海の家

旅行と映画の感想を載せていきたいと思います。
よろしくお願いします(*^_^*)

レッドクリフpartⅡ

2009年04月22日 20時34分43秒 | 映画感想
監 督 ジョン・ウー
出演者 トニー・レオン(周瑜)
     金城武(孔明)
     チャン・フォンイー(曹操)
     チャン・チェン(孫権)
     リン・チーリン(小喬)
     ヴィッキー・チャオ(尚香)

2009年4月12日(日)に観に行きました。partⅠが面白かったので、期待していきましたが、いやぁ期待以上によかったです。話の大筋は誰もが知っていると思いますので、そこをどう見せるのか(魅せるのか)が肝になります。主要な登場人物の魅力といい、舞台のスケールといい、申し分ありませんでした。


…以下ネタバレ入ってます…


 Ⅰと比べると、それぞれの英雄が派手に活躍する場面が減り、代わりに孔明と周瑜の近辺に焦点が当てられました。友情を前提とした厳しい関係や、周瑜と妻小喬との愛情とリーダーとしての葛藤など、くさいといわれればそうかもしれませんが、美しい映像で説得力を持たせています。周瑜が悩んでいるときに、部下たちがお団子を次々にあげていったのは、ユーモラスな中にもぐっとくるものがありました。
 また、この映画のストーリーとして特徴的なのは、孫権の妹尚香の活躍でしょう。尚香のエピソードは結構大きく時間をとってあり、監督の伝えたい主題をよく表したものではなかったでしょうか。「勝者は誰もいない」というラストの言葉が印象的です。

 戦闘の場面は、迫力がありすぎるほどでした。普通は一番の見せ所と思われる火計による船団の炎上はプロローグに過ぎず、そこから延々と戦いは続いていきます。敵も味方も多くの戦死者が出、先ほどあげた尚香のエピソードもここで完結します。英雄たちのかっこいい姿もそこここにありますが、総じて無情・無残・悲惨なイメージが一貫しています。このあたり、見るのがつらいですが、名場面ですね~。

 ハリウッド映画のようなスカッとした終わり方でもないし、話の流れも所々重いな~と感じるところもありますが、(要するにテンポが違うのでしょう)そこがまた新鮮な感じもしました。

 それにしても金城武かっこいいですね~涼しげな目元が魅力的です。

レッドクリフpart1

2009年02月10日 20時54分55秒 | 映画感想
監 督 ジョン・ウー
出演者 トニー・レオン(周瑜)
     金城武(孔明)
     チャン・フォンイー(曹操)

1月11日(日)に観に行きました。はやく感想を書かねばと思いつつ、とっても遅れてしまいました(>_<)。
作品自体は、とても力の入った作品で迫力があり、その世界に引き込まれました。夢中になれる映画で、私としては十分満足できました。



…以下ネタばれあります…



 CGの映像美も好きですが、この映画のように、人間が体当たりで演ずるリアリティもいいですね~。冒頭の趙雲子竜が劉備の子どもを助けるシーンから目が離せません。
 一騎当千の豪傑達が所狭しと活躍するのですが、強いながらもそれぞれの特徴が出ていて、それぞれの英雄にファンがつきそうです。関羽・張飛はイメージ通りの姿でした。特に張飛の戦い方は、力任せでなかなかキャラクターに合ったものでした。
私自身は金城武扮する孔明のかっこよさはもちろんですが、関羽が敵陣奥深くまで単身乗り込む姿に、けっこうしびれました。また、中村獅童扮する甘興も異彩を放っています。

 また、この映画の眼目は、周瑜と孔明の友情にあると思いますが、その当たりの細かな人物描写、心理描写もよく頑張っていました。ただ強いだけでなく清廉潔白で情緒豊かな人物として、好感を持った描き方がなされていて、映画世界に深みを与えています。人柄を表すエピソードがいくつかあって、まあ、あまりにもわざとらしいという人もいると思いますが、その定番さが、なんだか漢文を読んでいる気分にさせてくれ、いい感じに中国世界をイメージさせます。

 アクションなどの映像面は、はっと目を見張るようなシーンが満載で、さすがジョン・ウーです。孔明の策略と英傑達の縦横無尽の働き。要所要所にいい感じの特撮も入り、まさに目が離せないとはこのことです。

