検査で今度はCTスキャンを受けました。
まずはあらかじめ服を脱ぐように言われ、
検査着に着替えると紙コップを手渡されます。
バリウムかなにかでも飲むのかとぎくりとすると、
中身は『普通のお茶』だそうです。
でも手の中からは冷気が伝わってきます。
「これは人類にとっては小さな一杯だが、
わたしにとっては大きな挑戦になるだろう」
わたしの中のアームストロングがつぶやきました。
こんなとんでもないものを
大コップ一杯に飲んだ日には、とんでもハップンどころか
とんでもダッ……げふんげふん。
でもなるべくたくさん飲んでと言われたので、
少々口に含んではよくかみかみしてぬるくしつつ、
飲み込むことを続けていました。
そこから五分後くらいに呼ばれたので
そのままいくと、叱られました。
「ぜんぜん飲んでないじゃないですか。
全部飲んだら始めようと思ってたのに」
……病院行って自分にとっては高いお金払ってまで
こんな不愉快な人に叱られたくないです。
そもそも言われたのは「なるべく飲め」で、
「全部飲め」じゃありません。
わたしは自分のできる範囲で
なるべく多く飲もうと勤めたのに。
全部飲まなきゃいけないなら
最初からそう言ってください。
こういう人が会社で上司やっていると、
本人の指示ミスなのに
こちらに責任を押し付けてくるのでたまりません。
どうしようかと思っていると、
もうそのままでいい、といったような
なげやりな感じで台の上に寝そべります。
MRIは半切りのバウムクーヘンの筒の中に
体全体で入っていきますが、
CTは半切りの、缶詰パイナップルのトンネルを
行ったり来たりする感じでした。
途中息を止めるのが数回あって、
どことなくレントゲン風味です。
でもなにより違うのは、間に注射をすることです。
結構じんじんと痛い注射を腕に挿され、
それが入ったまま造影剤を流し込みつつ、
検査を続けるのです。
それがなんだかあったかいらしく、
台の上で寝たまま尿を漏らしたような、
嫌なぬるさがおしりから背中にかけてひろがりました。
10分くらいで終わったあと、
不安になっておしりを触ってみましたが
何にもなっていませんでした。
終わってみたら、お金は1万円くらい。
はじめてのCTスキャン体験は――
いろんな意味でつらかったです。
やれやれです。