ねここねこの家

アモクロノス~旅の戦い(battle of the journey)~2 第44話 「空を観る刻」

第44話 「空を観る刻」

 

守里は夢を見ていた。

 

「鏡…安藤…俺たちはまだ旅の途中だから…」

 

ハッと目が覚める。

 

あんな旅じゃなかったはず。

戦いはいつの間にか始まっていた…

同じ頃、眠っていたのはアストラーダ。

アストラーダも夢を見ていた。

 

「深い海は嫌だと言っていた…マイール…お前が見ていたのは…」

 

アストラーダはうなされていた。

苦しい痛みからではなく、心の思うままのようだった。

ベラーナは側にいて虚ろな声を聞いていた。

黙ったまま聞いていたが、アゼラがバミューダの海の中ではないことを悟った。

リリアンが最初に付き添うことを提案していたが、暴れた時を想定してベラーナが名乗り出ていた。

腕組みをして時折あくびをしていたが、次の日は交代で守里だったことから我慢をする。

そして小声で言った。

 

「マイールか…何をそんなに守りたいんだ…」

 

そこへ慌てたように、それでもアストラーダを起こさないように守里が来る。

小声でアル・レレン艦長に伝えるべき内容を話す。

守里は納得してデッキへ行く。

 

「いない…」

 

頭を抱えていると、アル・レレン艦長がキッチンから歩いてきた。

アストラーダがいる部屋と近い。

デッキへ来るように手招きをして自分も向かう。

アル・レレン艦長にベラーナの話を伝えた。

 

「雲が怪しい。もしかしたら空かもしれない」

 

見えるはずもない早朝だったが、守里は空を見た。

しかもここは死海の中。

到底見えるはずもなかった。

 

「アゼラは空中ってことでしょうか?」

 

守里の質問に、アル・レレン艦長は頷く。

 

「あの海域は未知だから、海も空もあり得る」

 

アル・レレン艦長が答えると、守里は想いを巡らす。

すぐに気付いたアル・レレン艦長は言った。

 

「守里君、誰もがこんなことは望んでいなかった。ただこれからが問題だ。分かるね。親父さんがいる。マイールの他にだ」

 

守里は気持ちを引き締めて答えた。

 

「親父は間違っている。アベルトの頃から…正そうまでできなくても方向は変えないとですね」

 

アル・レレン艦長は答える。

 

「私たちに秩序を正すことはできない。でも間違いだと思ったら回避するために全力を尽くすんだ」

 

守里が頷くと、ベラーナがアストラーダを連れて現れた。

 

「立てるね?なら話は早い。アゼラはどこだね。黙秘はなしだ」

 

アル・レレン艦長は単刀直入に聞いた。

 

「…バミューダの海と空だよ。そこまでどうやって行くのか…」

 

アストラーダが言うと、アル・レレン艦長は何事もないように答える。

 

「また聴くこともあるだろう。まずは場所が海と空中だけ分かればありがたいね」

 

日が差してきた。

守里は遠くを見るように目を細めて、アル・レレン艦長はいずれ死海から出たときのことを考えて答えていることを察していた。



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優しく頼もしい主人とねここねこ。猫ちゃんず(しまちゃん♀おおちゃん♂さきちゃん♀)と生活中。

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