 始まりの所で、三国志の概略が説明されたのも親切でした。話の筋を全く知らなかったうちのカミさんも、すんなり話に入れたようです。

 以上のように大満足の映画ですので、後編が楽しみです。いよいよ「レッド・クリフ」が主戦場になりますね。

ミラーズ

2009年01月26日 09時53分54秒 | 映画感想
監 督 アレクサンドル・アジャ
出演者 キーファー・サザーランド(ベン・カーソン)
     ポーラ・パットン(エイミー・カーソン)
     エイミー・スマート(アンジェラ・カーソン)

 2008年12月28日(日)に観に行きました。感想が激しく遅れてしまいました(>_<)。ホラー好きの私にとって、今年の正月映画にホラーがないのが寂しく感じていたとき、この映画を発見。喜び勇んで観に行きました。が…
 感想は…厳しかったです…。


以下ネタばれです

…今回かなりありますのでご注意を…


 火災で焼けただれ、放置されたデパートという舞台はよかったです。また、映るはずの物が映らず、映らないはずの物が映る。映ったものが違う動きをする。このあたりは鏡ものの定番でしょうが、それなりに恐怖をあおるものがあり、なかなかよい感じでした。また、鏡に残る謎の手形など、伏線らしき物もあり、期待が高まります。

 と、前半はよかったのですが、いざその謎解きになると、あまりにも定番のパターンで、拍子抜けでした。また、主人公のあまりに身勝手な行為に対して、共感も得られず、ラストの主人公の悲劇は、さもありなんで同情の余地なしだと思いました。
 必死の思いで悪魔を追い出し、修道院で密かに暮らす人を引きずり出して生け贄にするなんて主人公のやることではありません。なんだか某テレビドラマのCM「~みんなまきぞえ~」が思い出されます。(そのドラマもサザーランドさんがやっていたから連想するのでしょうが)

映像としては先ほど挙げた「映る」「映らない」の対比がよく出ていて、頑張った箇所が随所に見られました。妹のアンジェラ・カーソンが死ぬシーンはとってもグロテスクで、賛否両論あるでしょうが、映像的に頑張った観は認められます。
ただ、やはりラスト付近の悪魔との対決は今一歩荒い感じがして、途中で力尽きた感がしてしまいました。
例えば悪魔をやっつけるにしても、鏡を使ったトリックなどを用いたほうがよかったように思います。せっかく途中までは鏡の特性を出せていたのだから、盛り上がるところでもその当たりを考えてもよかったのでは。例えば合わせ鏡とか。

 この映画は韓国映画のリメイクだそうで、元の映画もこういうエンディングだったのでしょうか、興味はあります。

地球が静止する日

2008年12月31日 13時19分59秒 | 映画感想
監 督 スコット・デリクソン
出演者 キアヌ・リーブス(クラトゥ)
     ジェニファー・コネリー(ヘレン・ベンソン)
     ジェイデン・スミス(ジェイコブ)


 12月21日(日)に観に行きました。キアヌ・リーブス主演、予告編の映像などで、期待感が高まります。ストーリーも、人類の滅亡がかかった壮大な物と聞いて、これは是非観行かねば…と意気込んで映画館に足を運びました。
 この映画は1951年に制作された「地球の静止する日」のリメイクです。前回は戦争や核兵器に対する警告の映画だったようです。近頃こういった古いSFのリメイクって流行っていますね。「宇宙戦争」はけっこう気に入ってます。
 で、観た感想は、…う~ん、ちょっと私の趣味じゃないなぁ…という感じです。



