直列☆ちょこれいつ

最近は神社や神道などの古い文書の解読をしています。
研究のまとめはカテゴリ『自作本』から。

花火と浴衣と死人の時間

2007年07月30日 | ちょこのひとかけ


 土曜日は花火でした。
ここぞ! とばかりに街に集まってくる
一見さんやバカぷるこ達。
すごくうさんくさいし、今時風で気持ち悪く、
そばに行くのがいやでした。
というか、駅前が無法痴態(あえてIME変換のまま)
なんですけど……。

 そのなかで毎度気になるのが、
浴衣の着方です。
とりあえず一言いわせてください。

『着物の合わせは自分の右手を入れて!』


右前、左前なんてどちらが前なのか
わからない呼び方をするから
死人合わせになるのです。
日本は右利き文化なので、生きてる人間は
右手をつかいます。
懐刀を取るのも、懐紙をとるのも
右手で行うものです。
なので、右手が入らないと形にならないでしょう?

ということさえわかれば
どちらのあわせを前に出せばいいのかがわかるのに、
形だけしか見ないので、洋服のように
女性だから左手側、となってしまうのでしょう。


着物文化のワンポイント:

日本は右利き文化なので、男性女性とも、
着物を着るときは右手が入るように着ます。
あわせを反対にすると死人合わせとなり、
みているほうは非常に落ち着かなくなります。

といっても気にしない人は笑うでしょうが、
見ている人がどんな気持ちでいるかといえば、
だれか他人のお葬式で、お棺に横たわるかたの
写真を無礼にも撮り、それを見せつけられて
いるような気分です。





さて。それはおいておいて。
死人合わせとはなにかについてちょっと解説。

日本においては、基本的に右利き文化となっています。
たとえば駅の改札でも左利きは非常に不便。
はさみにしても左利き用は特殊な扱いです。

日本人の死の国の概念は、
生の国の合わせ鏡となっているので、
鏡の中にあるようなものが、
死の国に近いのです。

右手あわせの着物を着て鏡に映ると、
合わせは逆になるのがわかりますか?
そんな感じです。

そしてよく考えると面白いのが、
その法則です。

わたしたちが人を見ると、左手あわせの人の
着物には、着ている人の左手が入りますよね?
でも鏡に向かったまま手を上げると、
自分が右手を上げれば、
相手(自分の鏡像)も右手をあげます。
その相手の向きを逆にしてみると、
右手という左手を上げながら、
生の国で見る左手合わせに右手を入れる、のです。

鏡の中はまったくの反対に見えて、
反対ではありません。
すこしねじれた位置関係にあるのです。

ですが死ぬと生が死に反転したように、
体や魂も反転するので、
この世から送り出すときには
いろいろなものを反転させるのです。
着物もそのひとつ。

それはほかの国にも同じような考えがあって、
たとえばアイヌでは、
死の国は山のてっぺんのなお向こう、
地面が合わせ鏡のように
存在すると考えられていたようです。
また、こちらが夏のときは向こうは冬。
死者には冬の装いをさせたという話もあります。
さらには、季節だけでなく
時間も逆なので、生者が寝る夜に
向こうは活動時間。
死者の霊などは夜に活動すると
考えられていたようです。
日本でも夜がおばけの時間なのは
そこらへんとも関係がありそうですね。


その考えを伸張させると、
どうして写真が忌むべきものだったかも
推測できそうです。

写真は、まるでこの世の写しのような
見た目であらわれます。
でも逆ではないので、あの世のものではありません。
自分がここにいるのに、
自分じゃない自分も生の国にいる。
自分と同じ形なので、魂がある。
魂の総量はおなじなので、向こうに魂がある限りは、
自分の魂がとられた。
すなわち、魂が奪われた、のだと。

なお、ここで言う、寿命を減らす魂は、
魂魄でいうところの魄のほうです。
霊のたましいと、肉(身・ミ)のたましいがあり、
霊のほう、すなわち魂は人を人でいさせる、
精神の働きを意味します。
人がぼーっとしているとき、魂が抜けたようだ、と
表現される、あの状態を作ります。

一方肉のたましいのほうは、
人を『生きている』状態にさせるものです。
たとえば病気で臥せっている人が
どんどん具合が悪くなっていくとき、
魂が減るのではなく、魄が減る状態だと
見ることができます。
魄がすくなくなることは、直接寿命にかかわり、
そのため写真も忌み嫌われたのでしょう。

ひとことでたましい、といっても
日本人や古代中国では
二つの意味がまとまっているので
注意が必要です。


まとめ:

魂……精神活動のミ
魄……寿命・肉体活動のミ
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2 コメント

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Unknown ()
2007-07-29 20:34:01
昨日見た限りだと死人合わせの人5人ぐらい居ましたよ
あんまり意識しないんでしょうかね?

それと生死は鏡、反転ですか。分かりやすい表現ですね
返信する
Unknown (あまね)
2007-07-31 00:00:19
それはたぶん、
着てることに意義があると思っているので
それ以外は気にしないのでしょう。

ほんとうは着た後の着こなし、
身のこなしなどが一番重要なのですが。


自分がわかることをどう他人に説明するか。
10年以上練習してますが
何の役にも立ちません。

返信する

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