この前、ビデオを見ていたときのことです。
悪い人間の集団の行動を阻止しようと、
主役たちが悪者を追っていったのですが。
そこでとうとう主役たちの一人が悪の親玉に追いつき、
かぶっていたマスクをはがしました。
そしてその顔を見て、驚いて叫ぶのです。
「お、おまえは○!」(○は伏字)
それを見てわたしは思わず口にしました。
「○ってだれ!?」
いきなり驚かれても、なぜそんなに驚く対象なのか
まったくわかりませんでした。
主役がかつて出会っていた意外な人物でしょうか?
説明くらい入れてくれないとわけがわかりません。
しばらくそのまま見ていたら、ようやく思いつきました。
冒頭で出てきて主役たちを集めた、偉い人です。
どうやら味方の上司が悪い人という、
例のお約束だったようです。
普通の人ならあのシーンで
ちゃんと理解するのでしょうか?
わたしはこんな調子で人の区別があまりできないので、
人物がたくさんでてくるものは苦手です。
かつて学校のときでは、
だれだれ先生が昨日と同じ服を着てどうこう、と
話しかけられても、まったく理解できませんでした。
というよりも、教室以外の場所で会ったら、
その人が、わたしの習っている先生だとすら
見分けがつかないくらいです。
そこで思ったのがアニメのいいところ。
アニメは回によってもと原画を書く人が変わるため、
線や絵の表情すら違うものになります。
でもそのキャラがそのキャラだとわかるのは、
記号論によるものがおおきいのだと思います。
たとえば、この髪でこの目でこの服、
この色の組み合わせだから、これはあのキャラ、
といった具合です。
似たキャラは世の中にあったとしても、
そのアニメの中ではたいてい
その特徴を持つのは一人です。
だからこそ、描く人が変わっても
見る側はそのキャラがそのキャラであると
認識できるのでしょう。
一方現実の人間を絵に描くのがむずかしいというのは、
素体はおなじで、細かな差異しかないので、
それを記号としてあらわすほど
大きな揺らぎがないせいかもしれません。
だからわかる特徴があるひとは、
『メガネ』や『はげ』などと
簡単に呼ばれるのかもしれません。
その一方で、ネットゲームでは色違いのキャラも
同じキャラも見分けがついて覚えていたりするので、
それだけのものでもないと思いますけど。
現実世界でもカーソルを合わせたら
名前がでてきたりすればいいのにと
あらためて思いました。
あとは、映画のああいうシーンでは、
下に注意書きが出てくれればいいのにと
思った次第です。
「お、おまえは○!」
※冒頭に出てきた、主役達のボス