以下ネタばれです

…今回はけっこうばっさりネタばれですのでご注意を…



 地球の環境破壊を続けてきた人間に、宇宙人の審判が下って人類は抹殺される…というシチュエーションです。キアヌ・リーブス演ずるクラトゥがその全権をまかされた宇宙人大使です。「私たちの地球」と人が言った時に「君たちの…?」といぶかるクラトゥの表情が印象的です。
 環境破壊に対する警告を真っ正面から取り上げた問題作といえますが、あまりにもストレートな展開に、私としては、ちょっと物足りない感じがしました。ここまで真っ正面のストーリーであれば、開き直って環境破壊の実態をドキュメンタリー風に映像化しても良かったかもしれません。
また、人類滅亡を免れたきっかけが、ヘレンとジェイコブの親子愛というのも、やや安直に感じました。しかし、人類が果たして地球の自然環境にとってよい存在か、というのは簡単に答えの出る問題ではありません。ですから映画の提示する人間の美質も、一つの答えかもしれません。この映画で心打たれた人はその答えが心に響いたと言うことでしょう。
 ストーリーはやや単調で物語は主にクラトゥ・ヘレン・ジェイコブの三人だけで進んでしまいます。全世界的な問題なので、もっと沢山の人々が関わるべきではないでしょうか。ちょっと世界観が広がらなかったように感じました。

 さて映像面ですが、これはよくできていました。巨大ロボット(ゴート?)はノスタルジックな造形ですが、最新のCGで隙無く作り込んであります。ただ、全てを塵にしてしまう金属イナゴは、大変な環境破壊をしてしまっているようにも思えました。生物には無害なように設定して欲しいところです。

 色々と辛口意見になってしまいましたが、ジェイコブ役のジェイデン・スミスくん、頑張っていました。ウィル・スミスのお子さんだそうですが、味のある言い演技をしています。これからが楽しみですね。

さらば仮面ライダー電王 ファイナルカウントダウン

2008年12月31日 11時24分28秒 | 映画感想
監 督 西谷弘
出演者 桜田通  (野上幸太郎)
     佐藤健  (野上良太郎)
     中村優一 (桜井侑斗)
     死郎    (松村雄基)
     ソラ    (神田沙也加)
 
声の出演
モモタロス=関俊彦
ウラタロス=遊佐浩二
キンタロス=てらそままさき
リュウタロス=鈴村健一

 (確か)10月25日に観に行った映画です。子ども向けの映画は入場するのに勇気がいりますが、この映画は今人気の佐藤健が出演していたこともあり、大人の、それも女性の二人連れが目立ちました。
 仮面ライダーは、幼い頃に1号からV3までを観ていました。その後は縁がなかったのですが、平成ライダーの「仮面ライダーアギト」からは大人げなく毎週観ています。それぞれのライダー達については、語れば長くなりますので割愛しますが、私の観たライダーのなかでもこの「仮面ライダー電王」は面白いと感じた作品です。

 映画を観た後の感想は、「電王」世界に浸れてよかった~というものでした。ただし、テレビでこのシリーズを観ていない人にとっては微妙なところではないでしょうか。


以下ねたばれです



 電王のよさは、ひとえに登場人物達のキャラ立ちの良さにあると思います。仮面ライダーに変身する野上良太郎を中心に、変身の元になる4体の個性ある「イマジン」というエネルギー体が、それぞれの関わりをもつことでドラマを作っていきます。ちなみに彼らは元々は定まった姿はないけれど、とりついた人間のイメージで特定の姿を持つようになります。4体は良太郎のもつイメージ(昔話の登場人物)によって、それぞれモモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスとなるわけです。
さらに沢山の登場人物を巻き込んで、どたばたコメディーの要素を含みつつ、それぞれの個性を生かしたストーリーが展開されます。
 なので、ファンはその人間関係の面白さを味わうという楽しみも映画の中に見いだします。特に今回の映画は電王終了後ずいぶんたった頃でしたので、久しぶりに「会いに行く」という感覚で映画を観に行きました。映画館で変わらぬ登場人物達と再会することが出来てよかったです。

 ストーリーは、男女の悲恋を中心とした佳作でした。電王世界では「時間」の流れが軸となって話が進みますが、今回は良太郎の孫幸太郎も出てきて、にぎやかさも増します。舞台も現代だけでなく、江戸時代にも行き、仮面ライダーの騎馬シーンもみられました。まあ、ライダーですので、バイクでなく馬にまたがってもアリなんですが。
 普段はどたばたを繰り返すイマジン達の、ふともらす含蓄のある言葉などが印象的です。人を信じること、自分を信じることの大事さを説いています。
配役も要となる悲恋の二人に、松村雄基さん、神田沙也加さんを抜擢するなど、力が入っています。
 展開として所々に破綻もありました(特に5人のライダーが勢揃いする所など)が、それはファンサービスでしょう。また、題名に「さらば」、「ファイナル」の文字がありますが、別に皆がいなくなってしまうということもなく、これからもこの世界が有り続けるという終わり方で肩すかしを食うと同時に一安心しました。

