最終話 「旅の戦い」
「な…何で?だっ…て」
ジャイワナーゾがいるところに1人の姿があった。
「マイールがいる!」
セイナが止まっているマイールの近くに行こうとする。
「動かない方が良いよ。君は撃ちたくない」
セイナの足が止まって頭から血を流したマイールがいた。
「ジャイワナーゾは2機あったんだよ。ギリギリで逃げられた。これに乗ってね。自分だけ助かったって今度は責めるのかい?」
ジャイワナーゾに手をかざしながら、銃口はセイナに向いたまま話す。
「マーズの鉱石はいただいたよ。これさえあれば…」
話し出すのをセイナが静止して答える。
「アベルトのやり方についていけないって。必要なんてないと思う。これじゃアベルトと変わらないよ」
セイナが言い聞かせるように、悲しみの口調で言った。
「使い道が違うだけとは考えないのかい?」
微笑んで答え、ジャイワナーゾに乗ろうとしたときだった。
マイールは背後まで気づいていなかった。
守里がいた。
「戦いは止めるんだ!セイナを傷つけるな!みんなを…」
マイールと守里が殴り合いになる。
守里が転んだとき、力を振り絞って銃口を向けた。
「終わりだ!!」
マイールが銃声とともに崩れ落ちるようになった。
反動で守里も転んでしまう。
必死にジャイワナーゾに乗って逃げるマイール。
エンジンの勢いで守里は立てなかった。
ベラーナが小さく叫ぶ。
「あいつ…生きているかは…多分自動で動いているだけで…」
Gビャクヤは起動できない。
生死が分からないまま、マーズの鉱石とともに空を飛んで行った。
守里が悔しそうにしながら、悲しい思いで行き先を見ていると見えなくなった。
パワークロノスで新しい力が生まれたとともに、守るべきマーズの鉱石は消えた。
「生きていればパワークロノスを狙うだろう。そうでなければ…終わりだ」
麻生の言葉とともに、不思議な想いで誰もがその場から動けなかった。
守里剣の中で旅の戦いは終わりを迎えているように感じなかった。