『違くて』という言葉が発生しています。
『違う』という言葉は日本語ですごくむずかしいものです。
英語の『different(違う)』は形容詞で、
『right(正しい)』も形容詞です。
一方で日本語の『正しい』は形容詞で
『違う』は動詞です。
では、『正しい』と同じ文脈で、
『違う』を使いたくなったらどうするのか。
そこで人々が違和感をおぼえつづけた結果、
出てきたのが『違くて』系統の言葉に思えます。
『違う』の言い換えは『そうじゃない』。
『そうじゃなくて』に『違う』部分を代入すると
『違くて』。
あるいは、『みんな違って』の『違って』を形容詞的用法ととらえ
調声の『っ(t)』を『く(k)』で置き換えたら『違くて』。
『t』と『k』の置き換えは、方言や言葉揺らぎでは
頻出中の頻出なのでおかしくはありません。
たとえば沖縄弁で『げんき(元気/genki)』を
『がんちゅー(gantu)』と言うような。
『きょう(今日/kyou)』を『ちゅー(tyuu)』と言うような。
この世がずっと続くなら、いつの日か後の人が
『違くて』とはいつから出たんだろうと思うはずなので
国かどこかがきちんと言葉の揺らぎをまとめて
公文書として未来に残して欲しい物だと思います。