 映像はよく頑張っていました。テンポ良くメリハリのついた、見ていて飽きの来ないうまい映像だったと思います。ただ、孫の幸太郎が変身する仮面ライダーNEW電王、敵の仮面ライダー幽汽とも、その造形が私の趣味とややずれていたのが残念。造形で話をすると、個人的にはウラタロスのロッドフォームは仮面ライダーらしい目つきで好きです。また、ゼロノスがベガフォームになるときの変形の仕方がいいですね。この辺りになるとまた話が長くなるのでこの辺で…σ(^^)

 ということで、この映画、趣味で観る映画でしたが、私としては十分楽しめました。

アイアンマン

2008年10月14日 19時58分03秒 | 映画感想
監 督 ジョン・ファヴロー
出演者 ロバート・ダウニーJR(トニー・スターク)
     ジェフ・ブリッジス(オバディア・ステイン)
     グウィネス・パルトロー(ペッパー・ポッツ)

 10月13日(月)体育の日に観に行きました。スパイダーマンやバットマンのようにマーベルコミックの映画化で、近頃のこの手の映画は「当たり」が多いので、期待して観に行きましたが、期待に違わず面白い映画でした。



…ネタばれ注意です…


 痛快!の一言で言える映画ではないでしょうか。数あるヒーロー物のなかでも、この映画はロボット好きの日本人にはおおいに受ける映画だと思います。
武器製造、紛争や戦争、といったヘヴィな設定ですので、主人公が着るパワードアーマー(パワードスーツと言った方がすっきりしますね)は武器満載。倫理的に見てどうかと思うところもありますが、威力の絶大さは見事の一言。機関銃や戦車、戦闘機と対戦しても、負けるわけがありません。こういう所をきちんと(かっこよく)映像化していて、子ども時代に憧れた「無敵のロボット」を彷彿とさせます。

 また、その製造過程も緻密に描かれていて、観ていてのめり込みます。数々の失敗を重ねながらしだいに完成に近づいていく時の盛り上がりがいいですね~。失敗もけっこうユーモラスに描かれていて、思わず吹き出したくなるところも。観客を楽しませてくれます。スーツ(ロボット)も、アフガニスタンで作られた試作機・銀色で氷結対策の出来ていない初号機・改良して、赤と金に塗られた二号機(号数は勝手に言ってます(^_^;))など、単体のものでなく、いくらでも製作できるという設定も気に入りました。

 そしてラストの敵との対戦ですが、こちらが思った通りのシチュエーション。もちろん因縁のあるロボット対ロボットです。そして圧倒的に相手の方がパワーがある。う~ん燃えますね~。色々な伏線がきちんと繋がっていて、なるほどと合点がいく箇所がいくつもあり、観ていて楽しくなります。

 こういった盛り上がりどころをあますところ無く映像化出来た特撮技術はたいした物です。私の好きな所は、まず、やはりスーツが稼働するところ。小さな所まできちんと動かして、リアリティを出しまくっています。この部分だけでも相当な苦労があったと思います。そして、戦闘機との空中戦。空を飛ぶシーンはスピード感がよく出せていて、爽快感があります。アフガニスタンでの試作機の登場のしかたなど、ここぞという時の決めポーズも、よく練り込まれた映像となっていました。作り手の熱意が伝わってきますね。

 そして、各キャラクターも個性的でうまい演技をしています。主人公のロバート・ダウニーJRは、ひげ面で、これまでにない大人の雰囲気を出していますし、敵役のジェフ・ブリッジスの、表面は善人面で腹黒い人物、という演じ方もいい味出しています。

 最初から最後まで楽しめた一作でした。二作目で、どのような進化をするか、(ストーリーでも、マシンの性能でも)楽しみです。


 まあ、つっこみどころもないわけではないですが…。例えばあの顔。あんなのっぺらぼうでいいんかい!落書きされちゃうぞ!!
個人的には飛び立つ時の、手のひらを下に向けて「きをつけ」をしている姿がちょっとかわいかったですね。

(2008年10月13日(月)ココウォーク映画館にて)

