいました。
この気分が旅行に行く前に持てれば、
場所場所つまみぐいだけで感慨もなく流れ去ってしまう観光地も
とても有意義なものになると思います。
……でも、それは無理なのでしょう。
パック旅行は、歌のサビメドレーと同じ。
次々サビだけ聴いても一つ一つの歌のよさなんてわかりません。
むしろ大事なところは、サビに至るまでの盛り上がりです。
土地で言えば、周囲の環境や歴史や情緒です。
たぶん札幌の時計台ががっかり観光地と言われるのは、
そこにはむき出しの時計台というサビしかなくて、
周りの情緒というそれまでのメロディーがないからではないかと思います。
というところで結論としては、旅行の真のおもしろさは
同じ場所へ2回行ったときにわかる、ということです。
同じ場所に行ってどうするんだと言う人もすくなからずいますが、
それは間違いです。
通は1回目に行って自分との関わりを持ち、
その後で興味の網により興味事項を捕まえ、
その場所に新しい情報を仕入れ、
そこで2回目に行って自分なりの真の感慨を味わうのです。
……問題は、時間とお金です。