容疑者Xの献身

2008年10月13日 09時50分18秒 | 映画感想
監 督  西谷弘
出演者 福山雅治 (湯川学)
     柴咲コウ (内海薫)
     堤 真一 (石神哲哉)
     松雪泰子 (花岡靖子)

 10月11日(土)に観に行きました。長崎に新しくできた映画館を体験するという目的もあり、地元長崎出身の福山雅治さん主演のこの映画をチョイスしました。
なかなか渋い映画だったな~というのが第一の感想です。テレビとはひと味違うワールドでした。


…以下ネタばれありです…



 ストーリーは孤独な容疑者Xの切ない恋(といえるのかどうか…)と、湯川准教授との友情が絡んできて、謎解きと言うよりは孤独な男の魂の救済を描こうとしたヒューマンドラマとして成り立っています。
テレビドラマでは見られない湯川准教授の悩む姿は渋くてかっこよかったです。もうひとりの主人公である石神を演ずる堤真一さんや、その片思い相手である花岡を演ずる松雪泰子さんの味のある演技で、キワモノでない、本格派の雰囲気を醸し出していました。映像も登場人物達の日常の風景(=我々の日常でもある見慣れた雰囲気)を丁寧に描き、映画世界へ自然に引き込まれていきます。
なかなか見応えのある良作だと思いました。

 しかし、不満がないわけではありません。渋いということは裏返すとテレビ版のハデな演出が少ないということで、湯川准教授の決めのポーズ(顔を片手で覆う)や、所かまわず数式らしきものを書き散らすシーンなどは影を潜めています。その辺り物足りないと思う人もいるのではないでしょうか。(かくいう私もそのひとりです)やはり「ガリレオ」が出るからには、颯爽としたかっこいい事件解決を期待してしまいます。(と、ここで改めてこの映画の題名を見ると、どうも「ガリレオ」の文字が入っていないようです。監督はこの辺りでもテレビ版との差別化を図っているのでしょうね)

 また、映像が丁寧だと記しましたが、ハデなシーンは冒頭と山とエンディングの三カ所だけだったように思えます。映画という大スクリーンとの相性という点からすると、やや物足りなさを感じました。

 さらに、内容面でも謎解きよりも人間関係に力点が置かれていて、謎の面白さが、映像としてはっきり提示されなかったような気がします。湯川准教授が二人に分かれるシーンがありましたが、当然容疑者に対してもそういった演出をして欲しかったです。少なくとも映画館で二人して映画を観ているシーンや、友だちと会っているシーンは映像化した方がよかったような気がします。

 繰り返しますが、この映画はテレビ版「ガリレオ」とはかなり軸をずらしたものだと感じました。ガリレオというハデなキャラ立ちに頼ることなく、人間性を描き出す本格ドラマとしての位置づけをしようという意欲にあふれた作品です。そのずれが魅力でもあり、不満点でもあるようです。私としてはこの作品とテレビドラマの「エピソードゼロ」の2作を観て満足しました。

(2008年10月11日(土)ココウォーク映画館にて)

ダークナイト

2008年08月18日 23時32分49秒 | 映画感想
監 督 クリストファー・ノーラン
出演者 クリスチャン・ベール(ブルース・ウェイン/バットマン)
     ヒース・レジャー(ジョーカー)
     マギー・ギレンホール(レイチェル・ドーズ)
 8月11日(月)温泉旅行の初日、佐賀のイオンシネマで観ました。9日に、一作目「バットマンビギンズ」があって、おさらいはばっちりです。まあ、前作を知らなくても十分楽しめる作品でしたが、やはり知っていると登場人物に対する思い入れが違ってきますね。
 2時間40分程の超大作です。内容も深く、濃いもので、見応え十分の作品だったです。単なるヒーロー物でなく、人間の業を描いた傑作だったと思います。


…ネタばれ注意です…


 人間の本性は善か悪か、遙か過去から問われ続けてきたこの問に、本作もまた挑戦しています。ジョーカーという完全悪にゴッサムシティは翻弄され、人々の本性が次々とむき出しにされていきます。その醜さ、暗さが、ジョーカーの表情に、トゥーフェイスの左半分の顔に象徴されています。人間の本性はやはり悪なのか…その絶望が全編を暗い夜の映像で覆い尽くしてます。(なので私は題名をダークナイト=暗い夜、と勘違いしてました)映像をあますところなく使って主題を表現しようとした、その徹底ぶりには感銘を受けました。暗い絶望のゴッサムシティを実感し、途中で息苦しくなるほどです。それにしても、恋人の運命をあそこまで過酷にするとは…ショックでした…。また、悪に負けたトゥーフェイスの哀れな姿!

 ラストあたりで、やっと希望の光が見えます。乗船客達の最終決断のシーンは、やや安直かとも思われますが、やはりけっこう感動します。一番暗い夜の末にやっと朝日の一筋の光が差した、という感じです。こういう盛り上げ方はうまいですね~。囚人のとった行動と台詞はよかったです。
 一筋の光は見えたものの、まだ光り輝く真のリーダーは現れません。その時までバットマンは「ダークナイト=暗闇の騎士(とでもいうのでしょうね)」として、陰ながら悪人と戦い続けるのです。この自己犠牲のかっこよさは、なかなかいいですね。悲劇のヒーローとして、特に日本人には受けるんじゃないかと思います。まあ、ヒーロー物を脱したと言いながら、結局よりかっこいいヒーローを描いた作品じゃないかと言われればそれまでですが、開き直って言えば、そこがまたよい映画といえるのではないでしょうか。

 また、この映画の魅力は、俳優たちの好演でしょう。バットマン(ブルース・ウェイン)のまわりを固めるマイケル・ケインやモーガン・フリーマンなどはもちろんですが、やはり、ヒース・レジャーの悪役ぶりはいうことありません。こんな奴が実際にいたら、(恐怖で)なんでも言うこと聞いちゃうだろうな~と思ってしまいます。

 映像もよかったです。黒を基調にして、題名通りの「ダーク」な雰囲気をこれでもかというぐらい出しまくっています。
また、今回も色々なバットマンの装備グッズが出ますが、一番よかったのは、やはりオートバイです。一度乗ってみたい!もちろん、バットマンみたいに自由自在に乗りこなせないでしょうが(^_^;

 バットマンというヒーロー物というよりは、ブルース・ウェインをはじめとした、様々な人たちのドラマであり、犯罪を追う、刑事物のようでもあり、色々な要素が感じられる深みを持ったいい映画でした。

崖の上のポニョ

2008年08月14日 12時45分24秒 | 映画感想
監 督 宮崎駿
声の出演 ポニョ: 奈良柚莉愛
       宗介: 土井洋輝
       リサ: 山口智子
       耕一: 長嶋一茂
       グランマンマーレ: 天海祐希
       フジモト: 所ジョージ

 8月12日(火)佐賀のイオンシネマで観ました。
 事前にインターネットで色んな方の感想を見ましたが、賛否両論あるようです。私としては、最後まで楽しく宮崎ワールドにはまれて、大満足でした。
 ジブリ作品としては、「ゲド戦記」以来、宮崎駿作品としては「ハウルの動く城」以来の作品となりました。私としては、「ゲド戦記」「ハウルの動く城」共に、不満の残る作品だっただけに、この作品には、期待半分、不安半分の気持ちでしたが、特に「アニメーション」という表現方法において、面目躍如という感がしました。


以下ネタばれありです…


 まず圧倒的インパクトとして、めまぐるしく動く絵が挙げられます。ただ動くだけではなく、アングル、緩急の付け方など、よく研究し練り込まれていて、見ていて気持ちがよかったです。ポニョが波(?)の上を走るシーンなど、久々に宮崎アニメの疾走感が出ていました。また、水の底に沈んだ森の表現も不思議な感覚で、現実と幻想の交錯した世界をうまく表現できていました。色合いもこの手のジャンルでは実にしっくり来ていて、とても見やすかったです。コンピューター処理をしていないと言う話ですが、手書き独特の「揺れ」が感じられるいいアニメだと思います。(人によってはその辺りで酔ってしまうこともあるかも…)
 表情の描き方も丁寧で、なかなか好感が持てました。ポニョの三段変身(魚→半魚人→人間)は、観る人によってはちょっと気味が悪く感じるかもしれません。特に半魚人の時の顔は人間離れしています。この辺りはもちろん監督の意図ですので、評価は観た人の感じ方で言いと思います。私は、主題の一つである、「外見だけで愛するのではない」ということを伝えるために必要だったと思いました。

 内容は、ある意味定番、私としては真新しさを感じさせるほどではありませんでした。環境破壊などに対する、文明批判的な主題も読みとれますが、あまり深刻に分析するよりも、その世界観に身を任せて楽しむという姿勢で観るのがよいような気がします。単純なストーリーではありますが、人物の性格付けやそれぞれの絡みで、冗長さは感じられません。主人公の二人よりも、宗介の母リサやポニョの父フジモト、おばあさん達など、宮崎駿色の強い個性派の脇役によって、楽しい雰囲気が盛り上がっています。

 あえて難を言うならば、ポニョの描き方ですが、「宗介が好き」という一点だけで持たせようとしたところは、性格の広がりに欠けるところがあり、(途中、赤ちゃんに接するところで優しさなどを表現しようとした所もありますが、そういう箇所が少なかったような気がします)親近感が今一歩出なかったかもしれません。
この点と、上記した「半魚人」との描写によって、この作品は「トトロ」ほど、両手放しで国民的に親しまれる作品とはならない可能性もあります。

 しかし、涼しげな海の映像、動きのある楽しいアニメーション、水の底の不思議な世界、心優しい登場人物達、心温まるストーリーとハッピーエンド、名作児童アニメとして十分な力量を持った作品です。
幸せな「その後」を想像したくなる傑作だと思いました。

ハプニング

2008年07月27日 13時00分56秒 | 映画感想
監 督 M・ナイト・シャマラン
出演者 マーク・ウォールバーグ(エリオット)
     ズーイー・デシャネル(アルマ)
     アシュリン・サンチェス(ジェス)

 7月25日、公開翌日に観に行きました。近頃ホラー系の作品を観ていないので、やっとコワイ目にあえる(^^ゞ…)と期待半分、あまりメジャーではないようだな~という疑い半分で観に行きましたが、私としては満足できました。
しかし、ものすごい殺人鬼や怪物は出ませんので、「雰囲気」にはまるかどうかが、この映画の味わい方に大きく関わるのではないでしょうか。


…‥以下ネタばれありです‥…


 この映画の大きな要素は、「日常ではありえないシチュエーションに対した時の世の中のあり方、人間の行動の取り方」という視点です。もちろんホラーですから、そのシチュエーションは主人公や人類にとって絶望的かつ理解不能のものです。
次々とためらいも見せずに自殺に走る人々は、恐怖と絶望、パニックを主人公達に、そしてもちろん観客の私たちの心に押しつけてきます。思わず叫び声を挙げてしまいそうになるほどの動揺がわき起こってきて、このシチュエーションは監督のしてやったりの顔が見えそうなほど見事ではないでしょうか。

 そしてそのシチュエーションを生かすために、ストーリー展開はあくまでも個人である主人公の視点が中心となります。原因については、一応主人公の解釈が正解のように描かれていますが、それも科学的根拠(説明)はなしで、ただ「この世界では科学的説明の付かないものが存在する」という論調で終わらせています。
そういった身近な視点の設定は、例えば新作(スピルバーグ作)の「宇宙戦争」でも用いられていて、私的にすごく好きなパターンです。この映画でも、真に迫った不安感などが感じ取られました。

 一連の事件に対する主人公の解釈が正しいという前提で映画全般を観ると、環境破壊などを中心とした文明に対する強烈な批判がなされた作品です。確かに、同監督の「ヴィレッジ」などでもその傾向が見られますので、そういう解釈でOKなのでしょうが、そういった文明批判を理屈ではなく「恐怖」で伝えてくれるのがホラー映画。
そういう意味ではこの映画けっこううまく伝えられてるなと思いました。

 映像的にも随所にショッキングなシーンが込められていて、よかったです。怪異にとらわれていない人間同士の殺し合いや、作り物の植物に話しかけるシーンなど、かなり皮肉の効いたシーンもありました。

 シャマラン監督の作品はいくつも見ていますが、正直な話、これまで今ひとつ心の奥まで届いたものはありませんでした。しかし、その意見もこの作品の登場で撤回せざるを得ません。お気に入りの映画となりました。

 ところで、最後の都市はどこなのか…私はフランスあたりと思ったのですが、カミさんはロシアと言っています…。